『ヴェロニカ・ゲリン』
公開:2003年
監督:ジョエル・シュマッカー
キャスト:ケイト・ブランシェット
ストーリー
1996年、アイルランドのダブリンで、子どもたちにまで蔓延する麻薬の実態を摘発しようと決めたヴェロニカは、記者仲間でもタブーとされていた組織の中枢にまで取材を試みる。しかし、その強引な行動に対し、自宅に銃弾が撃ち込まれるなど彼女に魔の手が忍び寄るのだった。
アイルランドの麻薬密売組織と戦い殉職したジャーナリスト,ヴェロニカ=ゲリンの物語.
彼女は最初はやりがいのある仕事に飢えていましたが,ある日ダブリンの道端に注射器が転がっている惨状を見て決心します.「これこそが私がしたかった,私にしかできない仕事だ」と.
すごく熱い気持ちになります。
「コヨーテアグリー」「タイタンズを忘れない」などと同様、ジェリー・ブラッカイマーがこの映画の製作総指揮を務めています。しかし青春映画としての爽快さはこの映画には微塵もなく、全編シリアスで重苦しい雰囲気に満ちています。
まずオープニングでは、ダブリンの悲惨な風景に圧倒されます。幼い子供たちが麻薬の犠牲になり、殺人や拷問が日常茶飯事と化した都市。麻薬組織が影の権力と化したこの町は、自爆テロリストに乗っ取られたパレスチナ並みの恐怖に満ちています。
巨大犯罪組織に孤独な戦いを挑み、銃弾による脅迫にも屈せず、悲惨な死を遂げたヴェロニカ・ゲリン。彼女の死は家族や友人のみならず、アイルランドにとって計り知れない損失です。ラストの追悼シーンは未だに脳裏から離れず、思い出す度に悲しくなってしまいますが、誰か彼女の死を防げる人間はいなかったのでしょうか。事勿かれ主義に陥った警察や政府、同僚を誹謗中傷するだけだったジャーナリストたち、彼女が死ぬまで行動しなかった国民。麻薬組織の連中が卑劣で許し難いことは確かですが、凶悪犯罪者に手厚い法制度が、彼女の死に結びついたようにも見えます。罪なき人を殺害しながら、売人達は刑務所内で平然と生き延びる。憲法が改正されたとは言え、アイルランドは未だ、犯罪者保護の人権至上主義に守られているように思えます。
とはいえ、売人の資産を即没収できるようになっただけでも、アイルランドは凶悪犯罪との戦いで一歩前進です。30人以上の同胞を9.11テロで殺されても、テロ集団に同情的なコメントが垂れ流されるこの国では、憲法改正すら望めそうにありません。
彼女は日本の似非識者のように、安全な場所で「反権力」「犯罪者の人権」などと唱えはしません。危険を顧みず真実を伝える過酷さを、この映画ではひしひしと感じました。
ケイト・ブランシェットはやっぱりすごいです。
演技に引き込まれました。そしてヴェロニカのようなすばらしい善と強さに満ちた人が実在していたというだけでとても勇気が得られました。
社会のために何かしたいと以前からおもっていますが彼女のような人が一人でも多くなればとても素晴らしい社会になるのに。
そしてそんな彼女がこんな目にあい子供や夫、母親を悲しませているということにとても心が痛みました。
是非大勢の方に(大人に。子供や若い方には少し怖いかも)観てほしいです。
『ブラック・ダリア』
公開:2006年
監督:ブライアン・デ・パルマ
キャスト:ジョシュ・ハートネット、スカーレット・ヨハンソン、アーロン・エッカート、ヒラリー・スワンク
ストーリー
1947年ロサンゼルス。ダウンタウンの空き地で、身体を腰で切断された女性の惨殺死体がみつかった。黒い炎を思わせる漆黒の髪、青白い肌を照らす黒ずくめのドレス。ハリウッド・スターを夢見ながら大都会の暗闇に葬られた女を、人は「ブラック・ダリア」と呼んだ。捜査線上に浮かび上がる一編のポルノ・フィルム。ダリアと瓜二つの大富豪の娘、そして彼女の一族にまつわる黒い秘密。事件の謎は、捜査にあたる若きふたりの刑事の運命をも狂わせていく・・・。
透き通るような白い肌とは正反対の暗い影をまとうKay役のScarlett Johansson、テロリストだったりレズビアンだったりすることもあるけれど今回は「世界で最も有名な死体」を演じるMia Kirshner、そのBlack Dahliaにはそれほど似ていないような気もするけれどなMadeleine役のHilary Swank。三人の美女たちが男たちの心を迷わす。初期De Palma俳優であるWilliam Finleyの久々の登場により、不気味さと懐かしさが同時に湧くという不思議な体験をすることができた。
「こんなに独創的な娯楽映画を作るなんてデ・パルマ監督気持ちが若いねー、惚れ直した!」とか一人で喜んでたらやたら評価が低くて唖然としました。わかりやすい娯楽映画でもまとを絞った芸術風映画(うまい言葉が思いつかない)でもないところが低い評価をされている原因なのかなー、と思います。複雑すぎるということを欠点としてあげている方がいますけど、その複雑さ自体がこの映画のミソだと感じています。脚本の複雑さ、混沌さが、そのまま人間や社会(ここでは昔のロス)の混沌さを表現するのに一役買っていたのではないでしょうか。多分その混沌が生み出す妖しい雰囲気にどっぷり浸るのがこの映画の醍醐味です。謎解きのカタルシスはそれ程重視されていないのです。イメージで言うと殺しのドレスとマルホランド・ドライブを加えて2で割ったような映画かなとちょっと思いました。頭の回転が鈍っている時や集中力が欠けている時ではこの映画は充分に楽しめないかも知れません。でもあくまでも娯楽映画です。そこがこの映画の難しいところですね。
ポスト・ヒッチコックと称されるデ・パルマ監督だが、全てが全て意識的な模倣なのかと言えば、それは違う。
明らかに違う。デ・パルマ監督のスローモーションによる時間の引き延ばし、インパクトの大胆な付加は独特のものなのだ。
この作品のもとになったのは、1947年、ロサンゼルスで実際に起きた猟奇殺人事件である。
いまだに未解決であることは、言うまでもない。その血生臭い事件を、デ・パルマ監督はあらゆる撮影技法を駆使し、恐怖感を最大限に煽る効果的なサスペンス映画に完成させている。
コアなデ・パルマファンに限らず、広くサスペンス好きの方々にぜひともお勧めの一作なのだ。
『コンプライアンス 服従の心理』
公開:2012年
監督:クレイグ・ゾベル
キャスト:アン・ダウド、ドリーマ・ウォーカー
ストーリー
アメリカのあるファーストフード店。朝からトラブル続きの金曜日、店は賑わいをみせていた。そこへ警察官を名乗る男から1本の電話が入る。その男は、女性店員に、窃盗の疑いが掛かっていると言い、店長のサンドラに、その女性店員の身体検査を命じた。警察官の言うことなら・・・と、サンドラはその指示に忠実に従うことに。しかしこれは、その後数時間にわたって行われる゛信じがたい行為”のはじまりにすぎなかった。
実際にアメリカで起こった事件だが、『ありえねぇだろ』と思ってしまう
確かに、電話一本で姿の見えない相手の言い分を真に受けて従業員を裸にする、ってのは信じがたい
だがここで描かれることは、そんな具体例に真実味がないとか関係者たちは教養に欠けたバカなんじゃなかろうか、とかいうことでは無いだろう
これは、分かりやすい事例を通して、洋の東西を問わず『人は権威に弱く、自己判断ができない』ことを示した作品である
ここに描かれた構造は、聴覚障害を装った作曲家のゴーストライター問題や画期的な発見をした理系女子の問題と同根であり、人は『有名な看板』を前にすると、客観的な検証もせず盲目的に信用してしまう様を疑似体験させてくれる美味しいと云われるラーメン屋に行列したり、なんとかの口コミをアテに店を探したりと、ネットやスマホに踊らされている我々に、笑い事じゃないと思える力くらいは残っているんだろうか?
「そんな馬鹿な。」と客観的に思えるのは、この電話の主が偽だと分かっているから。心構えしていても電話で騙される人は後を絶たない、それが現実です。
店長の婚約者とのくだりが最も不自然なんですが、彼はお酒を飲んだ後という設定。「一体何杯飲んだのよ」なんてやりとりが数回されているのですが、不自然さを隠せなかったのはここの演技がいまひとつだったからだと思う。内容的にも無理があり、お尻ペンペンは無いわ〜と思いました。
犯人は日常では持つ事の出来ない圧倒的権力を振りかざせる事に歓喜し、性的欲求をも満たしていたのでしょう。電話という媒体を使う事で直接的対面をせずに済みますから、何処か異空間のような感じになる。生身の人間がどれだけ屈辱を受けてどんな表情をしているか分からない分、罪悪感的なものは薄いのだと思います。
実話を基にしているのもありますが、外の世界とのコントラストの描き方が印象的でもありました。普通にカップルやら友達やらで賑わっているフロアーに対し、ドア一つ隔てた向こう側でこんな世界が展開されてしまう。大勢人がいる環境なのにです。ふと我に返れば何故裸になる事や調査協力を拒否しなかったのだろうかと思いますが、あっという間に騙しという渦の中に巻かれた人間の境地と、無防備・無抵抗・無知な様を上手く描いていたと思います。考えさせられ、問題を提唱するに良い作品ではないでしょうか。
ちなみにもしこれが男性店長だったら、この渦の流れはもっと早く、彼女を傷つけるところまで進むような気がします。「私が全責任を負うから」と確約され、盗まれたお金を迅速に見つけなければいけない使命感に駆られ、服従させる権力を法的に与えられたら・・・偽警察の命令を拒否した数人の男性のようであって欲しいと、願わずにはいられません。
『コレクター』
公開:2012年
監督:モーガン・オニール
脚本:ジョン・キューザック、ジェニファー・カーペンター
ストーリー
ニューヨーク州バッファロー市警は、3年間も“謎の娼婦失踪事件”を追っていた。
担当刑事マイクと相棒ケイシーは、新たな被害者の知らせを聞き驚愕する。
それはマイクの17歳になる愛娘アビー・・・。
拉致誘拐事件の被害者生存率は発生後24時間以内が70%、48時間以内が50%、それ以降は極めて低くなる。
刑事生命を賭け、すさまじい執念で犯人に迫るマイク。
そのころアビーは、監禁された地下室で犯人の恐るべき目的を知り、凍りつく・・・。
モーガンフリーマンのコレクターとは関係がありません!
初めて見ましたが、普通に面白いです。
実話を元にと言うことで、その点を思うと恐ろしいですが、話の展開が少し急だったり突っ込みどころもたくさんあり,
あくまで『映画』と思えば
伏線もちりばめられ、分かりやすく回収されるので楽しめると思います。
ある意味、期待を裏切られる面白さ、ラストの思わぬ展開に驚愕!
俳優陣も良く、展開もスリリングで、飽きずに観られます。
感動とかすっきり感はないですが、サスペンスとしては秀作だと思います。
レビューを見て期待せずに見たが、なかなか良かった。確かにラストは賛否別れると思う。
実の娘が誘拐されて、いてもたってもいられない刑事の様子は胸が苦しくなる思いだった。
この映画を見て、モデルとされている実在した「ゲイリーヘイドニク」を調べてしまった…
『誘う女』
公開:1995年
監督:ガス・ヴァン・サント
キャスト:ニコール・キッドマン、マット・ディロン、ホアキン・フェニックス
ストーリー
スーザンはテレビの花形キャスターとして有名になることを幼い頃から夢見ていた。そんな野望を実現するためには夫の存在が邪魔になると考えたスーザンは凶悪な計画を実行にうつす。取材で出会った高校生を誘惑してセックスの虜にさせ、自分の思いどおりに夫を殺させるという計画を・・・。
1990年に実際に起きた事件を題材にした、ジョイス・メイナードの1992年の小説『To Die For(『誘惑』(講談社文庫 1993年))』 の映画化作品。
派手な服に身を包んだ、ニコール・キッドマン演ずるお天気キャスターによる女性版アメリカンドリームの顛末。
少し下品なアメリカンジョークたっぷり。
エンドロールで、凍った川の上をスケートするジャニスが最後しだいに遠く小さくなり画面を外れていく。そのエンドロールを流れるドノバンの「魔女の季節」が最高。
それまでのニコ-ル・キッドマンって、”キレイだけで感情の乏しい女優”というイメ-ジがあったんです。が、しか~し。このス-ザンが見事ハマり役。彼女の感情の乏しい美貌が、このブラックコメディと見事に調和。周りの俳優人もいいですが、とにかくニコ-ルのよさが際立つ映画だと思いました。
似合うんです。バカバカしいくらいのバ-ビ-コ-ディネ-トが。
この映画から、ニコ-ルの大ファンになってしまいました。特に、ニコ-ル・キッドマンが苦手な方にお勧めしたい1作です。
「テレビに出て一人前。人が見てなきゃ、何事も意味がない!!」
私には何故、スーザンが夫を殺してまで有名になりたいのかが分からなかった。
スーザンが有名になることに執着する幼少の頃からの理由などが描かれていればこの物語に深みが出たかもしれない。
ニコールが人形みたいに美しいけれど、人を軽蔑しきって笑わない冷たい目付きが恐ろしい。この映画の見所は、ニコールのイヤな女加減、どうしょうもないホアキンのバカっぽさ。実際にホアキンみたいな犯罪者が、存在してそうなところが怖いです。
『完全犯罪クラブ』
公開:2002年
監督:バーベット・シュローダー
キャスト:サンドラ・ブロック、ベン・チャップリン、ライアン・ゴズリング
ストーリー
ジェスティンとリチャード(ライアン・ゴズリング)は同じ高校に通う同級生。リチャードは地元の有力者の金持ち息子で学校の人気者。その一方でジェスティンは内向的な性格だが頭がずば抜けて賢く犯罪学に強い興味を抱いていた。全く別世界に住んでいるような二人だが実は一緒に完全なる殺人計画を企んでいた・・・。
視聴者の声:【Amazonレビューより】
まずサンドラ・ブロックの存在感が圧倒的過ぎて若手俳優二人は霞んでます。
これほど拳銃を構えて似合う女性がいるだろうか。刑事2人のほうに感情移入してしまいます。
さて内容はサスペンスというよりも刑事ものです。高校生の幼稚な心理、動機や精神面の弱さなどよく出せていると思う。
少年犯罪も実際はこの程度の幼稚な大人には理解しがたい動機なのかも知れない。
内容も複雑ではないが、小気味良いヒネリが効いておりラストまで飽きずに見れた。
殺しの現場がそれなりにリアルに撮られているのでそういうのがダメな人は見ないほうが良いかもです。
途中、中だるみが少しあったけど、全体的をとおして柔らかな色彩と音楽が心地よい雰囲気を醸し出している。まず、サンドラの演技力は流石だった。エロスも磨きがかかり最高。しかし注目すべき点は他の役者にある。サンドラの演技力に押されること無く高校生役のライアンとマイケルは2人で1人の独自の世界観を見事に作り出してた。これは見事だった。ストーリー的には、序所に2つの世界が交差していくというハードボイルド的な世界がとても絶妙に描かれている。
この映画は成熟しきってない若者がクラブ的なノリで犯罪を犯してしまう。おそらく監督は犯罪プロセスに注力するよりも現実世界で罪を犯すという事が結果的に今の生活リズムの崩壊と精神の混乱をきたすことを伝えたかったのだろう。犯した罪は時としてそれは取り返しのつかない事となり、自分の将来は暗く細く限られたものになってしまう。そこに敗者復活は無い。なぜなら人生1度きりだから・・・とかなり厳しいことを娯楽映画で描こうとしてる。
現実の背中合わせに存在する2つの世界を巧みに描き、静かな共感を抱かせてくれるこの映画は、秋の静かな夜にぜひとも見ていただきたい。
『氷の処刑人』
公開:2013
監督:アリエル・ヴロメン
キャスト:マイケル・シャノン、ウィノナ・ライダー
ストーリー
960年代、米・ニュージャージー。最愛の妻と2人の娘に囲まれて、何不自由ない幸せな生活を送っていたリチャード・ククリンスキーには、家族すら知らない驚くべき秘密があった。家庭ではよき夫、よき父親として近所でも評判の彼の職業は、一流の“殺し屋”だったのだ―。
視聴者の声:【Amazonレビューより】
創作でも思いつかないようなすごい犯罪歴。
これが事実を元にしているというのは、純粋に驚きました…観て良かったです。
鬱々とした雰囲気ですが、殺される側の人間が大抵わるいやつという描写が大半なので(最初のホームレス以外)
映画自体は目を覆うようなシーンもあまりなく淡々と観れました。ラストシーンで主人公が語ったように、残された家族のことを思うととても心痛みますね…
淡々と話が進む感じですが、主役の人がハマってます。
公開当時は知らなかったけどレビューの評価がいいので見ました。
面白かった。途中グロッぽいところもありますが、(グロは苦手)でも余りにも淡々と作業中的に会話とかして怖さが半減しているので、
見やすい。状況が追い詰められていきますが、すべて過激すぎないところが良い。
ウィノナ・ライダーは魅力的で一人、鮮やかで余計に違和感があり
面白いかった。
100人以上を殺したと言われる実在の犯罪者がモデルなので当然だとはいえ、さりげない描写ながら、犯行シーンや死体の処理シーンはたくさん出てきます。
でも不思議と心に残るのは、自らを取り巻く人間関係と状況に翻弄されながら、せいいっぱい葛藤しながらも道を見失っていく主人公の姿です。
実際、人生の上り坂にあっては、天職に巡り合い普通に愛する人に出会って子をもうけ、社会的な観点からはともかく個人としてはそれなりに成功し充実した人生を歩んできたものの、やがておとずれた状況の変化の中で不本意な失敗を積み重ねたあげく、かつては成功に導いたはずの天職があだとなって破滅する男の話、とくくってみると、これは犯罪者という社会的存在についてというよりは、一人の人間について語った映画なのだと感じさせられました。
『フローズン・グラウンド』
公開:2013年
監督:スコット・ウォーカー
キャスト:ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック
ストーリー
1983年アラスカ・アンカレッジ。モテールの部屋で手錠につながれ叫び声をあげている17歳の娼婦シンディが警察に保護された。ハンセンに疑いがかかるが、町の善良市民と言われている彼を疑う余地はなく事件は握りつぶされそうになる。しかし彼女を保護した警官は納得いかず、調書を州警察に送っていたのだった。その頃、身元不明の少女が遺体で発見された。担当していた退職間近の刑事ハルコムは、一連の事件と調書からハンセンをマークするのだが決定的な証拠がない。しかし、シンディには再び犯人からの危険が迫っていた・・・。
冬のアラスカでずーっと事件を追っている映画で雰囲気的にどんよりしたダークな感じです。
ジョンキューザックは刑事役のイメージですがこの映画では猟奇殺人犯を演じています。
ストーリーも退屈せずに最後まで見れるいい映画だと思います。実話だったと最後に初めて知りました。
殺人を扱うサスペンス映画の割には序盤であっさりと観客に犯人はこいつだろうと知らしめてしまう。
犯人探しをメインに据えず、犯人の異常な人間性や、殺害される貧しい売春婦などにスポットを当てているわけだ。
どんでん返しは無いが、犯人であることを実証するための刑事の必死の捜査と、殺人犯との駆け引きは見ものだ。
地味系の映画であるが、主演のニコラス・ケイジとジョン・キューザックの存在感や演技も大したもんで、実話を元にした映画としては上出来の作品だと思う。
「事実を元にしました〜系」の中でも、かなり面白い部類に入ると思う。
内容はサイコパスVS刑事ものの王道展開だが、ニコラス刑事はいわずもがなハマっており、
サイコパス野郎をジョン・キューザックが熱演している。この人なんでも出来るな〜。
「ニコラス・ケイジVSジョン・キューザック 2大スターの火花散る演技対決!」 というのはだてじゃなく
ラスト、刑事との駆け引きのやり取りは最大の見どころでしょう。ジョンの唾飛ばす熱演が良い。何回も観直しました。
最後、スタッフロールの前にメッセージがでる(写真も)。結構ズシンときました。
日本でも最近は現実世界でおぞましい事件が多いが、映画の中の世界だけであって欲しいと願う。
『モンスター』
公開:2014年
監督:ニック・ゴメス
キャスト:クリスティーナ・リッチ、クレア・デュヴァル
ストーリー
その日は猛烈に暑かった。1892年8月4日、マサチューセッツ州フォール・リヴァ―の閑静な住宅地での出来事である。
資産家の名士・ボーデン家の次女リジーが、ソファで仮眠中の父親アンドリューが殺されているのを発見した。無残にも手斧で顔を11回も斬りつけられていた。
すぐに医者と警察が呼ばれたが、間もなくアンドリューの後妻アビーも2階の客間倒れているのが発見された。やはり手斧で後頭部を19回も殴打されていた。
容疑者として名指しされたのは第一発見者のリジーだった。裁判官が絞首刑は確実だろうとささやく中、下った判決は・・・。
ラストが少々気になる…..本当にあった事件らしいけど…少しだけモヤモヤが残ってしまった。有罪無罪は、闇の中って感じで、モヤモヤしてしまった。まあ、彼女の演技は抜群なので、良い良い。
『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』
公開:2008年
監督:ブライアン・ベルティノ
キャスト:リヴ・タイラー、スコット・スピードマン
ストーリー
友人の結婚式からの帰途、クリスティン・マッケイはジェームズ・ホイトからのプロポーズを断ってしまい、気まずい雰囲気に。そのままジェームズの別荘に戻ってきた2人。そこへ、深夜にもかかわらず少女の訪問者。少女は”タマラはいますか?”と、まるで心当たりのない人物の名前を尋ねる。いぶかしく思いながらも、そんな子はいないと言って少女を追い払う2人だったが・・・。
なぜか奮わない評価のようですが、これはジャパニーズホラー好きの人には是非おすすめしたいです。
振り返ると消えたり、居なくなったと思ったら出て来たり、背後に映り込んでいたり…と、邦ホラーに通ずるものがあると思います。
全体的に陰鬱で不気味な雰囲気ですが、残虐なシーンは最後くらいのもので、スプラッターものではなく、グロくもありません。
舞台がほぼ家の中限定なのですが、それによってさらに、訪問者がどこからやって来るのか・家の中にいるのか分からず、恐怖をかきたてられます。
犯人の姿が映し出されるシーンが少ないにも関わらず、恐怖は邦ホラーに勝るとも劣らぬ仕上がり。また、私はホラーを見ていて、登場人物の自分から死ににいくような行動にイラつかせられることがよくあるのですが、これは主人公たちの頭が良い!!
現実にありえそうな行動をとってくれるので、感情移入がしやすいのです。
これは、ハロウィンH20並です(あそこまで果敢に戦うわけではない)内容は無いよう状態ですが、ストーリー性を求めず、ホラーとして楽しんで欲しい作品です。
あー、コリャ傑作だよ。
暴力そのものの本質って、こーゆーコトだと思うなー。
陰惨な意思をひたすら実行するだけで、そこにあるすべてを破壊しちゃうってゆーね。
演出のセンスも相当いい。
オモシロくて、怖くて、ショッキング。
リブ・タイラーさんの後半の熱演とかさ、もー感動しちゃったなー。
いい映画。
ホラー・サスペンス映画にはゾンビや死者の呪い、猟奇殺人等ここに書ききれないくらい沢山のテーマがありますが、
「我が家に見知らぬ人間が入ってきて蹂躙される」と言うテーマは、一般的な生活を歩む人にとって発生するリスクが最も高いテーマだと思います。
ゾンビを発生させたり、呪いを使ったりする事より、悪い奴が2、3人集まって他人の家庭に押し込む事ってそんなに難しくないですからね。
そんな訳でその身近さ」によりこの「蹂躙」モノは最も恐ろしくてかつ好きなテーマなのですが、本作もこのテーマに沿ってかなりキテますねえ。
何の罪もないカップルが正体のわからない何者かに「蹂躙」されまくる嫌なお話です。
「友人の結婚式を抜け出し、夜中に別荘へ二人だけでやってきた恋人同士のジェームズとクリスティ。
ジェームズはチャンス到来と感じクリスティにプロポーズするが、残念ながら断られてしまう。気まずい雰囲気の中、深夜に少女が訪ねてくる。全く心当たりのない人物の存在を聞いてくる彼女に対し、ジェームズは勘違いと一蹴して追い返す。その後、ジェームズはタバコを買いに
外出、一人となったクリスティのいる家でおかしな事が頻発する。怖くなったクリスティはジェームズに電話を掛けるが・・・」この手の作品だと「ファニーゲーム」や「正体不明 ゼム」が傑作として挙げられますがそのレベルには及びません。
ややいたぶり方が足りないというか・・・・。ただ、やっぱり何者かに家の中に入ってこられると言うのは恐怖だし、犯人が不気味なマスクをしているのも怖いですね。詳しいことは申し上げませんが、視聴後は暗い気持ちになる事間違いなしです。映画に「気持ちよさ」とか「爽快感」を求める人には不向き。
「恐怖」そして「衝撃」を求める人にはおすすめです。