パージ

1年に一晩、すべての犯罪が許される12時間を描いた本作。スリラーにサバイバル・アクションの要素が加わり観る者に衝撃を与える!

パージ

公開:2013年

ジャンル:ホラー

主演:イーサン・ホーク

ストーリー

1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法になる“パージ”の日。ジェームズ・サンディン(イーサン・ホーク)は妻、娘、息子とともに“パージ”の夜を完璧なセキュリティの家で平穏に過ごすはずだった。
しかし、“パージ”開始直後にターゲットとなった一人の男を家に匿ったことで暴徒と化した市民から一家全員の命が狙われてしまう。緊張に満ちた12時間が今、始まるー。

視聴者の声

犯罪多発が深刻化し治安の悪化を防ぐためと称し、1年のうち12時間だけ殺人をバージ(浄化)と呼び、それが許される法律が作られた。
この法律をアメリカが実施しているとういのが本作品の設定で、このバ-ジの日に繰り広げられる惨劇を描いている。
バージの制度で潤うセキュリティシステムの販売で裕福となったビジネスマンの父が、自分の家族(妻・娘・息子)を守って戦う物語となっている。この日を待って殺人をやろうとする人間が当然のようにでてくるが、親の心子知らずってことで、災難を子供らが呼び寄せてしまう。
ネタバレするので詳しく書くのは控えるが、誰が誰を殺そうとし、誰が生き残るのか、意外と展開が面白い。
人間の本心はわからないから、合法化されたら殺人を楽しんだりする部類は、十分な武器を装備できる裕福な階級になるのだろうか。
格差が半端でないアメリカ社会を批判的に描いた映画だとも言える。

Amazonより

 

現在のアメリカ人の心の病巣を垣間見るような作品でした。
第二次世界大戦後まではアメリカ作品は西部劇にしても、戦争映画にしても、アメリカ正義の勧善懲悪的な作品が多くありました。
ベトナム戦争での失敗がアメリカ国民へアメリカの正義への不信感を与えたことは決定的です。
ニューシネマ時代に入って以降、「ソルジャーブルー」などのアメリカ批判の映画が数多く登場します。
今日ではアメリカの正義の価値観は大きく崩れており、残された良心や正義を貫くためにはもはや人間ではなくエイリアンと戦うしかなくなります。「ET」や「未知との遭遇」のような友好的なエイリアンはお呼びではないのです。

映画の興行収入はその時代、国民の欲求に応じて左右されます。
製作がパラノーマル・アクティビティのスタッフだけに一部の画面がドキュメンタリー風な体感型な作風(カメラワーク)になっています。

暴力衝動を発散させることで全米の犯罪率を1%まで減少させることを可能にしたイベントパージ。
アメリカ人の犯罪って暴力衝動が99%っていう感覚に驚かされた上に、このテーマで全米1位の興業収入をあげたことにアメリカ人の心の闇を感じます。
怨恨や苦しみからではなく、暴力衝動が殺人の根本って…日本人の国民感情からでは理解できません。

B級SF&ホラー感がバリバリの作品なので温故知新といったイメージですが、シナリオの説得力に欠如があります。
パージに使用する武器は制限されているとはいえ、正当防衛ならばどんな武器でも使用可能なので超強力な兵器を家に装備しているはずです。
それにこれほどまでのイベントなら地下室が発達するはずです。
何よりも年に1度のイベントならば高額なセキュリティシステムを導入するより、その時だけ国外へ避難した方が手っ取り早いでしょう。
坊やの勝手な行動は賛否両論ですが、もし男を家に入れなければ、銃武装していなかったお父さんは彼氏に殺害されて結果はもっと悲惨だったかもしれません。

シナリオにリアリティがないために緊張感に欠けますが、人種差別、移民問題、止まらぬ銃犯罪や戦争など諸々な事柄に心を病んだアメリカ国民には心に染みいる内容だったのでしょう。
アメリカは正義でありたい!!というアメリカ人の願いを感じさせる作品でした。

Amazonより

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