レーネ・ディートリッヒとスタンバーグ監督コンビによる最後の作品
ストーリー:1890年代のセビリア。政治亡命者・アントニオ(シーザー・ロメロ)は名うての悪女・コンチャ(マレーネ・ディートリッヒ)と出会い次第に惹かれていく。だが、コンチャに苦しめられたドンに、彼女と会わないよう説得され・・・。
出演:マレーネ・ディートリッヒ、ライオネル・アトウィル、シーザー・ロメロ、エドワード・エヴェレット・ホートン、アリソン・スキップワース
★★★★★ 過激なまでのディートリッヒの美貌!
ディートリッヒとスタンバーグ監督とのコンビ最後の作品(撮影もスタンバーグが担当)。彼はこの作品の製作中に、ディートリッヒとのコンビ解消を発表した。悪女のスペイン娘コンチャ・ペレスをディートリッヒが演じ、彼女に身を滅ぼされる軍人役は、スタンバーグ自身ではないかと言われている。マレーネのメーキャップは、それまでと一変し、柳のような眉と肉感的な唇になり、ディートリッヒの美貌は一段と過激になった。スペイン娘の衣装は、もちろんトラヴィス・バントンのデザインで一級の芸術品である。カリカチュアされた、マレーネの演技は眼を見張るもがあり、彼女自身一番すきな作品だったというのも納得できる。もちろんステージで、陽気に歌うマレーネも登場し、もう“ビバ・マレーネ!”と叫びたくなります。断然お勧め!
★★★★☆ カルメンを模したようなディートリッヒが魅力的!!
スペインを舞台にカルメン風の悪女に弄ばれる男たちという話は他愛無いが、ディートリッヒの悪女ぶりが魅力的なので、彼女の顔をながめているだけでも楽しめる。あと仮装カーニバルの数日の間の出来事という設定(長い回想シーンも含むが)もいい。カルメンを模したようなタバコ工場のシーンやカーニバルの様子、田舎道をさえぎる羊たちなど、公開当時に観た人はスペインのエキゾチックな風俗にふれる楽しみもあったのではないかと思う。ディートリッヒが歌うのは1曲だけだが、上映時間も1時間ちょっとなので、ちょうど良いのでは。そんなにシリアスな内容ではないので、ディートリッヒを気楽に楽しめる良作ではないかと思う。カルメンのような気ままで自由な女を思わせるラストも、ちょっと気に入った。監督はジョセフ・フォン・スタンバーグ。映画がヒットしなかったので、本作を最後にディートリッヒとのコンビ解消となったらしい。自分は、こういう軽い感じの作品でのディートリッヒが、結構好きです。独特な端正な顔の、いたずらっぽいような目線、目の動きが、可愛くみえて、う~んほかにない魅力ですね。昔の邦題は「西班牙狂想曲」と表記されていたようです。
★★★☆☆ 終わりよければ全て良し、かな
ガルボとディートリヒが銀幕のスターとして日本でも神格化された世代の人たちから見れば、この作品の彼女も素晴らしく美しく蠱惑的なんでしょう。私はその孫世代ですが古い映画が好きで、芳賀書店のシネアルバムや淀川長治さんの著作等も読み、この時代の名作と呼ばれるものも楽しんでいます。ディートリヒの魅力は粋でおしゃれでユーモアのセンスがあること、かつ芯が強く一種の漢気を感じる役が似合うと思っていましたので、この作品の大げさなヒラヒラくねくねぶりにはちょっとびっくり。カルメン的な凄み、ではなく、あっけらかんと能天気なキャラクター。パスクァーレの金玉抜かれっぷりが哀れを通り越して『死ななきゃ治らない』の域でしたが、決闘シーンで矜持を見せた。そして枕頭に立ち寄ったコンチャことディートリヒの、無言の表情と目つき・・あの数十秒が、さすが世紀の大女優、という見せ場だと感じました。タバコ工場勤めの頃を思い出す、と言ってスペインの田舎道を戻っていくコンチャ、カルメンとは違って恋に生きることの疲れとか悟りに似たものを得たわけなんですね。
作品の詳細
作品名:スペイン狂想曲 |
原作名:The Devil Is a Woman |
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ |
脚本:S・K・ウィンストン |
公開:1935年3月15日 |
上映時間:79分 |
制作国:アメリカ |
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