ドラマ

追想

ロシア革命後も生存説が囁かれた皇女アナスタシアの伝説をベースに、ロマノフ王朝の財産詐取を目論む男の顛末を描いたドラマ

ストーリー:パリに住む白系ロシア人ボーニン(ユル・ブリンナー)を中心とした山師たちは、英国に預けられたロマノフ王朝の莫大な財産の詐取を狙っていた。それには、財産所有人である皇女アナスタシア(イングリッド・バーグマン)の生存証明が必要だった。ある日彼らは、自殺未遂をした記憶喪失のアンナという女性を見つけてくる。そして彼女をアナスタシアに仕立て上げようと、彼女にアナスタシアにまつわる膨大な知識や礼儀作法を教え込むが・・・。

出演:ユル・ブリンナー、イングリッド・バーグマン、ヘレン・ヘイズ、エイキム・タミロフ、マーティタ・ハント、フェリックス・アイルマー、イヴァン・デニ、サッシャ・ピトエフ、ナタリー・シェイファー、カレル・ステパネック、キャサリン・カス

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 色あせない名作

イングリッド・バーグマンを観たさに手に取ったのが16年前。イングリッド目当てだったのにあっけなくユル・ブリンナーの魅力にやられました。この映画がなければ、ロシア革命に興味を持つことも、大学の論文テーマにすることも、ユル・ブリンナーの若い頃のポートレイトを手に入れる為にフロリダに行くことも、ロマノフ家に興味を持ってロシアに旅行することもなかったでしょう。私には非常に大きな影響力を与えてくれた名作です。若い頃はただユル・ブリンナーのとりこでしたが、今回DVDを購入して改めて観ると、ヘレン・ヘイズの凛とした輝きの中にも人間らしい葛藤の演技力に圧倒されました。あの気品あふれる堂々たる演技がなければ、チープな自分探し映画になってしまったことでしょう。主人公の自分探しがテーマな映画群の中でこの作品が際立っているのが、世界でもトップクラスの領土や富を持つ王族でもあり支配者であった実在の人物にまつわる実在のミステリーが題材であること、「王族の家族関係」がどういうものなのかという一般市民には到底知る事のできない様子を映画を通して表現していること、そしてこのヒロインが何者であるかという事が世界を揺るがしかねないスキャンダラスな問題をはらんでいたことではないでしょうか。劇中に「たとえ落ちぶれた境遇であっても王族のプライドは身からにじみ出るもの」といった内容のセリフがありますが、これこそがこの映画の根幹を成す重要なテーマであると思っています。我々庶民には到底わからないロマノフ王家300年の栄光のプライドを背負っている(かもしれない)姫君だからこそ、葛藤や不安で苦しむヒロインに心が奪われるのかもしれません。個人的には、ヘレン・ヘイズと対面する際、緊張と不安でおびえているイングリッド・バーグマンにユル・ブリンナーが一言、”Courage”(勇気を)と鋭く投げかけるシーンが一番好きです。この言葉にも、どんな結果になろうとも王族らしく振る舞え、という意味がこもっていますね。ユル・ブリンナー、やっぱり男前。素敵。

★★★★☆ メロドラマの通俗性と人間ドラマとしての深み

ニコライ2世の娘アナスタシア・・・この歴史の闇に消えてしまったプリンセスについては、長いこと生存の噂が絶えませんでした。この作品は、そんなアナスタシア生存説及び真贋を巡る論争を映画化したものです。映画ではこのテーマを背景にアナスタシアと思われるアンナと彼女を使ってニコライ2世の財産を奪おうと目論むボーニンを中心に、マリア皇太后などかつてのロシア宮廷の人々の思惑が絡み合います。映画的にはあの時代のハリウッド映画によくある歴史劇にロマンスとミステリーを絡めたものですが、そういったメロドラマの通俗性を超えてストーリーに見入ってしまう不思議な魅力を持った作品だと思います。そして特筆すべきはヘレン・ヘイズ扮するマリア皇太后でしょう。実際のマリア皇太后は若い頃はその美しい美貌で、そして革命によってロシアから実家であるデンマークに亡命して後は、亡命したロシア人達の精神的支柱として君臨し続けた存在でした。この作品でもヘレン・ヘイズは皇太后としての威厳とそして孫娘を思う一人の祖母としての姿を本当に見事に演じています。この存在感こそ、この映画の悪くすれば通俗的に流れてしまいそうな極甘のメロドラマに深みを与えてくれています。

作品の詳細

作品名:追想
原作名:Anastasia
監督:アナトール・リトヴァク
脚本:アーサー・ローレンツ
公開:アメリカ 1956年12月13日、日本 1957年4月2日
上映時間:105分
制作国:アメリカ
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