ドラマ

オール・ザ・キングスメン

ロバート・ペン・ウォーレンのピューリッツア賞受賞小説をロバート・ロッセン監督が映画化した社会派ドラマ

ストーリー:ウイリー(ブロデリック・クロフォード)は校舎建築に絡む不正を糾弾したことを機に州知事へ立候補する。政界浄化を唱えて理想主義を掲げるが、敢えなく惨敗。3度目の出馬でようやく当選する。しかし知事の座を手にした彼はいつしか汚職、賄賂、恐喝などに手を染める独裁者へと変貌していた・・・。

出演:ブロデリック・クロフォード、ジョン・アイアランド、ジョーン・ドルー、アン・シーモア、ジョン・デレク、マーセデス・マッケンブリッジ、シェパード・ストラドウィック

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ もちろん、傑作

監督のロバート・ロッセンは『ハスラー』でとくに有名ですが、もちろんこの作品も傑作です。こんなに才能のある監督が赤狩りの犠牲になってしまったのは本当に残念なことです。もっと、もっと知られてしかるべき監督です。

★★★★★ 理想主義者がいつしか権力の欲望に憑りつかれ…

「成功の甘き香り」という映画がある。ジャーナリズムの権力者の実態を描いた作品だ。政治の世界も同じこと。この『オール・ザ・キングスメン』のテーマは「権力の甘き香り」ということになるだろう。ひとたび権力を握った人間はそのおいしさに憑りつかれ、死んでも放そうとしない。そしてその甘い蜜に吸い寄せられる連中がいる。彼らも同じ欲望に憑りつかれ、All the King’s Men(すべて王の家来)に成り下がってしまうのだ。ロバート・ペン・ウォーレンの小説を基に、ロバート・ロッセンが監督・脚本を兼ね、野心家の地方政治家が権力欲の虜となって自滅していく姿を厳しいリアリズム映像で描き出した。無駄のない語り口、スピード感あふれるドラマティックな展開。1949年のアカデミー作品賞、主演男優賞(ブロデリック・クロフォード)、助演女優賞(マーセデス・マッケンブリッジ)の3部門を獲得した名作だ。政界浄化を訴え、理想に燃える高潔の士ウィリー・スタック(ブロデリック・クロフォード)。知事選に挑むが2度落選し、「選挙は金」であることを思い知らされる。以来、理想主義を放棄。ジャーナリズムを巧みに利用し、家族を犠牲にし、親類縁者・恋人までも裏切って悪徳政治屋に堕落していく…。薄汚い手口で反対者を封じ込める独裁者に変貌していく様子が凄い。ロバート・ロッセンのハードボイルドの演出が、ブロデリック・クロフォード名演技が強烈な印象を残す。『ハスラー』でも分かるようにロバート・ロッセンは硬派な男のドラマを得意とし、理想主義的な作風が特長だ。この映画の製作後、赤狩りの犠牲となりハリウッドを追われる。アカデミー監督賞、脚本賞を逃したのもそのせいだと言われている。敵と味方をはっきりと分け、政策の中身よりはイメージ戦略に重点を置くことで大衆を扇動していく。それが独裁者の常套手段だ。この映画を見るとそれがよくわかる。「反マッカーシズム」メッセージが明らかであるにもかかわらず、この映画はアカデミー作品賞に輝いた。そこにアメリカの良心とデモクラシーの健全性が垣間見える。

★★★★☆映画の内容とは異なる価値が・・・。

当時の映画としては、かなり激しい「社会派」だったのかも知れないが、今見ると驚くような内容ではない。『チャイナ・シンドローム』がそうであったように、現在では映画そのものの「鮮度」は落ちてしまっていて、インパクトは少ない。映画監督が「赤狩り」でその才能を奪われたという社会的現実が、この作品に箔を付けていると言ったら言い過ぎだろうか。この程度の映画ですら排斥される時代があったと言うことを知ることにこそ、価値がある。時代背景と、その後の現実社会の推移を知った上で、一度は見ておくべき作品だ。再びその様な時代が来ることを阻止するためにも。

作品の詳細

作品名:オール・ザ・キングスメン
原作名:All The King’s Men
監督:ロバート・ロッセン
脚本:ロバート・ロッセン
原作:ロバート・ペン・ウォーレン『すべて王の臣』
公開:アメリカ 1949年11月8日、日本 1976年9月25日
上映時間:109分
制作国:アメリカ
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