サハラ砂漠を舞台に、身を焦がすような恋の情熱をロマンチックに描いた、アンソニー・ミンゲラ監督が贈る珠玉のラブ・ストーリー
世界で最も権威ある文学賞といわれるイギリスのブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの長編小説「イギリス人の患者」をもとに、巨匠アンソニー・ミンゲラが監督・脚本を手掛けた壮大な映像叙事詩。第二次大戦を挟む激動の時代、北アフリカを舞台に繰り広げられるロマンを官能的に描き、アカデミー賞 (R)の作品賞、監督賞、助演女優賞を含む9部門で栄光に輝いた。
ストーリー:第二次世界大戦下の、北アフリカを舞台にした作品。撃墜されたイギリスの飛行機から、全身に火傷を負った男が助け出された。記憶を失っていたために“英国人の患者”と呼ばれることになった彼は、収容された野戦病院で看護婦ハナ(ジュリエット・ビノシュ)の介護を受け、少しずつその記憶を回想する。それは人妻との、砂漠での熱狂的な恋の物語だった・・・。
出演:レイフ・ファインズ、クリスティン・スコット・トーマス、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、ナヴィーン・アンドリュース、コリン・ファース、ユルゲン・プロホノフ、ニーノ・カステルヌオーヴォ、トーリ・ヒギンソン
★★★★★ まるで大人のおとぎ話のよう
こんな恋 一度はしてみたい・・・。
★★★★★ 映画芸術の大切さ
娯楽性のみを追及する映画が増えてきた昨今ですが、映像の美しさとストーリーの展開に魅せられ、考えさせる芸術的な作品だと思います。この映画の初公開時に観て、私は洞窟画に対する関心が増しました。いつまでも消えることの無い記憶と心に残っている素晴らしい映画に再会できて、とても嬉しいです。
★★★★★ 原作の詩のような美しさを表現できている映画
初めて見た時は『壮大なメロドラマ』で片付けてました。何人かの人がレビューで書かれていたように、不倫モノが好きでない私には生理的に受けつけないものがありました。しかし、The Constant Gardenerを見てすっかりレイフ・ファインズに魅了されてしまい、彼の過去の作品を全て再鑑賞するうちに、全く違う視点でこの作品を見ることができました。砂漠という神秘的な舞台も魅力の一つですが、アルマシーが片時も離さないヘロドトスの本が印象的な小道具になっていて素敵でした。イタリアの廃墟では、年も育った環境も違う4人が身をよせあいます。キプリングの朗読の仕方にはこだわりを見せるのに、死期を待つ以外何も欲さない全身火傷を負った患者、他人の戦争を戦ったキップ、愛する人達を失ったハナ、指を失ったカラバッジョ。大声で嘆き悲しまないけれど皆心に深い深い傷を負っています。アンソニー・ミンゲラは恋愛という日常的で普遍的なものを描きながら、戦争がいかに愚かで人々の人生を奪うかを伝えています。彼の他の作品でもそうです。原作は詩のように美しく、登場人物の描き方にも引き込まれますが、この作品はその美しさと悲しみを映画という『言葉』に翻訳して見事に描いていると思います。
★★★★☆ 人妻との壮絶な愛のドラマ
砂漠に繰り広げられる人妻との熱狂的な恋の物語です。撃墜されたイギリスの飛行機から全身火傷の患者が救出され,患者の記憶が無かったためにイングリッシュペイシェント(イギリスの患者)と呼ばれます。この患者を看護するのがカナダの看護兵ハナ(ジュリエット・ピノシュ)で,火傷を負ったハンガリーの冒険家を演じたのがレイフ・ファインズです。この二人は嵐が丘でも共演しています。ドラマは,死期が迫った病床にある現在と,過去の出来事を次第に思い出していくという設定で進みます。お互いに苦しんだ人妻との恋の行方と戦争の悲惨さが見事に描かれた作品です。
★★★★☆ 不倫者ともう一人の主人公の物語
不倫ものである。非常に多様に人生模様を積み重ねて、多くの悲しみを重畳的に描いているが、やはり最終的に行き着く果てが不倫という烙印のもたらすものであるのは当然のところなのである。それは洋の東西を問わないという感じで、今晩また確認した次第である。描き方が落ち着いていて、終始浮わついたところのない展開は、見ていてドラマの中に引きづり込む強い共感性を持つものである点、演出のミンゲラの手腕の高さをすなおに認める。主人公は不倫の二人だが、第二次世界大戦という戦争を背景にした展開は、もう一人の主人公を生んでいる。それがジュリエット・ビノシュ演ずる従軍看護士である。戦争にひどく傷ついている彼女が映画展開のポイントとして光る。ウィレム・デフォー演じるカナダ人の諜報員の物語も不倫主人公のベールを剥ぐのに一役買っていて、その存在を落とせない。ヒンズー教徒インド人下級将校の存在も、見ていて気になるし、白人英国人の部下に婚約者がいて、そのことを知らされていなかったことに、大いに考え込むところは、同じアジア人として共感できるし、そうした枠を超えて、人として納得のいく描き方である。そんなこんないずれも立派な仕上がりで最後まできちんと見終わらされる秀作である。音楽の使い方もたいへんよろしい。ただし、ミンゲラ監督の作品はもう見られない(2008年に癌死)。
★★★☆☆ スケールの大きさ
描かれている背景の壮大さと比べ、物語が非常に個人的なところで終始する。映画のテーマのひとつが、そういった、人間と自然の対比なのかもしれない。長編だが、濃厚とはいえないまでも飽きさせずに見せてくれる。アカデミー受賞作品だが、あまり期待しないで鑑賞した方が良いと思う。
作品の詳細
作品名:イングリシュ・ペイシェント |
原作名:The English Patient |
監督:アンソニー・ミンゲラ |
脚本:アンソニー・ミンゲラ |
原作:マイケル・オンダーチェ『イギリス人の患者』 |
公開:アメリカ 1996年11月15日、日本 1997年4月26日 |
上映時間:162分 |
制作国:アメリカ |
製作費:2700万ドル |
興行収入:2億3100万ドル |
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