キューブリックが放つ、犯罪スリラー映画の傑作!
ストーリー:5年の刑期を終え出所したジョニー(スターリング・ヘイドン)は、婚約者フェイ(コリーン・グレイ)との新たな生活のため、競馬場の売上金強奪という大仕事を請け負う。仲間を集め綿密な計画を立てた彼は計画を実行に移し、仕事は無事成功したかに思えた。しかし、仲間の1人の妻が計画を盗み聞きしていたことから、事態は思わぬ方向へ進んでいく・・・。
出演:スターリング・ヘイドン、マリー・ウィンザー、コリーン・グレイ、ヴィンセント・エドワーズ、ジェイ・C・フリッペン、テッド・デ・コルシア、ティモシー・ケリー、エリシャ・クック・Jr
★★★★★ スタイリッシュなフィルム・ノワールの傑作
S・キューブリック監督作品を探していて、見つけたのが本作でフィルム・ノワールの傑作。この映画の監督・脚色を手掛けた当時は、まだキューブリックが20代半ばだった事に驚いた。主演を務めたのは、スターリング・ヘイドン「アスファルト・ジャングル」「博士の異常な愛情」「ゴッドファザー」など。特に印象に残っているのは、「ゴッドファザー」でアル・パチーノを殴った警官役で、イタリアン・レストランのシーンは忘れられない。本作でも、タフで冷徹なワルぶりが際立っていた。ストーリーは、刑務所から出所してきた男が仲間を集め、競馬場の売り上げの強奪計画を企てるが、仲間の男が妻に計画を漏らしたことから、破綻が生じる。短い時間の中で、実に無駄なく話が運ぶし、人間ドラマとしても面白い。話が時系列順ではなくて、強奪グループの男達の実行日の各人の役割と行動時間を個々に展開させ、肝心の強奪実行時間のシーンに一点に集結する手法は、当時としてはすごく目新しかったのだと思う。その部分や、主犯の扮装を見ると、C・ノーラン監督の「ダークナイト」etcは影響を受けているのかな?と感じた。まるで犯罪実録ものを見ているような脚本や演出が非常に優れているし、洗練されている。あっけない幕切れだが、それもクール。
★★★★☆ ゲームオーバー
アクションもののテレビゲームには、ハラハラドキドキといったスリルが必要だ。プレイヤーとの一体感があるからこそゲームオーバーのショックは大きい。思うに「負けて悔しい」と思われないゲームは“良いゲーム”とは言えないだろう。1956年、この作品はスリル満点のクライムムービーとして一級品だ。ただホントに感動したのは、テレビゲームのゲームオーバーを味わった感覚がこの映画にあったことだ。完璧と思われた犯行計画が、ほんの些細なミスで大失敗へと導かれていく。プレイヤーのジョニーに我が身を重ね、期待や不安で胸がいっぱいになる。大金をトランクに飛行場へ駈けつけ高飛びを図る、がしかし、紙幣を詰め込み過ぎたトランクは運搬中、口が開いて空中へ四散してしまう。呆然とするジョニーと我が身。そして視界には張込みの刑事が。「あ〜あ」と溜め息をついて項垂れる。魅了されたのは次の瞬間だった。張込んでいた二人の刑事が左右対称に並び、ゆっくりとドアを開け銃を構えようとする。二人とも動作のタイミングがピッタリで、まるでゲームに出てくる敵キャラが近づいてくる感覚だ。そこで「THE END」と字幕が出るから、まさにゲームオーバーな気分になったのだ。
作品の詳細
| 作品名:現金に体を張れ |
| 原作名:The Killing |
| 監督:スタンリー・キューブリック |
| 脚本:スタンリー・キューブリック |
| 公開:1956年5月19日 |
| 上映時間:84分 |
| 制作国:アメリカ |
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