ドラマ

ドリアン・グレイの肖像

オスカー・ワイルドの小説の映画化で、プロデューサーとして脚本家として名あるアルバート・リューインが脚色監督した1945年作品

ストーリー:1885年、富と美ぼうにめぐまれたドリアン・グレイ(ハード・ハットフィールド)は、画家ホールウォード(ドナ・リード)に肖像画を書かせた。それは素晴らしい画で、まるで生きているような不思議な魅力があった。画家の姪にあたる少女グラディスは、まだ渇かぬキャンバスのすみに、伯父の署名のそばにGという字をいたずらに書いた。自分の肖像画に見とれながらドリアンは、この画の若さを僕がいつまでも保つことが出来たならと一言をいうと、彼の友人で皮肉屋のヘンリー・ウォットン卿(ジョージ・サンダース)は、エジプトの黒ネコの像の前で願えば君の願はかなうぜという。数日後ドリアンはロンドン下町の歓楽街を歩いていた。彼の耳にはヘンリー卿の言葉-生活を享楽しろよ、あらゆる機会をのがさずにという言葉が耳から離れなかった・・・。

出演:ハード・ハットフィールド、ジョージ・サンダース、ドナ・リード、アンジェラ・ランズベリー、ピーター・ローフォード、ローウェル・ギルモア

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ クラシック映画ならではの魅力がある

原作の魅力を詰め込もうと含蓄のある言葉をナレーションにされても早すぎて全くついてゆけない、消化不良の感が確かにあります。変化して原形をとどめない肖像画の気持ち悪さは吐き気を催すほど。一体、何をすればここまで酷くなるんだ?そんな彼の悪行は映像ではあらわされず(当時の映画の倫理規定では不可能かと…)すべて想像にゆだねられる。それはかえって効果的なのではないかと思う。ポルノグラフィーを融合した1970年の映画化、SFXを融合した2009年の映画化、「美青年」のルックスも時代によって異なるでしょうからリメイクされた二作品を否定するつもりはありませんが、時代を超えても色褪せない原作の魅力が生き物のように宿っている不気味さをこの映画から感じます。クラシックならではの表現、余韻を楽しめる映画ですよ。

★★☆☆☆ ナレーションだらけの映画って・・・

ワイルドの原作を大まかになぞってはいますが、肝心の部分で映画のオリジナル設定がされているため、全体的にはかなりかけ離れたものになっているという印象でした。何故、ヒロインのシビルを女優ではなく場末の酒場の歌姫にする必要があったんでしょうか?ドリアンが彼女を捨てる理由も、原作とまったく異なるうえ余りに不自然です。ドリアンはシビルに芸術家の理想を投影しており、彼女が彼との恋愛に夢中になって芝居を台無しにしてしまったために幻滅して、彼女を捨てるのです。貞操を試してどうのこうの、などという陳腐な話ではありません。この改変は原作の格を下げているとさえ感じられました。彼女がいかにドリアンを盲目的に崇拝していたかということも、この映画では非常に淡白に表現されているのみなので、彼女の自殺という結果が曖昧にしか伝わりません。あれでは原作を知らないと、シビルはヘンリーの言うとおり事故死したのかと誤解してしまう人もいると思います・・・。何より、ドリアンの葛藤や恐怖、苦悩といった心理描写がほぼナレーションで語られるという手法に、大きな違和感がありました。長大な原作を完全に映像化するのは無理でしょうから多少、端折るのは仕方ないとしても、主人公の心理は演技や台詞で表現するのが映画の基本ではないのでしょうか?あんなにナレーションが多い映画というのは正直、初めて観ました。ストーリーをスピーディに進め、かつコンパクトにまとめるためとはいえ、かなり白けます。映画にしか登場しないバジルの姪も別に、あえて加える意味は無かったのではないかと・・・。原作はワイルドの頽廃的な耽美と幻想が凝縮されたような濃密な世界観ですが、この映画は映像にもほとんどそういった要素が見られません。「ドリアン・グレイの肖像」ってどんなストーリーか大まかに分かればいい、という方向けで、原作が好きな方にはお薦めしません・・・。

作品の詳細

作品名:ドリアン・グレイの肖像
原作名:The Picture of Dorian Gray
監督:アルバート・リューイン
脚本:アルバート・リューイン
公開:1945年3月3日
上映時間:110分
制作国:アメリカ
製作費:190万ドル
興行収入:290万ドル
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