美女に迫る謎の剃刀殺人鬼!恐怖とエロスが融合した映像派デ・パルマの頂点!
ストーリー:性的な欲求不満を抱えた人妻のケイト(アンジー・ディキンソン)は、精神分析医エリオット(マイケル・ケイン)の診察を受けた後、昼下がりの美術館で見知らぬ男に誘惑され、初めての浮気に酔う。だが、男の部屋を出た彼女は、エレベーターでサングラスをかけた謎の女に襲われ、全身を鋭利な剃刀でズタズタに切り刻まれてしまう。血の惨劇を目撃した娼婦のリズ(N・アレン)は、ケイトの息子ピーター(K・ゴードン)と共に犯人探しに乗り出し、謎の女はエリオットの患者ではないかと推理するが・・・。
出演:マイケル・ケイン、アンジー・ディキンソン、ナンシー・アレン、キース・ゴードン、デニス・フランツ、デヴィッド・マーギュリーズ、ブランドン・マガート
★★★★★ 悩殺
ブライアン・デ・パルマ作品ではもっとも楽しめました。出演者たちが個性的で作品としての監督の円熟した技法を感じました。マイケル・ケインみたいな曲者は出てくると 最初から怪しいです。ナンシー・アレンは頭の弱そうな娘をうまく 演じています。アンジー・ディキンソンは熟女の貫禄。美術館のシーンは感じを出しました。流れるようなカメラの追いかけがとてもよくて好きな場面です。ラストは大仰な演出をしておいて観客を騙すというデ・パルマ監督のいつもの確信犯的演出です。
★★★★★ 面白いです。
登場人物のキャラクターが魅力的で見ていて飽きなかった。なんといってもナンシー・アレン演じるチャーミングな売春婦リズが素晴らしい。彼女の周りの人々との笑いを誘うやり取りと犯人に追われるときの緊迫した雰囲気が絶妙。それでいて、sexyな身体つき(特に腰から尻にかけて)を持ち合わせている彼女だからこその適役。また、ハリー・ポッターに顔つきが似ていて、合理的な思考を持ち合わせたキース・ゴードン演じるピーターにも好感が持てた。不条理の中の条理という精神異常の問題を扱っただけに、後半の精神病院の中の描写が意味深長で、ただのサスペンスに終わらない。「なぜ、看護婦を殺した後に服を脱がしたのだろう?」と今でも疑問に思ってしまう。精神科医の解釈に依れば、男性として興奮した後は女性となるはずなのに。蛮行を観客のように上から見下ろす患者たち。どこから夢でどこまでが夢なのか。
夢を媒介として伝播する精神異常。株や絵画に投資することで未来志向に生きるリズに差し込む精神異常という暗雲。もがくリズを抱きしめるピーターに本当の愛を感じた。いろいろ考えさせてくれる素晴らしい映画です。
★★★★☆ スリラー映画の金字塔
この作品と度々比較の対象とされるのが、ヒッチコックの『サイコ』である。『サイコ』では、バスルームで無防備な女性が殺されるという密室劇。一方、『殺しのドレス』ではエレベーターの中が殺人現場となり、やはり人目につきにくい密室劇である。どちらも逃げ場のない閉所での殺人行為だが、インパクトの点では、やはりエレベーター内の方がやや劣るかもしれない。ホラーやスリラーの類は、どちらかと言うとB級映画に区分されがちだが、非日常の究極をドラマ化すれば、必ずそこへたどりつく。本当の娯楽映画は、強烈なインパクトと出し抜けのストーリー展開に秘められているからだ。注目して欲しいのは、ケイトの着る真っ白なドレスが鮮血で汚れるシーンや、肉感のある女性の太腿、臀部などが耽美的に映し出されるところだ。この妖艶さは、デ・パルマ監督らしい趣向と仕掛けなのではと思った。
作品の詳細
作品名:殺しのドレス |
原作名:Dressed to Kill |
監督:ブライアン・デ・パルマ |
脚本:ブライアン・デ・パルマ |
公開:アメリカ 1980年7月25日、日本 1981年4月4日 |
上映時間:105分 |
制作国:アメリカ |
製作費:650万ドル |
興行収入:3100万ドル |
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