20世紀を代表する歌姫マリア・カラスの晩年を、オペラに造詣が深く彼女の友人でもあったフランコ・ゼフィレッリ監督が映画化したドラマ
ストーリー:1977年。パリで隠遁生活を送るマリア・カラスの元に、映画企画の話が舞い込む。それは、カラス全盛期の録音を使い、彼女を主演にしたオペラ映画『カルメン』を製作するという内容だった。最初は難色を示すカラスだが、芸術への渇望から出演を決意。役作りにのめり込み、相手役ドン・ホセを演じる俳優まで自ら選び、復帰作に魂を注ぎ込む。しかし、テスト試写で納得できないカラスは、映画の公開中止を要求するのだが・・・。
出演:ファニー・アルダン、ジェレミー・アイアンズ、ジョーン・プロウライト、ジェイ・ロダン、ガブリエル・ガルコ
★★★★★ 「もし」が許されるならば
カラスを良く知る監督が描いた、全くのファンタジーである。オペラというのは虚構の世界、この映画も全くの創作であって、真実ではない。しかし、その虚構に携わる人たちの息吹は本物である。常に最高の演奏を追い求めたカラス、映画の中で彼女と一緒に「最高の作品」を作ろうと懸命に働くスタッフ、共演者。そして常にリアリティを求めるゼッフィレッリ監督自身の態度からそれが伝わってくる。映画館で、観終わったあと、不思議な感慨に包まれた。本当にカラスが「カルメン」の映画を撮っていたなら、それはどんなものだったのだろうか、と。そのフィルムは、あるいはこの世のどこかに存在するのではないか、と。虚構の世界に真実の命を生きた「マリア・カラス」という存在の大きさを改めて考えさせられた。
★★★★☆ 芸術家であるという事
監督が、カラスをわがままな女性として描いたと、生前のカラスを知っている人たちは複雑な思いを抱いたそうですが、わたしは、わがままだとは思いませんでした。オペラ歌手に限らず、何かに情熱を傾けている人は、妥協を許さないと思いますし、その事で演出家とぶつかるシーンがでてきますが、真面目な女性で完璧主義者だったのだと思います。カラス役のファニー・アルダンが素晴らしく、演技もそうですが、監督いわく「シャネルが全面的に協力してくれた」と言うだけあって、とてもシャネルの服が似合っていて、独断ですが、シャネルはやはり中年の外人女性でないと着こなせないなと思いました。ラリー(ジェレミー・アイアンズ)との友情も心温まる感じで、大人の映画だなぁ〜とつくづく関心してしまいました。なお、サントラもとても良かったです。ある曲の前で一瞬間があって、派手なオーケストラ演奏がはじまる曲では、慣れないと心臓に悪いです(ビックリするので/笑)
作品の詳細
作品名:永遠のマリア・カラス |
原作名:Callas Forever |
監督:フランコ・ゼフィレッリ |
脚本:フランコ・ゼフィレッリ、マーティン・シャーマン |
公開:2002年 |
上映時間:108分 |
制作国:イタリア、フランス、イギリス、ルーマニア、スペイン |
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