ドキュメンタリー監督ジェニファー・フォックスが劇映画のメガホンを取り、自身の体験をもとに性的虐待の問題に迫ったドラマ
ストーリー:ドキュメンタリー監督として活躍するジェニー(ローラ・ダーン)のもとに、離れて暮らす母親から電話が掛かってくる。母親はジェニーの子ども時代の日記を読んで困惑している様子。心当たりのない彼女は、母親に送ってもらった日記を読み返すうちに自身の13歳の夏を回想しはじめる。サマースクールで乗馬を教えてくれたMrs.Gやランニングコーチのビルと過ごしたひと夏は、彼女にとって美しい記憶だったが・・・。
出演:ローラ・ダーン、エレン・バースティン、ローラ・アレン、ジョン・ハード、ジェイソン・リッター、フランセス・コンロイ、エリザベス・デビッキ、コモン、ティナ・パーカー、イザベラ・アマラ
★★★★★ 過去の自分への問いかけ
2018年度のサンダンス映画祭でプレミア上映され、絶賛にもかかわらず劇場にはかけられず、ケーブルテレビ局であるHBOが700万ドルで配給権を買い取った。話題性があっても売れるとは限らないのが゛性的虐待゛というテーマの難しさなのかもしれない。子供への「虐待」には、いつも脅しや暴力、貧困がかかわっているとは限らない。快適な環境や経済的な豊かさの元で、本人への称賛と共に行われることもあり得る、という理解しがたい虐待の構造を、この映画は解き明かしていく。自身の体験をもとに脚本を書き上げ、一本の作品として取り上げた監督の強さには脱帽するしかない。
★★★★☆ 実在する、本物中の本物のサイコパス達。
兎角、面白おかしくサイコパスをただの異常者として描いている作品が多いですが、そんなに分かり易いのなら、誰も引っかかったりしません。この中の人物達こそリアルだなと思います。悪魔は笑顔でやって来るのですから。その悪魔に唆されてしまう子は、大半が同世代の子達と上手く付き合えない子であること。孤立していて、相談できる相手がいない子なわけです。もう一つは精神的に幼い子である事です。このジェニーと女性もその例に洩れず、非常に精神が幼い。作中、非常に印象的だったのは、パートナーの彼も、彼女の母親も、本当に親身になってくれているのに、自意識とプライドの高さで跳ね除けてしまっている、というね。つまりは本物の親愛と、耳ごごちのいい甘言とを、48歳になっても、まだ見分ける事が出来ないという事。人に程よく依存することや、程よい距離を取れることは、年齢を得れば自然と出来ることなのに、それが出来ていない。そして、サイコパス達はそいった人達を嗅ぎ分けるのが上手く、性的に、或いは金銭などを搾取するわけです。アメリカの女性は自立していると言われますが、カウンセリングを受けている人の数も日本の比じゃないし、なんてことはない、ただ幼く一人よがりなだけでは?と思ってしまいます。ニューヨーカーの、役六割が精神的な問題を抱えてるなんて話を聞くと、もしかして、成功したサイコパス達にとってその方が都合がいいから、乗せられて、自立した女性像を押し付けられて、孤立させられてしまっているのかな?なんてアホな妄想をしてしまいます。日本の教育にも多々問題はありますが、作中と同じような事件が次から次へと毎年出て来るアメリカの現状は、学校教育というもの、集団行動の大事さを痛感させられます。
作品の詳細
作品名:ジェニーの記憶 |
原作名:The Tale |
監督:ジェニファー・フォックス |
脚本:ジェニファー・フォックス |
公開:アメリカ 2018年5月26日 |
上映時間:114分 |
制作国:アメリカ |
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