殺人事件の容疑者が離婚した妻との間の息子だと知った刑事が、刑事と父親の立場で苦悩する姿を描く
ストーリー:ブルックリン・ビーチに麻薬密売人の他殺死体が上がり、NY市警のヴィンセント(ロバート・デ・ニーロ)は、殺害場所が自分の故郷ロングアイランドであることを突き止めた。捜査を兼ねて14年ぶりに帰省した彼は、やがて離婚した妻との間に儲けた息子(ジェームズ・フランコ)が容疑者として浮かび上がったことから捜査から外されてしまうのだが・・・。
出演:ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・フランコ、フランシス・マクドーマンド、エリザ・ドゥシュク、ジョージ・ズンザ、パティ・ルポーン、ウィリアム・フォーサイス、アンソン・マウント、ジョン・ドーマン、ネスター・セラーノ
★★★★★ 過酷すぎるほど冷酷な現実
あまり書くとネタばれになるので・・・。親子関係に光が見えても、世間の彼らへの見方が変わるわけではない。逆境に奮起したことのない息子が、今後の人生を諦めずに歩いていけるか・・・。ラストシーンの親子初めての微かに温かなお互いへのまなざしが、心を支えてくれると信じたい。
★★★★★ やっぱ、サイコーだ
最初にこれを観た時、僕はすごい嫌だった。デ・ニーロが感極まった様に、込み上げるように涙声になるシーンが。僕はデ・ニーロの大ファンだ。どこか往年の彼を期待している観がいまだにある。彼にはいつまでのギラついていてほしいと。でも最近この作品を見返して、実にすばらしい作品だと気付いた。とても抑えた演技で容疑者になってしまう息子、自分の生い立ち、血の因縁に苦しむひとりの人間を見事に演じている。長い間、悪いイメージを抱いていた自分が恥ずかしい。あと、この作品は、ジェームズ・フランコも素晴らしい。
★★★☆☆ 血と業
デ・ニーロ扮する中年刑事の息子が「容疑者」になることは間違いないけど、タイトルだけだと推理ミステリーとつい勘違いしてしまいそうだ。原題は『City By The Sea』。まさに錆びれた海辺の町で起こった殺人事件から開陳される、親子3代にわたる「血」と「業」をあっさりとみせるヒューマンもの。ある殺人事件の捜査が少しずつ進むにつれ、気ままな独り暮らしを楽しむ中年刑事がひそかに抱えていた、そして新たに抱えることになる血と業が次々と押し寄せ、丸っこい中年男の背中にはややきつい重りがどんどん乗っかってくる。彼は、自身の不幸な過去を、受け入れることでそこから逃げてきた。そしてその結果は、ヤク中の果てに人を殺めた息子や、相棒の死や、無責任な嫁や残された孫となって表れた。一方で、これらは本人の問題でもあり、決して彼の責任ではない。でも、彼は父親として、刑事として、自分の血にも流れる悪しき連鎖に抗い断ち切ろうと決心する。無理くり展開させたラストではあったけど、懸命に息子を説得するデ・ニーロの演技は圧巻だった。
作品の詳細
作品名:容疑者 |
原作名:City by the sea |
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ |
脚本:ケン・ヒクソン |
公開:アメリカ 2002年9月6日、日本 2002年10月12日 |
上映時間:108分 |
制作国:アメリカ |
製作費:4000万ドル |
興行収入:2900万ドル |
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