ドラマ

ヴェニスの商人

シェークスピアの名作戯曲を『イル・ポスティーノ』などの名匠マイケル・ラドフォード監督が映画化

ストーリー:1596年、貿易の中枢として栄える運河の街ヴェニス。無一文の情熱家バッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)は愛する人ポーシャ(リン・コリンズ)に求婚するため、友人アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)に資金援助を頼み込む。手持ちがない彼は宿敵の高利貸シャイロック(アル・パチーノ)から借金をするが、全財産を載せた船が難破し期日までに返済ができなくなり、裁判にかけられることに。シャイロックが借金返済の違約金代わりとしてアントーニオに要求したのが、「人肉1ポンド」。借金の何倍も金を積んでも許さないシャイロックは、証文通り心臓に近い肉1ポンドを要求するのだが・・・。

出演:ジョセフ・ファインズ、リン・コリンズ、ジェレミー・アイアンズ、アル・パチーノ、ズレイカ・ロビンソン、クリス・マーシャル、チャーリー・コックス、マッケンジー・クルック


視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ イメージが変わった

有名すぎるほど有名で、読まなくても内容は知っているつもりでいたが、映画に作られた作品として鑑賞し、改めてこの作品の意味を把握した気になった。しかし、ユダヤ教徒とキリスト教徒との確執がこれほど過酷なものとは思わなかった。シャイロックが徹底的にいじめられているようで、気の毒になったのは、アル・パチーノの名演のいせいか。

★★★★★ キリスト教徒による「魂」の殺人

シャイロックに他の選択肢があったろうか?倍額の返済金をもらえばやはり「守銭奴」と軽蔑されたと思います。また命は助かりますが、ユダヤ人がキリスト教徒へ改宗すれば「魂の自殺」に等しく、ユダヤ人社会からは抹殺され、キリスト教徒からは旧倍の迫害が控えていたことでしょう。これは魂の殺人であり生存の抹殺とも言えることです。結局法廷は慈悲を唱えながら無慈悲この上ない裁きをしたと言えます。作中最高の美貌と教養と清らかさをを誇ったポーシャも現代的に描いてみせます。ポーシャの「慈悲」という言葉とは裏腹に彼女の恋の駆け引きは決して美しくは描かれていません。この作品はとても新鮮な驚きでした。特筆すべきはやはりアル・パチーノの「いわれなき差別・無慈悲」というものへの「怒り」の演技でした。素晴らしかったです。

★★★★☆ 喜劇とは悲劇の裏返しか

アル・パチーノの大熱演に尽きる、あまりにも有名なシェイクスピアの戯曲の映画化。そもそも原作は喜劇用の戯曲である。確かにアントーニオの視点から見ると、これほどまでに愉快な喜劇はないかもしれない。しかしながら、本作ではシャイロックを軸に物語が構成されており、ユダヤ人として抑圧されてきた怒りや憎しみ、そして何もかもを奪われてしまった途方もない悲しみを描いた悲劇と感じ取ることができる。物語がシンプルなだけに、描かれる人物の視点によって喜劇にも悲劇にも捉えることができるということを容易に理解できるのではなかろうか。演技に高い評価を得てきたアル・パチーノが、見事に非情な高利貸し屋を体現している。リチャード三世を題材にした『リチャードを探して』(96年)を彼自身が監督したこともあり、シェイクスピア作品に対する見識の高さは自他共に認めるところ。法廷シーンで形勢が逆転した際の演技、ラストで全てを失った際の空虚な姿、これらを表現できる俳優は彼以外に見当たらないと思う。繁栄を極めた16世紀のベニスのセットや衣装などの美術にも注目したい。

作品の詳細

作品名:ヴェニスの商人
原作名:The Merchant of Venice
監督:マイケル・ラドフォード
脚本:マイケル・ラドフォード
原作:ウィリアム・シェイクスピア
公開:アメリカ 2004年12月29日、日本 2005年10月29日
上映時間:130分
制作国:イギリス、イタリア、ルクセンブルク
製作費:3000万ドル
興行収入:2100万ドル
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