2002年7月にドイツ上空で実際に起こった<ユーバーリンゲン空中衝突事故>とその後に起こった衝撃の事件をなぞり映像化した衝撃作
ストーリー:建設現場で働くローマン(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、数か月ぶりに帰ってくる妻と身重の娘を心待ちにしていた。しかし、妻と娘が乗っているはずの便は到着する様子はなく、空港に迎えに行ったローマンは、空港の管理会社から衝撃の事実を聞かされる。それは、家族が乗った飛行機が空中で衝突事故を起こしたというものだった。悲惨な事故現場を訪れ、娘の遺体を発見したローマンは彼女を抱きかかえ声にならない悲しみに暮れる。航空会社に対し、謝罪を求めるローマンだが、彼らの心無い対応に憤りを感じる。そんな中、事故には一人の航空管制官が関わっていることを知ったローマンは、「謝罪をしてもらいたい」という一心で彼の居所を突き止めようとする。
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、スクート・マクネイリー、マギー・グレイス、グレン・モーシャワー、マーティン・ドノヴァン、ハンナ・ウェア、マリアナ・クラヴェーノ、ケヴィン・ゼガーズ
★★★★★ ふたつの衝撃
事実を元にしたフィクションという位置づけですね。事故で家族を失った男と、事故の責任を負わされた男。2人の葛藤を軸に物語は進みます。特筆すべきは、後者にあたる人物、ジェイコブの描き方です。アクシデントの当事者。仕事をしていれば、どんな人にでも起こり得るし起きてほしくないことが、起こってしまう。事故発生前での妻との会話をとおして、家族の絆が描かれるだけに、事故後の彼は、観ていて胸が痛くなります。会社側の対応もリアルですね。「君のためを思って」「提案がある」。退職奨励の際、必ず使われる‘‘オトナの狡いキーワード‘‘が出てくるあたりも、生々しかったです。家族を失ったローマン。演じ手がシュワルツェネッガーであることが、大きな衝撃ですね。ついに、マジメな映画を違和感なくこなせる存在に成りあがったんだ、と感無量でした。仏頂面で荒唐無稽に暴れて殺しまわることだけが醍醐味だった以前の彼からは、考えられない進化です。プライベートで色々あって映画に戻ってから、(俳優としては)深みのある顔つきになりましたね。イーストウッドのように、たたずんでいるだけで画面が持ってしまうような味わい。ほりの深い顔に沈み込む瞳と皺。そこに宿る精神性が、今回の、喪失や罪を背負う役柄に説得力をもたらしています。悲劇が重なる展開は重かったです。希望もあります。いちばん強かったのは、‘‘彼‘‘。最後、投げかけられる言葉が、心を打ちます。
★★★★☆ テーマはすごく良いだけに惜しいのです。
この作品、すごく良いテーマなんです。責任性とは何か? 責任とはまだまだ多くの日本人の意識に巣食っている「ハラキリ」なんかではなく、レスポンシビリティであること、即ち我汝の応答性であること。人間個人が人間個人と向き合えなくなる時に真の破綻が起こる。それを表現した映画です。ただ、テーマと流れは悪くないのに、作中の主人公の葛藤を表す心理表現のカットが安すぎるのです。これは演技と表象のみで表現すべきであったと思います。さて、話はかわりますが、この作品、実際の事件を元にしている訳ですが、作中では語られておりませんが、事故当時は、飛行機に搭載されている衝突防止装置からの回避指示と管制官からの回避指示に食い違いがあった時の判断基準が無かった為に発生した事故のようです。即ち文字通りのシステムエラーであり、機械系と人間系の間で発生した判断の食い違いによって発生したものです。つまり、作中では自己の原因が、管制官かパイロットかに還元されてますが、現実の事件の方がずっとたちが悪いのです。我々の現実の方が既に人間不在なのです。これをテーマにすると、まったく別の作品がもうひとつ出来てしまいますね。
作品の詳細
作品名:アフターマス |
原作名:Aftermath |
監督:エリオット・レスター |
脚本:ハビエル・グヨン |
公開:アメリカ 2017年4月7日、日本 2017年9月16日 |
上映時間:94分 |
制作国:アメリカ |
製作費:1000万ドル |
興行収入:67万ドル |
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