イギリスで最も素晴らしい女性と讃えられる作家アイリス・マードックと夫ジョンの激しく深い愛の軌跡
ストーリー:1950年代、恋愛経験豊富で奔放なアイリスと純粋な青年ジョンはオックスフォード大学で知り合った。これまでの男性にはないジョンの誠実さにひかれ、ふたりは結婚。才能豊かなアイリスは小説家とした大成する。しかし、老人となったアイリスに突然アルツハイマーの症状が現れる。物忘れがひどくなっていき、行動も言動も、これまでのアイリスとは思えぬものに。そんな自分の変化にとまどい、心がますます乱れていくアイリス。ジョンは彼女に誠心誠意つくすが、彼も介護生活に疲れ果ててしまう・・・。
出演:ジュディ・デンチ、ケイト・ウィンスレット、ジム・ブロードベント、ヒュー・ボネヴィル、ペネロープ・ウィルトン、ジュリエット・オーブリー、ティモシー・ウェスト、サム・ウェスト
★★★★★ 皺に刻まれた深い愛
『幾千もの言葉を失って、僕たちは愛に辿り着く』妻が妻である所以の『言葉』。アルツハイマー病のため、その言葉を失ってしまった妻が再び言葉を取り戻せるように、夫は一人で必死に奮闘する。そしてひたすら、愛し続ける。回想シーンを織り交ぜながら進むストーリーは、その回想シーンでの妻の美しさと聡明さが今の妻の老いを際立たせる。夫はだんだん悪化していく病状を時に嘆き、投げやりになる。それでも、”my girl” “my pretty cat”どんどん子供のように戻っていく自分の妻を呼ぶ、そんな愛がつまった言葉に何度も何度も涙がでた。介護と生活と仕事に追われ、家に入った警察官が仰天するほど汚れてしまった部屋が、痛い。でもそれが夫の妻への愛情の深さと関係があるように思えて、涙がでた。年老いていくもの、決して一般的に美しいとはいえないもの、そんな人物を主人公に、淡々と描いているこの映画は、ある意味イギリス映画のよさが凝縮されている。しわが深く刻まれたJudi Denchの顔が、回想シーンの溌剌としたケイト・ウィンスレット同様美しく見えた。そのしわをつくってきたアイリスと夫との愛情、そして想い出を強く想像してしまう映画は、おそらくハリウッドでは製作されにくいだろう。この映画には成熟したロマンスがある。
★★★★☆ 最後まで一緒にいることの素晴らしさ
老いの現実に直面した時に、過去の幸せを追体験しつつ。目の前の現実に苛立ちつつ、それでも幸せを噛み締められる。素敵な二人の姿が映し出される。
作品の詳細
作品名:アイリス |
原作名:Iris |
監督:リチャード・エアー |
脚本:リチャード・エアー |
公開:イギリス 2002年1月18日、日本 2002年12月7日 |
上映時間:91分 |
制作国:アメリカ、イギリス |
製作費:550万ドル |
興行収入:1600万ドル |
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