スリラー

ミュンヘン

1972年のミュンヘン・オリンピックで11人のアスリートが殺された・・・深い哀しみの中、政府が下した決断は<報復>。いま、ひとりの若き父親が暗殺者となる

ストーリー:1972年9月、オリンピックが開催中のミュンヘンで、パレスチナのテロ集団がイスラエル選手団を襲い、11人が命を落とす。激怒したイスラエル政府は、自分たちの手で首謀者に報復することを決意。秘密諜報機関モサドの一員であるアヴナー(エリック・バナ)をリーダーとする精鋭部隊が結成され、テロ首謀者と目されるパレスチナ人を犠牲者と同じ11人、暗殺するという極秘計画に乗り出す。アヴナーはスティーヴ(ダニエル・クレイグ)ら仲間4人と行動を起こすが・・・。

出演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、マチュー・カソヴィッツ、キーラン・ハインズ、ハンス・ツィッシュラー、ジェフリー・ラッシュ、イヴァン・アタル、アイェレット・ゾラー、マイケル・ロンズデール、マチュー・アマルリック、マリ=ジョゼ・クローズ

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ とても悲しい負の連鎖・・・

観ていて、とても悲しくなりました。なぜここまで迫害を受けなければいけないのか・・・。

★★★★★ スピルバーグの地味ながらの秀作

ミュンヘンオリンピックのテロの、後日談。ダニエル・クレイグもちょい役で出演。ノンフィクション仕立てでリアリティ抜群。『宇宙戦争』みたいなハッタリかましはありませんが、名前は知らないけど演技力抜群の男優が、いいですよ。是非とも。ご覧あれ。

★★★★★ どんな題材であれ映画は映画だが・・・

私個人として、実話を題材にした映画・小説をそうではない作品と別の基準で捉えるような見方が好きではない。が、あえて言えば、この映画から受け取るべきメッセージ性は「復讐は復讐しか生まない」ではなく、「世界から戦争・貧困がなくならないのは、すべての民衆の責任である」ではないかと思う。だから、この作品は重いのだ。現在も各地で続く悲惨な状況と、我々の日常生活が密接に関連しているということ。自分たちが肥えられればそれでよく、勝ち組だなんだと浮かれている者、どうせ負け組だからとすべてを諦めている者、両者は同等にこの状況に加担しているのだ。そして、それを煽るメディアの行いは、まさにここで描かれているような「痛みを伴わず、空虚で、グロテスクな暴力」と同質なものである。「ミュンヘン」が活劇という形式の中で表現しているのは、そのような苦悶・重苦しさ・子供じみた暴力性ではないだろうか。またこの映画は、食事とセックスを繰り返し描くことで、人間の身体的営みにも迫っている。つまり、社会派という枠組みを飛び越えたアクション映画でもあり、演出技術も総じて物語に貢献しているので分かりにくいこともない。スピルバーグのキャリアの中でも屈指の傑作かと思う。

★★★★☆ 復讐か正義の処断か・・・。「報復の連鎖」に取り込まれた暗殺者の物語。

暗殺作戦の遂行を描きながら、暗殺チームのリーダーを命じられたモサドの警護官アヴナー(エリック・バナ)の思慮シーンで断片的に挿入されるミュンヘン事件の顛末は非常にスリリングで、ショッキングだ。冒頭のシーンで事件の勃発と「人質全員死亡」のニュースによって結末はわかっているのだが、映像によって明らかにされる事件の詳細は信じられないような展開だった・・・。11人のターゲットを追うアヴナー達暗殺チームの作戦遂行に伴い、やがては、「存在しない」はずの彼らの正体が露見。ターゲットを追いつつ、彼ら自身が命を狙われる「報復の連鎖」に取り込まれてしまう不気味さ。正に、死刑執行人が自らに迫る暗殺者の影に怯えるようになる過程が見事に描かれる。「存在しない」はずのアヴナーの顔や名前をイスラエルの下級軍人が知っており、「あなたは英雄だ」と握手を求めるシーンは彼らの作戦が国内で高く評価されているということと同時に、情報が洩れているという事実を伝えるものであり、背筋が寒くなる。イスラエルに害を為す者を逮捕し、法廷で裁くのではなく、なぜ、暗殺なのか!? アヴナーの疑問は、国家の判断に対する疑問に変化して行く。クライマックスでアヴナーが出す答えは、紛れも無くイスラエルの政策に対する、スピルバーグの勇気あるメッセージだ。

★★☆☆☆ テロvsテロ、ひたすら陰惨な報復物語

スピルバーグが監督してんだからもう少しエンタテインメント的要素があるのかと思ったが、さにあらず。冒頭から実写映像を交えたミュンヘン五輪テロの凄惨な場面。で、その後はモサドの指令を受けた工作員達の報復暗殺テロが延々と続く。やはりイスラエルって異常な国だねえ。出てくる俳優が顔も名前も知らない人ばかりだったが、皆演技派でかえってドキュメンタリー的なリアリティはあった。ただあまりに映像やストーリーは陰惨で、ラスト近くで主人公が妻との性交中、フラッシュバックで空港でのテロ制圧を回想している場面には、正直吐き気を催すほどの嫌悪感を感じた。なおファッションや風景など70年代の雰囲気はよく出ていたと思う。

作品の詳細

作品名:ミュンヘン
原作名:Munich
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
公開:アメリカ 2005年12月23日、日本 2006年2月4日
上映時間:164分
制作国:アメリカ
製作費:7000万ドル
興行収入:1億3000万ドル
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