すべてのはじまりは、国民的大女優が発表した「真実」という名の自伝本
ストーリー:世界中にその名を知られる、国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が、自伝本「真実」を出版。海外で脚本家として活躍している娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、テレビ俳優として人気の娘婿、そのふたりの娘シャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書。“出版祝い”を口実に、ファビエンヌを取り巻く“家族”が集まるが、全員の気がかりはただ一つ。「いったい彼女は何を綴ったのか?」そしてこの自伝に綴られた<嘘>と、綴られなかった<真実>が、次第に母と娘の間に隠された、愛憎うず巻く心の影を露わにしていき・・・。
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェル、アラン・リボル、クリスチャン・クラエ、ロジァー・ヴァン・フール
★★★★☆ 美しく温かな謎
フランスを代表する女優であるドヌーブ&ビノシュの共演作にして、ジュリー・デルピーとの三部作でフランス女に振り回される米国人男性の役が板についたイーサン・ホークにも声をかけて製作された本作。カンヌ受賞後の第一作として注目を集めるタイミングで、これだけ恵まれたキャスティングで、しかもフランスで撮るという是枝監督のプレッシャーは大変なものだっただろう。 見栄と嘘がこびりついた往年のスター女優を演じるドヌーブは、本当にこの役柄そのまんまの人なのではないかという幻想を観る者は絶対に抱いてしまう訳だが(笑)、本当の彼女の性格はどうであれ、それを分かった上でこの脚本を受け入れて完璧に演じたドヌーブの貫禄が素晴らしい。自然な演出をする監督の下で芸達者達が集った映画なので、役者達の演技は見事なまでに自然なのだが、個人的にビノシュがお目当てで観た映画でドヌーブの印象がこれだけ残るとは意外だった。(勿論、ビノシュにもこの役柄は本当に似合っている。)さて、ラストで孫娘が母(ビノシュ)に問いかける台詞は、少し謎めいている。少女が祖母(ドヌーブ)に話した夢は、どこまでが母(ビノシュ)の用意したシナリオで、どこまでが真実なのか。この作品では「真実」に関する人の記憶の不確かさに関して何度も言及されるが、このラストで観客の我々も「真実」を巡る陥穽に足を取られてしまう。だが、その謎は素敵で温かい。前半で延々と続く親子の対立が少々退屈だったので星は一つ削ったが、良い映画だと思う。キャスティングの派手さに反して、お話自体は本当に地味なのだが(笑)。
作品の詳細
作品名:真実 |
原作名:The Truth |
監督:是枝裕和 |
脚本:是枝裕和 |
公開:イタリア 2019年10月10日、日本 2019年10月11日 |
上映時間:106分 |
制作国:フランス、日本 |
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