ドラマ

歌追い人

1907年、アパラチア。ここには人間を支える”歌”があった

ストーリー:1907年、アメリカ。ニューヨークの大学で教鞭を執る音楽学者リリー(ジャネット・マクティア)は、昇進を目指すも男尊女卑の壁の前にその希望を絶たれ、絶望していた。そんなある日、彼女は入植地で教師をしている妹エレノア(ジェーン・アダムス)のもとに向かうことを思い立ち、ノースカロライナ州の山岳地帯アパラチアへと旅立つ。やがて辿り着いた現地でエレノアや同僚たちに迎えられたリリーは、孤児ディレイディスの歓迎の歌に驚嘆する。それは、学会で既に失われた歌とされている200年以上前のスコッツ・アイリッシュ移民の伝統歌だった。彼女は歌を録音・採譜して出版しようと思いつくのだが・・・。

出演:ジャネット・マクティア、エイダン・クイン、パット・キャロル、ジェーン・アダムス、E・キャサリン・カー、エミー・ロッサム、グレゴリー・ラッセル・クック、タジ・マハール、ミューズ・ワトソン

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 失われた「うた」を求めて

民族音楽について、ここ何年もの間、色々なことを考え続けている。音楽が素晴らしいのは、言語や異文化の壁を軽々と飛び越え、人の心に訴えかけてくる事だ、と思う。20世紀初頭・ノースカロライナ州。アパラチア山脈の奥深く、移民たちによって人知れず謡い継がれてきた「うた」。それはイギリスやアイルランド本国では、とうの昔に失われてしまったバラッドの数々だった・・・、何というロマンティックな物語なのでしょう!主人公の音楽学者リリーは、自分の発見に狂喜乱舞、早速この貴重なバラッドの数々を採集しようと躍起になります。この作品の中で描かれているのは、本来あるべき「うた」の姿です。我々が暮らす現代社会では、歌手が歌ったものが「商品」として取引きされます。しかし元々「うた」は、民衆の生活の中に「普通」に存在していたものです。出産の苦痛に耐え抜いた妊婦をいたわって、おばあちゃんが優しくうたいかけます。言葉のやりとりでは伝えきれない「思い」を、うたに託して伝えようとする人々の姿があります。うたの採集に協力した報酬として、リリーからお金を渡され、人々は皆、不思議そうな顔をします。「うたを唄っただけなのに」と。しかし、山の中で暮らす人々の素朴で純粋な生き方に触れるうちに、リリーもまた、自分が見失っていた大切なものに気づいてゆくのです―。多くのミュージシャンたちがこの映画に共感し、参加しています。ブルース界の大御所、タージ・マハールや、「トゥルー・グリット」のエンドタイトルで「Leaning on the Everlasting Arms」を歌っていたトラッドの第一人者、アイリス・ディメントらが開拓民の役でワンシーンながら出演し、素晴らしい歌や演奏を披露。そしてカントリー界の歌姫、エミルー・ハリスがエンディングテーマを飾ります。音楽は、人と共に移動しながら、口から口へと伝えられてきました。ロシアのある地方に伝わる楽器と、アイヌの伝統楽器に、そっくりのものがあると聞きます。日本の民謡の中にも、ユーラシアの遊牧民や、稲作と共に大陸から伝わってきたものがあると言われています。初めて聴く異国の曲に、不思議な郷愁を憶えたことはありませんか?「うた」を通して、見えない糸で世界はつながっているのかもしれない・・・。そんな限りないロマンをかき立ててくれる、素敵な映画です。

★★★★☆ 音楽好きにはたまらない!

本当に音楽を愛する・・というのはどういうことか。他者や、その場の文化を尊重するのは、どういうことなのか。この映画はそういうことを教えてくれる。もう消えていたはずの歌が思いがけないところで生きていた。その事実は、研究者にとっては、感動的なことであることは間違いない。自分の業績にだってなる・・・。どちらかというとエゴイスティックな願望から、その思いはスタートしたけ。わざとらしくない展開がよかった。アメリカのフォークソングの原点ともなった歌の数々。そのルーツもいとおしい。地味だけれど、多くの人に観てほしい映画。

作品の詳細

作品名:歌追い人
原作名:Songcathcer
監督:マギー・グリーンウォルド
脚本:マギー・グリーンウォルド
公開:アメリカ 2000年1月25日、日本 2003年11月8日
上映時間:109分
制作国:アメリカ
製作費:180万ドル
興行収入:300万ドル
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