異なる時代に同じ家に住んでいた3組のレズビアン・カップルの愛の姿を描いたオムニバスTVムービーで、中絶問題を扱った『スリー・ウィメン この壁が話せたら』の続編でもある。
1961年の第1話(ジェーン・アンダーソン監督)は、長年連れ添った恋人を亡くし、独りになった老女(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の哀しい生きざまを、第2話(マリサ・クーリッジ監督)はフェミニズム運動を背景に、女子大生リンダ(ミシェル・ウィリアムズ)が男装のエイミー(クロエ・セヴィニー)に惹かれていく姿を、そして2000年の第3話は、子どもを持ちたいがゆえに精子バンクに足を運ぶカップル(シャロン・ストーン、エレン・デジェレス)の騒動を描いていく。それぞれが性別を越えた愛そのものに言及し、社会一般の差別にもメスを入れており、決して興味本位で取り扱ってもらいたくない真摯な作品に仕上がっている。
出演:ヴァネッサ・レッドグレイヴ、マリアン・セルデス、ポール・ジアマッティ、エリザベス・パーキンス、ジェニー・オハラ、ミシェル・ウィリアムズ、クロエ・セヴィニー、ナターシャ・リオン、ニア・ロング、エイミー・カールソン、ラシダ・ジョーンズ、シャロン・ストーン、エレン・デジェネレス、レジーナ・キング、キャシー・ナジミー
★★★★★ 女性が作った新しいレズビアン映画
3話からなるオムニバス形式のドラマ。順を追うごとに年代が新しくなっていき、3話とも同じ家で起こっている出来事を追っている。私のお気に入りは、2話でのクロエ・セヴィニーの美男子ぶり?と3話のシャロン・ストーンとエレン・デジェネレスのカップルが子供を持ちたいと願い人工授精し妊娠するまでの話。シャロン・ストーンがレズビアンを演じる、とキワもの的思考で見てみたら,共演のエレン・デジェネレスにはまってしまった。こういう人多いはず。彼女の演じるカルはレズビアンにありがちな男っぽさはないものの、この人絶対男役と思わせるところ、と言うか地で演じている。何せこの人実生活でもレズビアンなのだ。だから余計リアルに見えてくる。でもってアメリカじゃ超有名なコメディアンでエミー賞の!司会はするわ、自分の名前の付いた番組は持つわ、出す本はベストセラーになるわのスペシャルウーマンなのだ。そしてこの3話目を監督したのががエレンと3年半付き合って別れたアン・ヘッシュ(『6デイズ7ナイツ』)。シャロンは、アンを演じたと言っても過言ではない、当人たちにとっては思い入れの深い映画なのです。とにかく女性が作った、女性のための新しいレズビアン映画。ドキッとする場面も出てきたりして、退屈な毎日を送っている人には、こんな生き方もあるのかと思わしてくれる映画なのです。
★★★★☆ 「女が女を愛する」ということ
シャロン・ストーンと言えば『氷の微笑』!いまだそんな呪縛から逃れられずクールでエロティックな彼女をイメージし、それをこの映画にも期待してしまう人はアウトです。観ない方がいい。きっと観てもつまらないだけです。なぜなら制作側はそういう人たちをターゲットにこの作品を作っていないはずだから。この映画はレズビアンカップルの姿を真摯に描いた作品だと思います。それは、3つの短編からなるオムニバスの1話目に、レズビアンカップルの老後を描いた作品をもってきたという潔さからも感じることができます。それは決してハッピーではなく、悲哀に満ちた物語です。でも、一番心に響くのはこの物語だと思います。彼女たちの「悔しさ」がヒシヒシと伝わってきます。女が女を愛することは間違いなのでしょうか?異性を愛することだけが正しいのでしょうか?そんな叫びが聞こえてきそうでした。星4つの理由は、シャロン・ストーンの演技に少し違和感を感じたからです。いつも喜びを踊りで表現しているような天真爛漫な役どころですが、やや無理をしている感が否めませんでした。かたやエレン・デジェネレスは自然な演技で好感が持てました。
作品の詳細
作品名:ウーマン・オブ・ウーマン |
原作名:If These Walls Could Talk 2 |
監督:ジェーン・アンダーソン(1話)、マーサ・クーリッジ(2話)、アン・ヘッシュ (3話) |
脚本:ジェーン・アンダーソン (1話)、アレックス・シシェル(2話)、アン・ヘッシュ(3話) |
公開:アメリカ:2000年3月5日 |
上映時間:96分 |
制作国:アメリカ |
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