スリラー

ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち

容赦なく引き込まれる“警告”のサスペンス!

20年前に別れた夫から届いた小説。それは愛なのか、復讐なのか。

主人公スーザンのもとに、20年前に別れた元夫のエドワードから、犯罪を題材にした自作の小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が届く…そしてそこから、現実世界の現在と過去、そして小説の世界、この三つの世界が交互に展開されていく。現実世界は、謎めいた愛憎ドラマ。小説の世界は、暴力的な猟奇殺人事件と復讐劇を描く壮絶なバイオレンス。センセーショナルな構成で観るものを刺激する第一級のサスペンス。

ストーリー:スーザン(エイミー・アダムス)はアートギャラリーのオーナー。夫とともに経済的には恵まれながらも、心は満たされないという日々を送っていた。ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。精神的な弱さを軽蔑していた元夫の小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか・・・。

出演:エイミー・アダムス、ジェイク・ジレンホール、アーミー・ハマー、ローラ・リニー、アンドレア・ライズボロー、マイケル・シーン、ジェナ・マローン、マイケル・シャノン


視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 素晴らしい作品です

彼女に送られてきた小説の内容は妻子を殺された男の話で、彼自身も最後は死んでしまうというとても暴力的で悲しい内容です。20年前にこの小説の作者である男と結婚していましたが、彼女はこの男を捨てました。お腹にいる子供も堕胎して他の男と結婚しました。しかし、この小説を読み続けるうちに彼女は何かを感じ取っていきます。そして、彼との再会をするであろうレストランで急に映画は終わってしまいます。私は、作家の元夫がなかなか来ない、最後のレストランのシーンでの彼女の微かな表情に気づきました。急に何かに気づいたような表情。この表情に何らかの監督の意図が伺えます。小説上の妻子は別れた妻、堕胎された子供、そして作者本人のようにも思えます。そして小説上の本人も亡くなるので、作者自身も無くなるのでは….. そういった恐怖感の彼女の表情であったのかもしれません。この小説の作者は復讐を考えたのか、いまだに消えぬ愛を伝えたかったのか。何れにしても彼女の心を動かしたことには違いありません。レストランに会いに行く前、自宅で結婚指輪を外します。これは、彼へのどのような配慮であったか。今は幸せではないというサインか。彼を少しでも傷つけたくないという配慮か。この映画は心理描写が多い作品ですので、細かく見る必要がありますが、そこがこの映画の芸術性を高めています。さすが、数々のマミネートと受賞、評価をいただいただけある、素晴らしい名作と言えます。映画は芸術とお考えの方にぜひオススメです。

★★★★★ 卓越したストーリーテリングにより、過去の傷跡を深くえぐる心理サスペンス

本作はファッションデザイナーのトム・フォードの監督第二作。アメリカの作家オースティン・ライト(1922 – 2003)が1993年に発表した小説『ノクターナル・アニマルズ』(映画公開に合わせて日本で2017年に再販されたさいの邦題。原題は “Tony and Susan” で、もともと1997年に『ミステリ原稿』というタイトルで邦訳刊行されていた)を映像化した、サスペンス映画です。フォードの一作目『シングルマン』がとても良かったので、本作も期待していたのですが、想定以上のものを食らいました。まず、デヴィッド・リンチを彷彿させる、シュールレアリスティックかつグロテスクなオープニングシーン。はじめ自分が今なにを見つめているのか認識が追いつかず、美醜の価値判断に混乱をきたすくらい、ぶっ飛ばされました。物語は入れ子構造になっています。大枠は、中年女性スーザン(エイミー・アダムス)をめぐる現状。彼女が別れた夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から小説の原稿を読んで欲しいと手紙をもらい、小説を読み進めます。劇中劇として、スーザンが読むエドワードの小説〈ノクターナル・アニマルズ〉(「夜行性の獣たち」の意)の物語。くわえてスーザンが小説を読むことで、記憶を刺激され、蘇る過去。それら三つの物語が錯綜し、からみ合いながら進みます。エドワードの小説で描かれるのは、登場人物トニー(ギレンホールが二役)の受難。トニーは良識や常識が通用し、法やモラルが支配する、いわば日が射す世界に暮らす、善良な男。そんな昼の世界の住人が、良識や常識は顧みられず、法やモラルもおよばない、野蛮で暴力的な夜の世界に引きづり込まれたとき、いかに脆く無力なのか。生々しくあぶりだされます。とくにトニーの前半パートは、近年のどのホラー映画でも味わったことのない恐怖を覚えました。劇場公開時に騒がれていた危険運転を連想させることもあり、自分がいつ襲われてもおかしくない悪意をまざまざと見せつけられたようで、心の底から動揺しました。じつは残虐でショッキングな描写はほほ直接的には描かれてないにもかかわらず、しかもスーザンが頭のなかで小説をイメージしているだけという体裁をとっているにもかかわらず、不快な緊張感と不吉な予感だけで、あれだけの恐怖と不安を煽ることができる映画監督としてのフォードの演出力には感服します。自分たちが信じている世界のルールといったものは、絶対的かつ確固として存在しているわけでなく、みんながルールを共有してくれるだろうという漠然とした共同幻想を前提にしているにすぎない。しかもルールというのは必ずしも公正ではなく、それを遵守する人をつねに守ってくれるとはかぎらない。けれど自らひとたびルールの外にはみだしてしまえば、その保護を受けることもできない。自分が誰かに危害を与えることを許すのは、自分が誰かに危害を与えられることを認めてしまうのと同義だからです。トニーの物語はそんなジレンマを鋭利に突きつけます。本作の非凡さはそこで終わらないところ。劇中の小説〈ノクターナル・アニマルズ〉は、トニーが「夜行性の獣たち」に痛ましく傷つけられ決定的に損なわれていく物語を語りかけることで、「読み手=スーザン=観客」にトニーに対する共感と同化を促し、「獣たち」に憎みの刃を向けるよう仕向けます。ところが小説を読み終えると一転し、今度はその「読み手」に「自分こそが残忍な獣ではないのか」「自分に都合の悪い記憶を忘却していたのではないか」と疑念を抱かせ、自分自身に刃を向けるよう誘導します。作者エドワードと登場人物トニーが同じ俳優が演じている点で、そのメッセージの意図は強化されています。若いころはさほど自覚しないのですが、歳を重ねることで意識のうえに浮上し、あつかいに困るのは、「人から傷つけられた痛み」よりも「人を傷つけてしまったことによる痛み」。「人から傷つけられた痛み」はたとえつらくとも、そして解消されなくとも、怒りや憎しみの矛先を誰かに向けられます。しかしながら「人を傷つけてしまったことによる痛み」は、その矛先を自分に向けなければなりません。自分がしでかした愚かで浅はかな言動を直視するのは、なによりたえがたい。本作は卓越したストーリーテリングによって、そんな隠しておきたい醜い傷跡を深くえぐります。人を傷つけた者の傲慢さ、無神経さ、無自覚さ。評者は主人公スーザンに強く同化して観てしまったため、そうした彼女のふるまいを自分自身の忌まわしい古傷であるかのように見つめてしまい、鑑賞後しばらく抜け殻のような状態になりました。原作とは大筋では同じですが、ややニュアンスが違うところもいくつか。映画では原作より、スーザンの加害性と元夫エドワードの被害性がはっきりと際立っていること。人間に対して距離をとったアイロニカルかつシニカルな観察眼、メタ小説(暴力を読書=エンタメとして消費してしまうことへの疑義といった読書論等)の要素が薄められて、もっと感情移入しやすいドラマにされていること。保守的な価値観による教育、ゲイをめぐる環境、自分が嫌悪する親の性格を受け継いだことへの絶望、ブルジョア的生活へのアンビバレンス、ミドルエイジクライスなど。それら映画のなかで強調されたり追加された要素を考えると、監督フォード自身が自らを重ねながら本作を撮ったのでしょう。ビジュアル面でも、どのショットを切り取っても耽美的。ファッションと美術がすばらしく、ゴージャスでエレガント。エンドロールを見るかぎり、協力しているブランドも超一流ばかり。劇中に使われるアート作品も想像力をかきたててくれます(フォード自身の所有作品もあれば、わざわざ本作のためにつくった映画オリジナル作品もあるそう)。眼福でした。

★★★★☆ 悲しみ

まったく陳腐な話ではあるんだけど、とてもいい映画だったと思う。大切なものがわかってはいるのに、結局そうなってしまうという人間の弱さと強さを、最後まで引っ張って見せてくれた。いろいろな余韻が残る。あんまり若い人には向かない映画かもしれない。

★★★★☆ 良い意味で期待を裏切られた

一言で感想をのべるなら、間違いなく”面白い”。あらすじでは気になっていたけれど、トム・フォード監督作品ということで、なんかアート色強そうだなぁと敬遠していてようやく鑑賞。良い意味で裏切られました。練られたプロット、心理やシーンに合わせた演出、手堅い役者陣、飽きるどころか最後まで目が離せず、そして秀逸なラストには良い観了感を味わえました。色んな解釈とか考察とか、レビューを見る前に観ることをオススメしたい作品です。

★★★☆☆ このエンディングのような目にはあいたくない

復讐の怖さが極まる。彼は彼女にここまでひどいことをされたと思ってたんだな思ってたというのがみそです面白く観たのだが点が低いのはもう一度は観たいと思わないからです。

作品の詳細

作品名:ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち
原作名:Nocturnal Animals
監督:トム・フォード
脚本:トム・フォード
原作:オースティン・ライト『ミステリ原稿』
公開:アメリカ:2016年11月18日、日本:2017年11月3日
上映時間:115分
制作国:アメリカ
製作費:2200万ドル
興行収入:3200万ドル
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