ちぎられた心をつないだのは、ギターの弦と彼女の愛
1950年代、エルヴィス・プレスリーらと共にロカビリーの黄金時代を築き上げたジョニー・キャッシュ。トレードマークの黒いシャツに反逆児のイメージをみなぎらせ、虐げられた若者たちの心の叫びを歌いあげた彼は、ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンの先駆的なアーティストとして、死後2年を経た今もカリスマ的な人気を誇っている。
本作は、そんな伝説のミュージシャン、ジョニー・キャッシュと、運命の女性、ジューン・カーターとの10数年におよぶドラマチックな愛の軌跡をみつめた物語。ドラッグによって栄光と挫折を経験したあと、奇跡のカムバックを遂げるジョニーと、シングル・マザーとして強く生きるジューン。幾多のすれ違いを繰り返しながら、育んできたかけがえのない友情を、かけがえのない愛へと昇華させていく。
ジョニー・キャッシュを演じるのは『グラディエーター』のホアキン・フェニックス。最愛の兄の死のトラウマ、心の通わない妻との生活、そして、ジューンへの満たされない思いなどの葛藤から、ドラッグに逃避してしまうジョニーのやるせない心情をナイーブに演じる。さらに、ジューンの友情を糧に人生のどん底から脱し、アーティストとして再生の道のりを力強く歩んでいく場面では、ワイルドな魅力を輝かせる。そしてジューン・カーターに扮するリーズ・ウィザースプーン。『キューティー・ブロンド』シリーズでは、キュートなコメディエンヌぶりを発揮していた彼女だが、今回は、女として生きるか、母として生きるかで揺れ動くジューンを繊細に演じつつ、ジョニーに救いの手を差しのべる場面では、すべてを包み込むような温かさを発揮して、ドラマの感動をリードしていく。また、ホアキンとリーズが劇中の歌のシーンをすべて自分たちの声で歌い、その歌唱力と表現力には、誰もが感嘆の声をあげずにはいられないだろう。監督は『17歳のカルテ』や『アイデンティティー』で、高い評価を得たジェームズ・マンゴールド。
ストーリー:1944年、アメリカ。12歳のジョニーは兄のジャックと共に両親の畑仕事を手伝っていた。しかし、一家の貧しい生活は一向に楽にならず、父は酒に溺れる日々だった。そんなジョニーの心のなぐさめとなったのは、兄ジャックの優しさと、ラジオから流れてくるゴスペルやカントリー音楽だった。ある時、最愛の兄が突然の事故でこの世を去ってしまう。出来のいい息子を失ったショックでますます荒れる父親とジョニーとの確執は広がっていく。そして、空軍に入隊したジョニーは実家を離れ、ドイツに駐屯する。除隊後に初恋の女性ヴィヴィアンと結婚、子供も授かった。訪問セールスの仕事の合間に友人とゴスペル・バンドを組んで音楽を楽しむジョニーだったが、家計は苦しく、徐々に夫婦の仲も冷え切っていく。そんなある日、ジョニーは街角で偶然見かけたレコード会社で、オーディションの機会を得る。そこで空軍時代に書いた囚人の心の叫びとも言える歌を熱唱し、その実力を認められる。そして瞬く間にプロのミュージシャンとしての第一歩を踏み出すことになった。早速、同じレコード会社のジェリー・リー・ルイスやエルヴィス・プレスリーらと全米中をツアーでまわっていた時、ジョニーは少年時代からの憧れだったジューン・カーターと出会い、すぐに意気投合する。この出会いが、これからの彼らの長い運命の始まりとなるのだった・・・。
キャスト:ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン、ロバート・パトリック、ジニファー・グッドウィン、タイラー・ヒルトン、ダラス・ロバーツ
★★★★★ 文句なしの五つ星
時代考証、俳優陣の演技、60、70年代のカントリーウエスタンとブルース,それにのこ映画のメインテーマ「純愛」。ヒロインもヒーローもイカシテますが、天才肌のナイーブな主人公と彼に見つめられる現実的なヒロイン像の対比は特質もの。運命的な絡み合いと時折くる離反の中で、それでも離れられない大人の恋を巧みに描き出しています。ある意味大人の恋愛指南的な話で、久々の5星で、効果的な歌とリズムも手伝って、血流が心地よく脳内で逆流しました。それにつけてもハリウッドが生み出す映画製作能力は、舌をまく。全部とはもちろん言えないが、時代の空気感を出し、普遍的な恋愛を描き出しているこの映像はなんと表現すればいいのやら。テーマである「この恋」の純粋で結晶とも言えるこの映画は、純愛濃度が濃すぎて、余りに遠い世界のようで私には心の整理しながら休み休みしながらでしか観れませんでした。
★★★★★ 主演二人の熱演に拍手喝采!
実在のミュージシャン、ジョニー・キャッシュとジューン・カーターの物語。といってもあまり音楽に詳しくない私は、「それって誰…?」って感じだったんですけど、映画を見たら、あまりの感動に声も出ない!主演したホアキン・フェニックスとリース・ウィザースプーンの真に迫った演技に、すっかり呑み込まれてしまいました。ホアキン・フェニックスもリース・ウィザースプーンも、素晴らしい歌唱力と表現力で歌のシーンを演じているんですけど、ソロよりも二人のデュエットがものすごーくいい! あまりの迫力に圧倒されました。『ムーラン・ルージュ』でユアン・マクレガーとニコール・キッドマンが歌声を披露したときも、「役者でこんなに歌が上手いなんて!」とビックリしましたが、『ウォーク・ザ・ライン』の主演二人にも本当に驚かされました。まさに芸術の秋にふさわしい映画!まだ見ていない人、ぜひ見てください!!
★★★☆☆ ジョニー・キャッシュの波乱万丈な人生と愛
様々な歌手に影響を与えたジョニー・キャッシュの栄光と挫折からのカムバック、二度目の妻となるジューン・カーターとの愛が描かれます。ジョニー・キャッシュの歌を聴いたことはなかったのですが、キャッチーなメロディーは、現在にも通用する音楽です。ストーリーは、映画として考えるとよくあるものなのですが、リアルな人生と考えると、まさしく波乱万丈な人生ですね。本作の見所は、ホアキン・フェニックス演じるジョニー・キャッシュと、リーズ・ウィザースプーン演じるジューン・カーターの歌のシーンで、二人とも吹き替えなしで歌っているとは、見事なものです。リーズ・ウィザースプーンはピンクの服を着たコメディエンヌのイメージでしたが、まじめな演技もできるんですね。麻薬に溺れて挫折したジョニーが、ジューンに支えられてカムバックしていく姿は感動的です。個人的にはジョニー・キャッシュの生き様に、共感できない部分があったため、鑑賞後の爽やかさはなく、少し評価が低めです。
★★★☆☆ まるで映画みたいな人生を送ってた彼の映画化
ジョニー・キャッシュの名前を初めて聞いたのは映画、『アポロ13』の中で ある宇宙飛行士が、自分が宇宙に行く時は絶対にジョニー・キャッシュのカセット(?)をもって行くんだ!と言ったのを聞いた時。へぇ~・・・誰だろうそれ?って思ってたんですが、なかなか彼の曲を聴くチャンスがなくこの映画でお初、でした。子供の頃ラジオで聞いていた歌手との運命的な出会いと、彼の心の弱さと子供の頃に受けた心の傷・・・そのあたりが私にはとても印象に残りました。やはり子供は分け隔てして育てちゃ駄目だよなぁ~・・ってまた思っちゃったし貧乏な生活から成功し、そしてドラッグにおぼれ、そして立ち直り復活・・というまるで映画みたいな人生を送ってた彼の映画化ですから、やはり彼の人生ってドラマだなぁ~・・って思いました。リース・ウィザースプーンとホアキン・フェニックスの演技の素晴らしさが光ってた映画で、リースがアカデミー賞主演女優賞撮ったのが良くわかるな、と思いました。
作品の詳細
作品名:ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 |
原作名:Walk the Line |
監督:ジェームズ・マンゴールド |
脚本:ジェームズ・マンゴールド、ギル・デニス |
公開:アメリカ 2005年11月18日、日本 2006年2月18日 |
上映時間:136分 |
制作国:アメリカ |
製作費:2800万ドル |
興行収入:1億8600万ドル |
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