彼は、私のために、花束を盗んでくれた
ストーリー:ロンドンの労働者階級に生まれた18 歳のジョイ(キャロル・ホワイト)は、泥棒稼業で生計を立てている青年・トムと成り行きで結婚し妊娠、出産する。ところが、トム(ジョン・ビンドン)は赤ん坊に無関心ですぐ彼女に手をあげる始末。トラブル続きのある日、トムが逮捕され、ジョイは叔母の家に厄介に。そこに夫の仲間だったデイヴ(テレンス・スタンプ)が訪ねてくる。やがて彼女は優しいデイヴに惹かれ⼀緒に幸せな日々を送るが、彼もまた逮捕されてしまう。獄中のデイヴに手紙を書き続けながらジョイはまだ幼い息子ジョニーとともに懸命に生きていくが・・・。
出演:テレンス・スタンプ、キャロル・ホワイト、ジョン・ビンドン、クイーニ・ワッツ、ケイト・ウィリアムス
★★★★☆ ケン・ローチの出発点
その後様々な秀作(最近では「麦の穂をゆらす風」、「この自由な世界で」等)を送り出してきたイギリスの監督ケン・ローチの長編デビュー作(1968)。定職がなく泥棒をして刑務所送りとなった夫(トム)とその友人の恋人(デーヴ)の二人の間を揺れ動く、貧しい階級の出である女(ジョイ)を描く。子供の父でありながらすぐに暴力を振るうトムと離婚し、トムの子にも優しいデーヴの出所を待とうとするが、その日の生計を立てるために行きずりに近い男たちと関係を結ぶ。その噂が刑務所のデーヴに届き、関係の清算を迫られる。そして、出所して来たトムとの関係を続ける以外に選択の余地は無かった。ジョイを演ずるキャロル・ホワイトの「だらしなさ」がじれったいが、それだけ演技が上手だということだろう。1960年代末というと戦後経済の黄金時代であった筈だが、主人公の男女達だけではなく、画面の端に写る老人達も如何にも貧しい。そして、外国人の移民は始まったばかりの頃のせいか、彼等は画面には入って来ない。この後、ケン・ローチは一貫してイギリスの労働階級の現在と過去を描くのだが、教条から自由なイギリス人らしく、性急なメッセージ性を持たせようとはしない。しかし、最近までで20本以上になる長編の幾つかを通してみるとき、彼の信条が浮き上がって来る筈だ。
作品の詳細
| 作品名:夜空に星のあるように |
| 原作名:Poor Cow |
| 監督:ケン・ローチ |
| 脚本:ケン・ローチ、ネル・ダン |
| 公開:1967年12月5日 |
| 上映時間:101分 |
| 制作国:イギリス |
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