マクスウェル・アンダーソンの戯曲を、ジョン・ヒューストン監督が『脱出』と同じボガート&バコール・コンビの主演で映画化したハードボイルドの逸品
ストーリー:戦後まもない頃、戦友の遺族を見舞いにフロリダ半島のキー・ラーゴに赴いた復員将校フランク(ハンフリー・ボガート)。遺族の父テンプル(ライオネル・バリモア)と未亡人ノラ(ローレン・バコール)はそこでホテルを経営していたが、そこはロコ(エドワード・G・ロビンソン)をボスとするギャング一味の隠れ家でもあり、ハリケーンの接近にともない、彼らは凶暴化。はじめは戦争の影響で無気力だった彼だったが、やがて立ち上がり一味を追い詰めていく・・・。
出演:ハンフリー・ボガート、エドワード・G・ロビンソン、ローレン・バコール、ライオネル・バリモア、クレア・トレヴァー、トーマス・ゴメス、ハリー・ルイス、ジョン・ロドニー、マーク・ローレンス、ダン・シーモア
★★★★★ エキサイティングなギャング映画
骨太な作品を多く発表して、男性映画ファンを魅了し続けてきたジョン・ヒューストン監督の手腕はさずが。緊迫感に満ちたハードボイルド作品に仕上がっています。ヒーローを演じたハンフリー・ボガートより、悪役を演じたエドワード・G・ロビンソンの存在感が際立ったせいか、同じくヒューストン監督でボギー主演の『マルタの鷹』ほど市場の評価は高くないのですが、個人的にはこちらのほうが断然楽しめました。ボギーは中盤、ロビンソンの怪演に押されぎみで受身になっているのですが、それはまさにこの物語の主題を明確に打ち出している展開であり、効果的です。なぜならば、このフィルムの主題がへこんだ男の魂の再生にあったからなのです。フロリダ半島周辺の島、キー・ラーゴに戦争から復員してきたボギー扮するキャラクターが到着。戦死した戦友の家族を見舞うためにおとずれたホテルで事件はおこります。ロビンソン扮する親分の率いるギャング団が怪しげな取引を成立させ、キューバに落ちのびるためにこのホテルに逗留していたのですが、ついに顔が割れホテルをジャック。このあたりがロビンソンの板についたギャングの親玉ぶりが効果を上げてスリルを盛り上げます。実に楽しそうに、また憎らしく悪党を演じているので、観ているこちらも大満足!そんななか強烈なハリケーンが来襲し、それぞれの思惑が思わぬところに展開していくところが大変面白くできています。我らのボギーは『マルタの鷹』や『三つ数えろ』などとは一風異なる控えめで受身のキャラクターを演じていますが、そこがまた彼の新境地ともいえる好演。弱さを隠さないキャラクター造形は、逆にしみじみとした人間らしさと成熟した魅力を感じさせます。嬉しいのは親分の愛人に扮したクレア・トレヴァーが好演していることで、人生の歩調が狂ってしまった悲しい女の存在が物語に厚みを加えています。また、清楚な魅力を発するローレン・バコールの健気な優しさも忘れられません。犯罪映画の二代巨頭であるボギーとロビンソンが持ち味を最大限に発揮して渡り合うという、今となっては夢の競演が忘れがたい、これは大いに再評価に値するエキサイティングなギャング映画の至宝。
作品の詳細
作品名:キー・ラーゴ |
原作名:Key Largo |
監督:ジョン・ヒューストン |
脚本:リチャード・ブルックス |
公開:アメリカ 1948年7月16日、日本 1951年11月13日 |
上映時間:101分 |
制作国:アメリカ |
製作費:180万ドル |
興行収入:440万ドル |
Amazonで探す |
Amazonプライムで視聴する(字幕版) |
Amazonプライム30日間無料体験を試す |
楽天市場で探す |