中世イタリアに実在した聖人フランチェスコの人間像に迫る歴史ドラマ
ストーリー:裕福な商家の息子として、何不自由なく育った青年フランチェスコ(ミッキー・ローク)。騎士になる夢を抱いていた彼に、やがて生活を一変させるときがやって来る。ペルージャの捕虜となっていた際に目にした福音書、十字軍として遠征途上に出会った施しを求める病人、それらによって彼は啓示を受けたのだ。恵まれない者にすべてを与え、自らも貧者となる決意。慈愛に満ちたその生き方は、次第に人々の心をとらえ、宗教界にも波紋を投げかけていくのだが・・・。
出演:ミッキー・ローク、ヘレナ・ボナム=カーター、パオロ・ボナチェッリ、アンドレア・フェレオル、ハンス・ツィッシュラー、マリオ・アドルフ、ピーター・バーリング
★★★★★ 《リリアナ・カヴァーニの『フランチェスコ』》
乞食の服を着る。無一物、徹底した無所有。そして何をするか。跡をたどること(福音書に記されている)。自分の中に平安を見出すこと。—その無一物の生活の中にある人々の喜びがこんなに自然に、またリアルに表現されている作品はまずめったにない。描かれているのはアシジのフランチェスコだが、宗教的な生をこれほど完璧に描き切ったまずめったにないだろう。パゾリーニの『マタイによる福音書』を内側からすっかり越えている。「神の子」などという切り札を用いない映画だから言葉と映像によるリアリティだけで勝負している。だから宗教風作品ではなく、まぎれもない芸術作品だ。カヴァーニの力量に感心した。
作品の詳細
作品名:フランチェスコ |
原作名:Francesco |
監督:リリアーナ・カヴァーニ |
脚本:ロベルタ・マッゾーニ |
公開:イタリア 1989年4月22日 |
上映時間:150分 |
制作国:イタリア、西ドイツ |
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