様々なアイデンティティーを持って各地で暮らしてきた女性と、かつての恋人との関係を描く
ストーリー:ニューヨークで暮らすトム(マイケル・シャノン)は、自分の誕生日パーティに同僚が連れてきた女性アリス(レイチェル・ワイズ)を見て驚がくする。彼女は、15年前に姿を消した元恋人ジェニーだったのだ。トムが問い詰めると、彼女はこれまでにも数回にわたって人生をリセットしてきたことを告白し・・・。
出演:レイチェル・ワイズ、マイケル・シャノン、キャシー・ベイツ、ダニー・グローヴァー、コンドーラ・ラシャド、クリス・ローウェル、テッサ・アルバートソン、ケリー・オーコイン、アジタ・ガニザーダ、マイケル・チャーナス、ザック・アペルマン
★★★★★ いいですね
描き切らない。語り切らない。観るものの心の水面に小石をそっと投げて静かに波紋が拡がり、過ぎた時の想いに共鳴して感動を呼び起こす高純な大人の恋愛物語。観終ってもずっしりと重い何かが静かに残る名作に思えます。「一緒についてくる?」「今度逢うのは15年後?」ふたりの繊細すぎる「瞳で語る」心理表現はまさに絶品。久しぶりにアートと呼びたくなる映画に出会えました。巷に溢れかえる “ただ見てれば、感動させてもらえる、泣かせてもらえる” 娯楽映画とは対極。泣いたり叫んだりしないと想いを告げられぬ、幼稚な恋しか知らない人には、さっぱり訳が分らない作品でしょう。観るものを選ぶし、観るものの内面のレベルを要求する作品だと思います。
★★★★☆ 漂泊する魂
日本では比較的少ないタイプになるかもしれないが様々な地に住み多様な職に就きいろんな人たちを見てきたような人にはオススメできます。そのような人ならばこの主人公の気持ちが抵抗なく分かるかと。一方でそれとは対照的な人々、変化を好まず、住まいや職業もおよそひとところに落ち着いた人々は見ない方がいいかも?後者の人たちは最初は冒険的な生き方を珍しいと驚き楽しむが、次第に疑いの念を抱き、この人の話は嘘のカタマリなのではないか?と思い始める。そして最終的には異人種として自分たちのキャパシティを超えた存在を拒絶し排斥する。そんなわりとよくある光景がこの作中にも盛り込まれています。ネタバレになるのであまり書けないけれど、この主人公の女性は人生のアップデートを繰り返すのだけれどその根っこの部分、つまり人格はわりと一貫しており、氏名、職業、住まい、嗜好やライフスタイル、姿恰好など、表面的な部分だけをその都度変えてきたようにも見えます。彼女の人生は人格の脱ぎ捨てというよりも、様々なチャレンジを繰り返すことによるバージョンアップ、自己成長に近かったのでは?と個人的には思いました。
★★★☆☆ CIAのスパイとして転職してはどうか?
そう思うほど自由自在に生きている女性。人間誰しも別人になって違う人生を生きてみたいと思うもの。それを実行した彼女がうらやましくもあり、アイデンティティーがないことが哀れでもある。改めて考えると、自己紹介はすべて自己申告。たとえ虚言であってもわからない。人間関係の大部分が自己申告で成り立っていることに気づき、少し怖くなった。
作品の詳細
作品名:コンプリート・アンノウン 〜私の知らない彼女〜 |
原作名:Complete Unknown |
脚本:ジョシュア・マーストン |
公開:ジョシュア・マーストン |
上映時間:アメリカ 2016年8月26日、日本 劇場未公開 |
制作国:アメリカ、イギリス |
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