ドラマ

敬愛なるベートーヴェン

生涯に渡り、愛を成就させることのできなかった孤独な音楽家として知られるベートーヴェンの音楽家としての苦悩と脆さを、女性ならではの感性で描く音楽映画の決定版!

ストーリー:1824年ウィーン。うら若き女性がベートーヴェン(エド・ハリス)のアトリエにやってくる。彼女の名はアンナ(ダイアン・クルーガー)。作曲家を志す彼女は、ベートーヴェンの新曲のコピイストとして雇われたのだ。期待に反し、女性のコピイストが来た事に憤るベートーヴェンだったが、やがて彼女の才能を認め、アンナは彼の作曲を支える存在となる。初演を間近に控え、昼夜を問わない創作活動を通して、二人の間には師弟愛以上の感情が芽生えていく。そして、遂に「交響曲第九番ニ短調」初演の日、耳の聞こえぬ恐怖を抱えながらも、オーケストラを指揮するために、ベートーヴェンはケルントナートーア劇場の舞台に立つ・・・。

出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グッド、ラルフ・ライアック、ジョー・アンダーソン、ビル・スチュワート

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 音楽と神の関係

この映画のミソは神と音楽の関係。ベートーベンが「神は私の頭の中を音で一杯にした後に耳を聴こえなくした」と語るが、彼の音楽の根源には、彼の人生をかくあらしめた神に対する追及ないし神への復讐そしては神の賛美があるのではないかと考えさせられた。西洋音楽は神との対決なくしてあり得なかったことを改めて思うのである。そこで、神とは何か。私を私としてこの世にあらしめた運命(生まれ、親、環境、時代その他)が神のまず第一。第二に神にいくら語りかけても努力しても悲しんでも苦悩しても、神は沈黙をもって答えるのみ(例:「沈黙」遠藤周作)ということが第二。そして第三、神こそは真実の愛=グルーヴの一瞬(緊張とか絶頂とか)(と思いたい)。かくして、神=運命+沈黙+愛であり、音楽は神との対話である。

★★★★★ 圧倒的な名曲「第九」の誕生秘話

この作品の中で、ベートーヴェンがどのような人物像で描かれているのか楽しみでもあり不安でもあったのだが結果は見事に「ベートーヴェンそのもの」であったのが、まず素晴らしい。音楽に対しての情熱、不器用で気難しいと言われているが本当は愛や友情を重んじる人間性・・・エド・ハリスは見事にそんなベートーヴェンを演じきった。ダイアン・クルーガーも情熱的な演技ながら、品のよさは始終兼ね備えており、とても魅力的だ。「第九」の全ての楽章がとても印象的にこの作品の中で奏でられるが、やはり「第九」初演のシーンは圧倒される。3楽章がなぜか省かれていたのが少し不満だったのだが(笑)まあ、ベートーヴェンの散歩のシーンで使われていたのでいいかな。(本当は「田園」がいいかななんて思うのだが)「苦悩を越えての歓喜」ベートーヴェンの音楽のテーマと言われているこの言葉は「第九」全楽章を理解してこそ大きな感動となって勇気と力を与えてくれるものだと僕は思っているのだが、その偉大なる名曲がどんな過程で生まれていったかを描いたこの作品は(もちろんフィクションはあるが)、モーツァルトとサリエリを描いたあのとんでもない名作『アマデウス』と並ぶ傑作と言ってもいいだろう。

★★★★☆ 見応えある映画でした

良くある男女の恋愛でなく師弟愛で結ばれたアンナとぺートーヴェンの関係にそそられた。「君は私になりたいのだろう?」ああ、なんか分かる分かると納得してばかり。私にも尊敬している先生がいるから尚更だった。お互いに相手を受け入れてゆく様も面白いし、第九が誕生するプロセスもとても興味深かった。初演の日、アンナと大作曲家の魂が繋がる瞬間、そして楽曲の素晴らしさと、とても感動的だった。心に残ったセリフ「芸術家は自分を信じるものだ」孤独で年老いた天才と魂の部分で結びついたアンナの心の揺れが面白い見応えある映画だった。

★★★☆☆ 残念ながら期待はずれ

ベートーヴェンが主人公になっている映画としては『不滅の恋』という作品があるが、あれを見たことがある者にとっては、この映画は、謎解きの面白さがなく、波乱万丈のベートーヴェンの生涯に心ゆさぶられることもなく、感動の涙があふれることもなく、ベートーヴェンに対する世間の理不尽な仕打ちに憤りたくなることもなく、ともかく期待はずれであった。ただ、ベートーヴェンの楽曲に関心がある者にとっては、当時の写譜という仕事や、第九や後期のピアノソナタや弦楽四重奏曲などにベートーヴェンが込めた思いが、おそらくそうであったのではないかと思わせるセリフからうかがうことができて興味深い。この点は、特典映像で語られているように、一人住まいで良き相談相手のいなかった巨匠が頭の中で考えていたことがらは、誰にも話す機会がなかったのであるが、架空の女性助手(写譜係)を登場させることによって、ベートーヴェンは彼女に説明せずにはいられなくなったのであり、そういう意味ではストーリーの作り方としては面白い。しかしながら、1つの映画作品としてはどうも不満が残る。第九の演奏は、ソリストも、良かったのに・・・。

作品の詳細

作品名:敬愛なるベートーヴェン
原作名:Copying Beethoven
監督:アニエスカ・ホランド
脚本:クリストファー・ウィルキンソン
公開:アメリカ 2006年10月13日、日本 2006年12月9日
上映時間:104分
制作国:アメリカ
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