ユダヤ人とナチの因縁をベースにし、二転三転する充足度満点のサスペンスドラマ
ストーリー:ニューヨーク。コロンビア大の大学院生であるベーブ(ダスティン・ホフマン)は、趣味のマラソン中に不可解な交通事故を目撃した直後、裕福なビジネスマンである兄ドク(ロイ・シャイダー)と久しぶりに再会する。ドクとベーブには、父親が自殺したという暗い過去があった。やがてドクはなぜか、ウルグアイからニューヨークに来た元ナチスの大物であるゼル博士(ローレンス・オリヴィエ)と面会するが、あるトラブルが原因となり、ドクはゼル博士に刃物で刺されてしまい、ベーブの身にも危機が迫るが・・・。
出演:ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ、ロイ・シャイダー、ウィリアム・ディヴェイン、マルト・ケラー、ティート・ゴヤ、フリッツ・ウィーヴァー、ジャック・マラン
★★★★★ 傑作。この一言につきる。
脚本が素晴らしい。映画史に残るサスペンス物の傑作。
★★★★★ これぞ映画だ。
ナチの生き残り(ローレンス・オリヴィエ)に命を狙われたマラソンマン(ダスティン・ホフマン)が、兄と父親の仇をうつ話だが、いったい誰が的で誰が味方なのかはらはらドキドキの複雑怪奇な物語を、悠揚せまらず描き切るしたたかな演出力に舌を巻く。これぞ映画だ。しかし、麻酔なしに神経まで歯をドリルされる拷問は身の毛がよだつ。
★★★★★ ジグゾーパズルのような完成度の高さ
次々と繰り出されるエピソードが、クライマックスに向かうに従い、統一されていくストーリー展開。それは、まるでジグゾーパズルを完成させていく作業にも似て、一つのシーンもおろそかにできない、脚本として完璧な仕上がりになっていると思います。そして、そのクライマックスは、シェークスピアの1字1句もおろそかにせず、舞台俳優としての栄光をほしいままにしたローレンス・オリビエらしい、冷徹なまでの完璧な演技力と、アメリカン・ニューシネマで鍛えられたアドリブたっぷりのダスティン・ホフマンの、内面の人間心理がにじみ出る演技力との対決に見られる、痺れるような緊張感に集約されて行きます。何度見ても新たな発見がある、希有な作品だと思います。
★★★★☆ 不気味すぎるローレンス・オリビエ
なんといっても『真夜中のカーボーイ』の監督ですから。それにしても、監督人生で傑作を2つ作っただけでもすごいと思うのだが。名前が全く知られていないのはどうしたわけだろうか。うーん、映画好きの私でさえ、映画は知っているのに、監督の個人名はまったく知らなかった。ローレンス・オリビエがよく承諾したなぁと思うし、イギリスのいわば、至宝みたいな御仁をナチスの悪役でつかうのだから。ひょっとしたら俳優人生を汚されるかもみたいなプレッシャーもあったと思う。おもいのほかびっくりしたのが、ホフマンの鍛え上げられた身体だ。いやーーびっくりした。まっちょ役なんてしたことないのに、よーくがんばった。えらい。マラソンが伏線でいろいろ出てくるから、脂肪ぶよぶよじゃ、映画にならんのはわかっているけど。ロイ・シェイダーはそもそもそういう俳優だからわかるとしても。まあ、彼が一番、かっこいい頃ですわな。ユダヤ人街で、叫び続ける、男女の老人の演技がナチスの虐殺のリアリティーを語っていると思う。1970年代で、ドイツがようやく先進国として安定している時期だったから。まだまだ戦後の生き残り世代が元気で発言しているころ。当時のリアリティーを考えればショッキングな映画だったろうな。ドイツ風ヒロインがまた味があってよい。
作品の詳細
作品名:マラソンマン |
原作名:Marathon Man |
監督:ジョン・シュレシンジャー |
脚本:ウィリアム・ゴールドマン |
公開:アメリカ 1976年10月6日、日本 1977年3月26日 |
上映時間:125分 |
制作国:アメリカ |
製作費:650万ドル |
興行収入:2800万ドル |
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