ドラマ

ミルク

1970年代のアメリカ。マイノリティのために戦った政治家ハーヴィー・ミルク・・・人生最後の8年間

■第81回アカデミー賞で2部門受賞!

作品賞を含む8部門でノミネート。ショーン・ペンはブラッド・ピットやミッキー・ロークを抑えて2度目の最優秀主演男優賞を受賞。ダスティン・ランス・ブラックは最優秀脚本賞で初のオスカーを手に入れた。

ストーリー:1970年代アメリカ、同性愛者であることを公表してアメリカで初の公職に就いたハーヴィー・ミルクの波乱に満ちた短い人生を感動的に描く。1972年ニューヨーク、ミルクは20歳年下のスコット・スミスと恋に落ちる。2人はサンフランシスコに移り住み、自由な空気のカストロ地区で小さなカメラ店を開く。やがてミルクは同性愛者、有色人種、シニア層など社会の弱者の
“声”を伝えるべく政治の世界へと飛び込む。そして1977年、4度目の出馬でサンフランシスコの市政執行委員選に見事当選し、マイノリティを支援する条例を実現するための行動を推し進める。しかし、翌1978年11月27日、彼は志なかば敵対する市政執行委員の凶弾に倒れた。彼の人生最後の8年間、いったい何があったのか・・・。

出演:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、ジェームズ・フランコ、ディエゴ・ルナ、アリソン・ピル、ルーカス・グラビール、ヴィクター・ガーバー、デニス・オヘア

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 静かな感動

この人を知る事が出来て、良かったです。今は様々な恋愛関係に理解が示される世の中になり、生きやすくなった方々もいるでしょう。そう出来るのも、彼の活動のおかげだと、改めて思います。大義に生きる事を選び、プライベートを犠牲にする切ない場面がありこれが真実です。出来るだけ、沢山の人に観て欲しいです。

★★★★★ 目の前のゲイにも。

たぶん、この映画は、映画として見るから素晴らしく感動的で、勇気や力をくれる作品だと思う。実際、この映画と僕らのまわりのゲイ環境は違う。ミルクの生き方に感動して涙を流しても、目の前のゲイに対しては嫌悪感のある人はいくらでもいると思う。日本という国では、ゲイじゃない人達にとって、ゲイという存在は2012年になっても身近なものではなく、テレビでは未だにキワモノ担当。まあそれもゲイの一部分ではあるのだけれど。この映画に泣いた人は、どうか映画の中だけじゃなく、実生活でもゲイに偏見を抱かず、たとえば自分の周りにそういう人がいたら、優しく笑って受け入れてあげて欲しい。それがこの映画の根本的なメッセージの一つでもあると思う。ショーン・ペンはゲイから見ても、ゲイそのものでした。

★★★★★  『サイコ』の件は忘れてやろう

ガス・ヴァン・サント監督は『サイコ』のカラーコピー(決してリメイクではない)を行った「前科」があるのだが、本作に免じて無罪。それだけの価値のある作品である。1970年代に同性愛者の権利のために活動したハーヴェイ・ミルクの最後の8年間を描いた伝記映画。ショーン・ペンは本作での演技で2度目のアカデミー賞主演男優賞を受賞した。ハーヴェイ・ミルクは同性愛者であることを公表した上で、アメリカ史上初めて当選した公職者である。ミルクは1978年に、同僚議員であったダン・ホワイトによって暗殺され48歳の生涯を閉じる。公職者であったのはわずか1年余りであったが、彼の活動がマイノリティに多大な影響を与えたことは間違いない。1984年にはミルクの活動を追ったドキュメンタリー作品が製作され、その年のアカデミー賞長編記録映画賞を受賞した。本作はそのドキュメンタリー作品も参考にしながら、製作されている。本作のメガホンを取ったガス・ヴァン・サント監督は自らもゲイであることを公表しているため、適材であったといえるだろう。ここのところガス・ヴァン・サント監督は『エレファント』など、低予算の実験的な作品が続いていた。そのため、この映画は久々にガス・ヴァン・サント監督が撮った普通に良い映画なのである。無論、当時の社会情勢が勘案された内容となっているものの、ミルクの人間ドラマに力点を置いており、知識がなくても肩肘張らず観られる作品に仕上がっている。クライマックスのキャンドルライトによる追悼の通夜を再現した映像には胸を熱くさせられる。しかし、何と言っても本作を名作たらしめているのはショーン・ペンの名演技である。所作から言葉遣いなどなど、言葉は悪いがどう見てもオカマであった。このあまりに自然ななりきりぶりには言葉を失うほどだ。オスカー受賞も納得の名演である。

★★★★☆ 輝く名助演俳優ジェームズフランコ。

同性愛者が今よりももっと生きにくい時代のことを、詳しく知らなかった自分にとって、大変学ぶべきことが多かった。
自分の身を危険にさらしてでも、ゲイの市民権を主張し続けたミルク氏は、やはり「偉人」と称賛されるにふさわしい存在であると感じました。この映画のおかげで、自分はどう生きていくのかを考え直すことができました。また、特典映像の方は、出演した俳優たちのコメントや、デモに実際に参加した方の登場などもあり、見ごたえは十分だと感じました。それから、ショーン・ペンの素晴らしさについては他の方がレビューされていますので、ここではミルク氏の恋人スコット役を演じたジェームズ・フランコについて少し。正直、スパイダーマンの印象しか無かったのですが、この映画を通じて180°印象が変わりました。ミルク氏が辛い時、悲しい時、不安な時にスコットが登場すると、不思議と観ているこちらまで安心した気持ちになるんです。そんなに多くの言葉を発するわけではないのだけど、優しい笑顔や目線によってミルク氏を深く愛しているのだなというのが伝わるような演技でした。多分、ジェームズファンにとっては、たまらないのではないでしょうか(笑)。とにかく彼の存在が、この映画にメリハリをつけていたと言っても過言ではないと個人的には感じました。ぜひ注目してみてください。

★★★★☆ その生きざま

同性愛者だとカミングアウトした上で公職に就いた人物を描いた映画。選挙戦までは、同感するところと、拒否感が出ているところと半々・・・。でも、当選してからの彼の行動には目を見開かされました。同性愛者の為だけに働いたのかと思っていたら、すべてのマイノリティのために、その持てる力を使っていく。その有能性が悲劇を読んでしまうところがあまりにも悲しい。もし彼が老年まで政治活動を行っていたら世界はどう動いていたんだろう。もし・・・なんて考えること自体が虚しいのだけれど。実話の映画化なので、カタルシスが起こるようなスカッとした展開ではないので、各役者の演技とか、実在の人物の生きざまに共感できると面白いし、心を揺さぶられる。そうでないと「つまらない」になってしまうかな。『ハ―ヴェイ・ミルク』というドキュメントもあるので、いつか見比べてみたいと思いました。

★★★★☆  コラボネーションの魅力

何と言っても、ショーン・ペンとガス・ヴァン・サントの協力があって成り立っている作品だ。俳優としても監督としても活躍するショーンは力作「Into The Wild」を手掛けたばかりで、そこからエミール・ハーシュなどが参加している。
ガス・ヴァン・サント監督は、自分に直接関係のある同性愛を取り上げるにあたって、冷静さと情熱を要求されたことだろう。マジョリティーに知ってもらうために、彼の過去の作品に特有の”音楽による心理描写”や”細かい映像処理”は極力抑えられている。後半部分で”スローモーション”や”幼児の鳴き声”が挿入されているものの、全体を通してほとんどショーンの演技力に頼り切っているという感じだ。 内容は他のレヴューを見ていただきたい。私はこの作品に、誠意を感じた。あるがままを撮り、あるがままを伝える。だから、観終えたあとにすっきりとした風が胸を吹き抜けるのだろう。黒人差別や黄禍論、と戦後のアメリカは差別運動が激しく展開されたが、その渦中にハーヴィー・ミルクという男がいたことは人々の心に留められるべきことだろう。

★★★☆☆ ハーヴィー・ミルク氏の功績を称える作品

ゲイの政治家であるハーヴィー・ミルクの人生最後の8年間を再現した作品。第81回アカデミー賞の脚本賞を受賞しており、ミルク役のショーンペンは、主演男優賞を受賞している。DVDの冒頭に「ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション]」の宣伝がなされており、実物のミルクが登場する。その後、ショーンペン扮するミルクが登場する。実によく似ている。このリアリティが観る者を映画の中に引き寄せる。ただし、あまりに悲しい結末。ミルク紙の功績を称える作品としては意味があるものの、映画としてはそれ以上でも以下でもない。

★★★☆☆ ゲイのゲイによるゲイのための映画

近年、悩める青少年を繊細なタッチで描く作品が多かったガス・ヴァン・サント監督は、本作品を手掛けることによってようやくNEXTテーマを見つけたようだ。自らゲイであることをカミング・アウトしている監督にとって、ゲイをカミングアウトした人ではじめて市政委員選挙に当選した実在の人物ハーヴェィ・ミルクの自伝映画は、まさにうってつけのテーマだったと思われる。ミルクのゲイ開放運動の軌跡を追ったドキュメンタリーを見て感銘を受けた監督が映画化を切望したらしいのだが、映画の中にそのドキュメンタリー映像をそのまま盛り込むなどの編集をしており、史実にはかなり忠実な映画のようである。監督インタビューによれば、映画的演出を凝らしたのは冒頭とエンディングのミルクとゲイ・パートナーの2ショットだけだそうで、ゲイのゲイによるゲイのための映画となっている。マイクを握って椅子に座っているだけでゲイに見えるショーン・ペンの役作りはお見事で、男同士のキス・シーンなどでもブロークバック・マウンテン的な瞬間的躊躇も一切感じられず、ミルクになりきった演ゲイ力はオスカー主演男優賞にふさわしい存在感を見せている。但し、ペン自身がなりきっているとはいえ、ノンケの人が見ればやはり気色悪さを覚えるシーンも多々あり、ヴィスコンティのような芸術性によってカモフラージュされてはいないので若干の注意が必要だ。今や立派な市民権を獲得した感のあるゲイのみなさんも、ちょっと前までは自由の国アメリカでこんなにひどい差別を受けていたのかという事実を知るだけでもためになる1本。その時使われる言い訳に「神が許さない」という原理主義を必ず持ち出してくる保守層の薄気味悪さは、ゲイのみなさんのそれを軽くしのいでると思うのだが。

作品の詳細

作品名:ミルク
原作名:Milk
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ダスティン・ランス・ブラック
公開:アメリカ 2009年1月30日、日本 2009年4月18日
上映時間:128分
制作国:アメリカ
製作費:2000万ドル
興行収入:5400万ドル
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