ドラマ

レッド・ダスト

明るい未来のために・・・

インディ製作作品にもかかわらず、エージェントの元に送られて来た本作の脚本に感動したヒラリーは、どうしても主人公を演じさせてくれとプロデューサーに直談判し、主演を勝ち得た意欲作

ストーリー:白人の支配から抜け出し、民族の和解と統一を求め始めた南アフリカ。白人支配当時の犯罪は、『民族和解委員会』の聴聞会で、全てを告白すれば恩赦で無罪とされることとなった。そんな中、元警官:ヘンドリックス(ジェイミー・バートレット)の恩赦申請に、黒人男性:アレックス(キウェテル・イジョフォー)が異議を申し立てる。政治家であるアレックスは、彼の拷問に屈しなかった事で黒人たちの英雄的な存在になっていた。弁護士サラ(ヒラリー・スワンク)は、師である老弁護士ベンに請われ、アレックスを助けることに。彼女はかつてこの地に住んでいたが、黒人と交際した罪でヘンドリックスと上司のムラー(イアン・ロバーツ)に逮捕された過去があった。アレックスが異議を唱えた理由とは、共に逮捕されその後行方不明になった友人ジゼラの行方を突き止めるためであった。しかしその行動が驚くべき真実を白日の元に晒し、一大センセーションを起すことになるのだった・・・。

出演:ヒラリー・スワンク、キウェテル・イジョフォー、マリウス・メイヤーズ、ジェイミー・バートレット、イアン・ロバーツ、マリウス・ウェイヤーズ

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ シリアスなテーマです。

過去に犯した罪を清算する、告白することで恩赦を受ける、つまり贖罪という南アフリカ独特の民族和解委員会というものをテーマにした非常に重苦しい映画です。その舞台で繰り広げられる真実を知ることとは国民の解放となるのかというところを問うたものです。懺悔をすることにより、こころが救われるが、告白を聴いたものはいったいどう受け止めたらよいのか、神の思し召しに叶ったことなので、許しを受け止めるのかというところに、複雑な心境に陥ってしまい、その余波がいつまでも続いてきまりがつかないような感じがします。アパルトヘイト廃止後の世直しとして、お互いが歩み寄り善処するための国家施策であり、他国が余計なことを言える立場ではありませんが、贖罪を簡単には許したくない、そしてひとを傷つけ、さらしものにしてまでという気持ちになります。この作品は、ケーススタディーとしてルポルタージュしたものをドキュメンタリー風に描写しているようにも思います。”人間を尊重する”とはいったいどういうことだろうか。いずれにしても、社会問題として視聴者に一石を投じる形となっています。『ミリオンダラー・ベイビー』、『フリーダム・ライターズ』でも見られるようなヒラリー・スワンクのネバーギブアップのアツい精神がこの映画にも注がれています。

★★★★☆ 人間の愚かな行い。そして未来への希望

黒人を尋問、拷問していた南アフリカ。その迫害していた白人たちに恩赦を与えるための聴聞会が開かれるようになった。無罪の恩赦を受けるための条件。それは『すべてを話すこと』。聴聞会で加害者である白人と、被害者の黒人が対面する。白人の男性が、自分のしたことを躊躇しながらも吐露していく。そして過去の凄惨な現場がフラッシュバックされ、画面に映し出される。次第に明らかになる非道な事実。白人の男性は極悪人という印象はなく、したことを悔いているという表情。しかしそのフラッシュバックの映像は想像を絶するもので、許しがたき行い。怒りが湧いてきました。一方拷問を受けた黒人男性の方はまさに今書いたように怒りに震えている様子。聴聞会という公の場で大人げない行動はできない。しかし感情を露わにする黒人男性。一緒に拷問を受けた友人の悲しげな表情が目の前に浮かび、許せない感情の彷彿とした様はとても痛々しい。被害者の黒人男性を弁護する弁護士は白人の女性。幼少の頃黒人と遊んでいた過去を持ち、白人ながらも黒人を愛する気持ちを持った心優しき女性。「黒人のことが好きなのか」と卑下されようと、躊躇う様子もなく自分を保ち続ける強き女性。彼女が黒人を弁護しているシーンや、その黒人男性と屈託のない会話をする様子は”平等”や”平和”いう言葉を浮かび上がらせ、とても貴重な映画であると感じました。このような人種差別の映画を観るたびいつも思うこと。それは人間という生き物の愚かさと、これから人種という言葉が無くなるような未来への希望。いつもそう感じます。

作品の詳細

作品名:レッド・ダスト
原作名:Red Dust
監督:トム・フーパー
脚本:トロイ・ケネディ・マーティン
公開:2004年9月13日
上映時間:110分
制作国:イギリス、南アフリカ共和国
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