ドラマ

ランド・オブ・プレンティ

アメリカを舞台に、人間の温かさ、優しさを描いた衝撃の感動作! 

ストーリー:イスラエルで育った少女ラナは亡き母の手紙を叔父に渡すため、10年ぶりに故郷アメリカに帰ってきた。誇り高き自由の地、アメリカを一人で守ろうとしているベトナム帰還兵の叔父ポール。アラブ系のホームレスが殺される現場に居合わせ、二人は再会する。ラナはその遺体を遺された兄ジョーに届けるため、ポールは事件の真相を突き止めるため、二人はアメリカを横断する旅に出る。ロサンジェルスから最果ての地トロナを経て、悲しみの街ニューヨークまで・・・。

キャスト:ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディール、ウェンデル・ピアース、リチャード・エドソン、バート・ヤング、ショーン・トーブ

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 傷つき、傷つけるアメリカへの、批判と労り

9.11テロ事件によって、アメリカ国民全体が深く負ってしまった心の傷、という主題は、たとえば「再開の街で」でも描かれていました。しかしこの映画は、「その怒りや憎しみが、結局は他者へ向けられてはいないか?」という視点を持つことで、作品性を数段高めています。作中何度も登場する、鍵をかける人たち。叔父さんはアラブ人をみればテロリストと疑ってかかり、粗暴な正義感に基づいて「広大な空間を守る一人の自称保安官」を演じて見せます。まさしく、縮図として。そしてその「傷つけるアメリカ」をも、ヴェンダース監督は、指弾するのでなく、彼の心の傷の深さを描き、その苦悩を認めた上で、ラナの言葉を通じて、いたわるように、「他に出来ることがあるはずだ」と問いかけます。ロードムービーの果てに、叔父さんは完全装備に身を固め、そこにテロリストがいると確信して、ある一軒のボロ屋へ踏み込みます。そこで彼がみたものこそ、そして彼の、粗暴で、滑稽で、一方的で、けれども確かに恐怖にかられて起こす一連の行動こそ、テロによって心に傷を負ってしまったアメリカが引き起こしたイラク侵攻であったのだと、私は思います。最後になりますが、ミシェル・ウィリアムズ演じるイスラエル帰りの少女、ラナのすばらしさ!心優しく、他者に寛容で、叔父さんを優しく心配しながら、「暴力でないなにか」を探すことができる、と微笑む彼女にこそ、作品の持つ、慈愛の心を感じました。

★★★★★ ヴェンダースのロードムービー!面白くないはずがない!

の映画が、わずか16日間で、撮影されたなんて信じられません。私にとって、ヴェンダース作品の中でも印象的な一本になりました。この作品の背景にあるのは、言うまでも無く「9.11同時多発テロ」。さらには、その後の、「イラクへの侵攻」だと思います。しかし、この作品からは、そういった行動を起こした、アメリカに対する批判的な印象は受けません。むしろ、ヴェンダースのアメリカに対する愛が感じられます。それは、劇中に登場するラナの、人種や国籍をこえて、人々にそそがれる好意や信頼の様子から汲み取ることが出来るはずです。そして、ベトナム戦争のトラウマに悩まされるポール。そのポールの、周りの人間への異常なまでの警戒心が、純粋に人を信じるラナと行動をともにすることで、少しずつ変化していく様子が印象的です。タイトルソングである、レナード・コーエンの「ザ・ランド・オブ・プレンティー」も、この作品を、さらに印象深くする役割を果たしています。

★★★★☆  9.11をテーマに

9.11をテーマに描かれていますが、個人的には政治色だとかを感じるより、「人が生きる」ことに強く惹かれました。いつの時代にもヴィムベンダース監督は、様々な登場人物を暖かな視線で見つめているように思います。音楽や映像にもとても惹かれます。彼の映画のもつテンポとか好きな人なら十分楽しめるし、そうでない人には退屈な映画に映るかもしれません。

★★★★☆ アメリカの抱えるものとは

ヴェンダースが自ら述べているのであるが、9.11以後にアメリカにこのままではいけないと発したメーセージとしての映画。ヴェンダースが自らそのように発言しているのを見て、少し映画の面白みにかけるのではないかと思われたが、そうでもなかった。パレスチナから出てきた少女ラナと、その伯父で、現在はアメリカを脅かすようなテロリスト探しに躍起になる帰還兵の老年男性ポール。導入部はゆったりとしているが、ところどころに挟まれる殺伐としたアメリカの風景は現実的である。少女が住まっていた伝道所に食事をとりにきていた一人の貧しい青年の殺人事件から物語はテンポよく進みだす。この殺人事件をめぐり、ラナとポールのものごとの受け取り方がはっきりと違うのが対比されていく。人のものを見る目とは、基本的にはそれまでたどってきた経験に大きく基づくものであり、なかなかそれをのりこえることはできないことがうまく描かれる。最後にポールは自らテロリストを探してきたのが結局ぶちあたったのはアメリカそのものの貧困であることをつきつけられる。話的にはありがちかもしれぬが、しかし現実の中で多くがなかなか乗り越えられないものをしっかりと描き、そしてメッセージをもって伝えようとしているところに、少なくとも僕は共感をもってみることができた。最後の数十分が最もメッセージ性が高いとされているが、しかし僕にとっては9.11について二人が直接語る最後のシーンは正直蛇足な気がする。いろいろはさまれるメッセージにぴったりこないものもあるが、やはりカメラワークは巧みである。最後のシーンの「真実」と「結果」という道路標識を少女越しにとる映像も音楽とも絶妙にあい、粋である。

★★★☆☆ そんな単純でいいのか?

ベトナムで負傷した叔父と、イスラエルからアメリカに戻ってきた姪。叔父の「偉大なアメリカを守らねば」という滑稽なまでの使命感は脅迫神経症に近い。誰にも頼まれていないのに、アラブ人を追跡・調査し、その記録を膨大に残し続ける。アメリカの病理、世界の警察としての自意識の強さや独善を体現した男をコメディタッチで描く映画かと思ったら、イスラエルでパレスチナ問題を現場で体験してきた姪に色々と諭されて、自分の信じてきたアメリカおよび世界観が、夜郎自大な思い込みに過ぎなかったと気づく、というそれ自体はよくある展開。さすがにアメリカの田舎の不毛な風景とそこに乗せられる音楽はヴェンダースらしく絶妙にかっこいい。ミュージックビデオとして優れた作品とも言える。ただ、善良なアラブ人が発する「私の故郷は国ではない、民族だ」にはじまり、叔父がベトナム戦争について「俺たちは勝った」、そして9.11テロの跡地に赴き、姪が叔父に言う「犠牲者たちの声に耳を澄まそう」というそれぞれのメッセージはあまりにも予定調和で、人物造形が薄いのではないか。あえて、アメリカの9.11以降の言論状況への皮肉として、単純な構成、登場人物の深みのない性格や紋切り型のセリフによる対話をつくりあげたのだろうか。どうも、そう考えているようにもみえなかった。名作『パリ、テキサス』は何だったのだろう。

作品の詳細

作品名:ランド・オブ・プレンティ
原作名:Land Of Plenty
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、マイケル・メレディス
公開:ドイツ 2004年10月7日、日本 2005年10月22日
上映時間:124分
制作国:アメリカ、ドイツ
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