彼女がいたからケネディ大統領は〈永遠の伝説〉になった
夫の突然の死のわずか3日後に荘厳な国葬を取り仕切った世紀のファーストレディ、“ジャッキー”。今も語り継がれる偉業の裏で、“ケネディ大統領夫人”として使命を全うしたジャッキーの知られざる真実の物語。ジャッキーを演じるのは、この年の賞レースを席巻し、2度目のオスカーの呼び声も高いナタリー・ポートマン。ジャッキーがまとって大流行となった、シャネルスタイルのスーツやピルボックスハット、舞踏会でのドレスなど、エレガントなファッションも見逃せない。ナタリーにオスカーをもたらした『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督がプロデューサーとして参加し、『NO』でアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされたチリ出身の気鋭・パブロ・ララインが監督を務めている。強い想いを貫いた一人の女性の気高くも美しき物語が、ここに生まれた。
ストーリー:1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領は、テキサス州ダラスでのパレードの最中に銃撃される。目の前で愛する夫を暗殺されたファーストレディのジャッキー(ナタリー・ポートマン)は、怒りと衝撃に震えていたが、悲しんでいる時間はなかった。すぐに副大統領が新たな大統領に就任して激務を引き継ぎ、刻一刻と夫が過去の人になっていくのを目の当たりにしたジャッキーは、彼の名前と功績が後世に残るかどうかは、この数日間の自分の行動にかかっていると気付いたのだ。自らの手で築き上げてきた〈ケネディ伝説〉を永遠にするために、ジャッキーは命の危険さえも顧みず、最後の使命に身を投じる。
出演:ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、 ビリー・クラダップ、ジョン・ハート、リチャード・E・グラント、ジョン・キャロル・リンチ、ベス・グラント、マックス・カセラ
★★★★★ すべてにおいて一級品。知性的で美しい作品。
主演女優賞を含め、その年のアカデミー賞を総なめにしても良い作品だったと思います。素晴らしいスタッフの知性に裏打ちされた芸術品。
★★★★☆ 「神話」の世界を憧憬する、ひとりの女性の偏執と虚栄心
ジャクリーン・ケネディ(1929 – 1994)の伝記映画です。劇中では、ジョン・F・ケネディの大統領就任から暗殺と葬儀にいたるまでが描かれています。本作はアメリカでは批評家と一般観客の反応が著しく解離していたよう。たしかに、ひとりの女性が夫の死をのりこえて葬儀に臨むという感動的な物語を想像していると、肩すかしをくらうのは当然かもしれません。むしろ本作は、ひとりの女性がある種の狂気を実現させる様を描いた一作だからです。近年『スティーヴ・ジョブズ』(マイケル・ファスベンダー主演版)、『マイルス・デイヴィス 空白の5年間』、『ブルーに生まれついて』と、奇妙な伝記映画が増えてきたなと思っていました。それらの作品は伝記的事実を忠実に再現するというより、あからさまにキャラクターやエピソードをデフォルメし、作り手の考えるその人物「らしさ」を誇張することで、人物像を象徴化することが意図されていました。ですが、本作はそれらの映画とくらべても奇妙な作品でした。淡々とリアリスティックに描かれているように見受けられるにもかかわらず、全体をとおして象徴性を帯びています。劇中の出来事は、ジャクリーンの語りをとおしての回想形式で提示されるため、どこまでが事実かは判然としませんし、おそらく何が事実かはさほど重要ではありません。それは、ひとりの男性が「JFK」という「神話」あるいは「おとぎばなし」の世界の住人へと神格化することに寄与した、ひとりの女性の物語を描くにあたり、とてもふさわしい描き方でした。本作では、アーサー王が自らの城を築いた伝説の地「キャメロット」がなんども言及されるとおり、アーサー王とキャメロットが、大統領とホワイトハウスに重ねられています。伝統や歴史に対するジャクリーンの憧憬と偏執と、それらの一部となりたい虚栄心が反映されています。じっさい彼女はアメリカ建国史に名を連ねる人物の遺物を熱心に集めていましたし、それは劇中でも描かれていました。そして(少なくとも劇中の)ジャクリーンは、大勢の身の安全よりも優先して、夫である大統領の死さえも伝説の一部として演出しようと画策します。彼女のすさまじい偏執と虚栄心は実を結びました。しかもそれは、彼女自身もまた「JFK」とならぶ「ジャッキー」というアイコンとして、伝説の一部になることを意味してもいました(事実、その後アンディ・ウォーホールが好むアイコンにもなり、現在でも依然として「アメリカの悲劇」の象徴であり続けています)。それでも、本作ではそこまで描かれませんが、結局ジャクリーンが生涯にわたり、「ジャッキー=志半ばで非業の死をとげたケネディの妻」という、自分の肥大しすぎた名声につきまとわれ続けた(それを払拭するため海運王オナシスと結婚までしてしまったほど)ことを考えると、なんとも言えない想いにかられます。とくに、ジャクリーンが「おとぎばなし」の世界に酔いしれられていられたころの、あまりに甘美でロマンティックな、それゆえ、あまりに残酷に見えるラストシーンを観たときは、心底ゾッとさせられました。個人的には、ナタリー・ポートマンの全キャリアでも屈指のすばらしい演技だったと思います。単純にジャクリーンのしゃべり方に似せたとか、そういうレベルを越えていました。つねに抑制的で容易には本心をさとらせない堅い表情ながら、それでいて様々な感情を読みとりうる複雑さを与えられる表現力。狂気じみた偏執や虚栄心ですら崇高に見せてしまう説得力。圧巻でした。
★★★★☆ パークランドも見たので
映画『パークランド』も見たので、これも楽しみにしていました。ホワイトハウスの内部ってこうなってるんだ~、と当時のインテリアなどとても参考になります。ピンクのシャネルスーツを見た時には心痛みました。事件後も、関係者にはこんなことがあったのか~、と(お葬式のこととか)知りました。ナタリーポートマン、素敵でした☆
★★★☆☆ ナタリー・ポートマン
ナタリー・ポートマンは不幸な役が似合うなあ、心配になる程細いけどこの映画のファッションにはよくあっているなあ、と思いました。
作品の詳細
作品名:ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 |
原作名:Jackie |
監督:パブロ・ラライン |
脚本:ノア・オッペンハイム |
公開:アメリカ 2016年12月2日、日本 2017年3月31日 |
上映時間:95分 |
制作国:アメリカ、チリ |
製作費:900万ドル |
興行収入:3600万ドル |
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