20世紀初頭のイギリスを舞台に、華やかな生活を夢見る少女の作家デビューから愛の終着点までを艶やかに描いた感動作
ストーリー:20世紀初頭のイギリス。エンジェル・デヴェレル(ロモーラ・ガライ)は、幼いころから上流階級の生活に強烈な憧れを抱き、近くにある屋敷に住むことを夢見ていた。その憧れを小説として書き綴ることで、16歳にして作家デビューを果たし、思い描いた人生を手に入れるが・・・。
出演:ロモーラ・ガライ、シャーロット・ランプリング、ルーシー・ラッセル、マイケル・ファスベンダー、サム・ニール、ジャクリーン・トン、ジェマ・パウエル、ジャニーン・デュヴィツキ、クリストファー・ベンジャミン
★★★★★ どうみても女性のほうが楽しめる映画
オゾン監督の作品群の中で『8人の女たち』が1番好きな私にとって、こういう作品を待ち望んでいました。相変わらず悪意と愛情が入り混じった辛辣かつ的確な女性の描写はオゾン監督の十八番と言っていい。あからさまに確信犯的なベタなシーンから細かいシーンに至るまでことごとくツボでした。監督本人も楽しんで撮ったんだろうなぁというのが端々で伝わってくる。ラストは結構ズシーンとくるものがあって、良い具合に後にひく素晴らしい映画でした。例によって、男性より女性のほうが楽しめる映画だと思います。
★★★★☆ 面白かったです!
現実の人生と夢見た人生が上手くかみ合わない。何もかも手に入れたのに誰からも愛されなかった、終盤のエンジェルの絶望や哀しみが痛かった。まだ若いうちに成功してしまい加速する放漫さ、運命のイタズラのような愛人の家とそそられた。オゾン監督にしてはノーマルでサラッとした感じ。その割にエンジェルの人生には厳しい結末だった。人気作家の妻、世間から評価されない夫の立場でこのドラマを見たら、別の角度でまた面白い。「アーティストは彼女のような生き方をしてはならず、常に進化し、現実と繋がり続けなければならない。そんな自戒の気持ちを込めて描きました」(オゾン監督)
★★★☆☆ 自己愛を飼いならせなかったお姫様
舞台は1900年代初頭のイギリスで、クラッシックな衣装や建物がふんだんに使われ、大時代劇的メロドラマの趣きがあります。主人公のエンジェルは、少女の頃から有名な作家になることを夢見る、というよりも、疑うことのない自信を持っていた。見栄っ張りで傲慢、天衣無縫でエキセントリックな性格は周囲の人々を振り回す。自分を特別な人間だと思っていて、かなりの自己中ではあるけど、いつも自分に正直でどこか無垢なところもあり、憎めない魅力的を放っていた。
平凡に収まりきらない生き方は、傍で見てる分には面白い。核となる人間関係は、エンジェルを崇拝するノラと、その弟エスメ。エンジェルはエスメに一目惚れしてしまい、結婚まで漕ぎ着けるものの、その愛情は生涯を通して一方通行だった。エンジェルの美しい外見と激しい性格は、『風とともに去りぬ』のスカーレット・オハラを思い出させる。 そうなるとエスメはアシュレかな。姉ノラの、あまりに献身的にエンジェルに尽くす姿は同性愛傾向を感じさせ、豪邸に住む3人の三角関係は緊張感をはらんでいた。売れない画家だったエスメは、女たらしの不実な男だったけど自分の才能に見切りをつけ、妻エンジェルに養われるのは辛かったろう。全てを手に入れ、一時は人生の頂点を極めたものの、だんだんと
自分の思い通りには行かなくなり、破滅へ進んでいく。ずっと自分で作り上げた虚構の世界に生きてきたエンジェルが
最期のシーンで初めて現実を受け入れる。その姿が哀れで愛しく、最後まで高飛車なお姫様でいさせてあげたかったと思った。
作品の詳細
作品名:エンジェル |
原作名:Angel |
監督:フランソワ・オゾン |
脚本:フランソワ・オゾン |
公開:フランス 2007年3月14日、日本 2007年12月8日 |
上映時間:134分 |
制作国:イギリス、フランス、ベルギー |
興行収入:280万ドル |
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