英雄となった彼は戦地で何をみたのか・・・
ストーリー:2004年イラク戦争。味方を助けるため、危険を顧みずに飛び交う銃弾の中に身を投じたビリー・リン(ジョー・アルウィン)。その雄姿が偶然ニュースにとりあげられたことで国の英雄になった彼とチームは、一時帰国の間に全米凱旋ツアーに駆り出される。故郷の歓迎に再出兵をためらう気持ちが芽生えるビリーであったが、同時にその歓迎への疑念も生じる。そして、いよいよ戦地へ戻る前日、ツアー最大の目玉となる感謝祭のアメリカン・フットボールのハーフタイムイベントに迎えられたビリー。大歓声の中、彼は戦地を回想する・・・。
出演:ジョー・アルウィン、クリステン・スチュワート、クリス・タッカー、ギャレット・ヘドランド、ヴィン・ディーゼル、スティーヴ・マーティン、イスマエル・クルス・コルドバ、ティム・ブレイク・ネルソン、ボー・ナップ
★★★★★ 本作が鋭すぎた故の不遇か。
応援する意味で、敢えて星五つです。この作品がアメリカでオオコケしたのを受けて日本でもスルーされてしまいましたが、その事実が返って、本作が描いてきた社会そのものをあぶり出しているように感じました。この映画に対する世間の反応そのものが、皮肉にもこの映画が限りなく真実に近い何かを鋭く描写していることを証明していると思います。必見な作品だと思います。
★★★★☆ 理想と現実の狭間で・・・
イラク戦争に出征していた19歳の米兵が、ひょんなことから戦争の英雄に祭り上げられ同じ隊の面々と一時帰国するが、銃後のアメリカでのギャップに苦悩するさまを描いた社会派ドラマ映画。従軍し戦功をあげた兵士が士気高揚の一端を担う様は、第二次世界大戦での太平洋戦線を描いたドラマ「ザ・パシフィック」にも戦時国債購入促進キャンペーンで帰国するエピソードがあるように伝統的に行われていることだ。従軍した兵士に対する敬意を国民は忘れないというコマーシャリズムに基づく方策が、時代と共に本質が見失われている様子が描かれている。それらの宣伝の渦中で彼らを利用しようとする勢力に嫌気がさし、軍隊が自分の居場所としてそこにとどまる選択をするビリー・リン。命の危険がある戦地のほうが平和なアメリカより選ばれる皮肉な状況は、観ている我々にほろ苦い現実を突き付けている。ある意味これの映画化に協力できる米軍の懐の深さと、自由の国の旗手である米国のもう一つの顔が見え隠れする佳作だ。
作品の詳細
作品名:ビリー・リンの永遠の一日 |
原作名:Billy Lynn’s Long Halftime Walk |
監督:アン・リー |
脚本:ジャン=クリストフ・カステッリ |
公開:アメリカ 2016年11月18日、日本 劇場未公開 |
上映時間:112分 |
制作国:アメリカ、イギリス、中国 |
製作費:4000万ドル |
興行収入:3000万ドル |
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