ドラマ

アメリカ、家族のいる風景

西部劇のスターとして活躍したものの、今やすっかり落ちぶれてしまった男が、“家族”というものに素直に向き合おうとする姿を描いたヒューマン・ドラマ

ストーリー:ハワード・スペンス(サム・シェパード)はかつての西部劇スターだ。ある日モニュメント・バレーで撮影をしていた彼は、ブーツを脱いでネバダ行きの電車に飛び乗り、母親(エヴァ・マリー・セイント)に会いに出かけた。映画関係者に雇われた探偵サター(ティム・ロス)が、彼の後を追っていることには、まだ気づいていない。次にスペンスはモンタナへ行き、身内の死から立ち直ろうとしている若き女性スカイ(サラ・ポーリー)に出会う。そして、クリス・アイザックのように歌う、どこか反抗的な青年アール(ガブリエル・マン)。彼が若気の至りの行為によって生まれた自分の子どもだということを、スペンスはまだ知らなかったが、後にこの衝撃の事実を知ることになる。

出演:サム・シェパード、ジェシカ・ラング、ティム・ロス、ガブリエル・マン、サラ・ポーリー、フェアルザ・バルク、エヴァ・マリー・セイント、ジョージ・ケネディ、マーリー・シェルトン

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★ 映像の色彩

まったく期待せずに観たのだが、素晴らしかった。秀逸なセンスとカメラワークでアメリカ西部の乾いた空気感や、他者との「コミットメント」に飢えてる人々の寂寥感を出している。そして、映像の色彩というか、「色合い」が素晴らしい。いかにもアメリカらしい青い乾いた空の鮮やかさ。しかしそれは「カリフォルニアの青い空」とは違うのだ。「寂しい青」とでも言おうか。そこにはためいているアメリカ国旗。そんな風景の中に立つサラ・ポーリー(良かった!)の諦念を含んだ哀しい笑顔。ブロンドの髪。ワイン色のジャケット。青い骨壷。すべてが完璧なハーモニーを奏でている。ただ、この邦題の付け方はいかがなものかと思うが・・・。

★★★★★ 最高傑作です

たまたま母と一緒に劇場で鑑賞しましたが、親子で涙が止まりませんでした。ある特定のテーマを押し付けるような厚かましさはなく、見る人それぞれが、それぞれの感覚で「家族」を感じられる作品となっています。感動するところを述べたらきりがありませんが、私は娘が父親に対して純粋に気持ちを打ち明けるシーンにとても感動しました。彼女の素直さがアール(息子)の気持ちを溶かしたのだと思います。それにしても、なぜベンダースが老人を描くとこんなにも素晴らしいものになるのでしょう。日常忘れがちですが、改めて老人に敬意を感じることができました。

★★★★☆  ヴェンダースの家族観

作品のあらすじは、かつての映画スター(ハワード)が、かつての恋人(ドリーン)との間に息子(アール)がいることを知る。そして、彼は息子に父であることを告げるのだが、息子は父を受け付けない。そこに、遺骨を抱えた少女(スカイ)現れる。シンプルなストーリーですが、巧みな人間描写が作品に深みを与えています。この作品で重要なのは、ハワードとアールを取り囲む、ドリーンやスカイといった女性たちです。劇中で、この女性たちが輪郭となり、ハワードとアールの人間関係を浮かび上がらせています。中でも印象的なのがスカイです。彼女は、ハワードとアールの間に度々現れ、二人の行動をそっと見守ります。しかし、それは傍観ではありません。その眼差しは、母親が子供の成長を見守る眼差しとなんら変わらないように感じます。この作品が描いているのは、現在のアメリカに置ける「家族観」の変化ではないでしょうか。現在、アメリカでは夫婦の離婚率が上昇し、それに伴い、シングルマザーが急増。さらには、日本のように核家族化も進んでいるようです。私は、「家族」とは、人が社会生活を営む上で、最も重要な存在であり、社会集団の一つであると考えています。ヴェンダースは、この作品によって、上記のような社会の流れに、警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。

★★★☆☆ 諦めの受容

独身中年男性が、現在の自分の人生に虚無を感じ、仕事をほっぽり出して、存在する自分の子供を捜しに旅に出かけるロードムービー。西部の荒涼とした空疎なアメリカの砂漠が、どこまでも映し出される。ティム・ロスが砂漠で、さらりとフィリップスの電動シェーバーを使って髭を剃る。この髭を剃るシーンがとてもきれいだ。開拓されていない空っぽの砂漠と、トリプルトラックヘッドシェーバーとの対峙が、やわらかな陽光の下とても美しい。男は幸せな家庭を築くことを自分の夢とするのか、自我の実現を自分の夢とするのか、といった野暮ったい話ではない。どちらかを選択する以上、必ず後悔するというペシミスティックな話でもない。旅をすることで、濃密な空疎の中で、人生のある種の諦めを受容する話ではある。朗らかな風が、人間味のある旧車が、1人の男の旅を、優しく当然のこととして称えている。

作品の詳細

作品名:アメリカ、家族のいる風景
原作名:Don’t Come Knocking
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:サム・シェパード
公開:2005年5月19日
上映時間:124分
制作国:アメリカ
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