顔で笑って、心に殺意
ヤスミナ・レザの舞台劇を元に、ロマン・ポランスキー監督が手掛けたコメディドラマ!
ストーリー:ニューヨーク、ブルックリン。11歳の子供同士の喧嘩の後、話し合いのため集まった2組の夫婦。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョディ・フォスター/ジョン・C・ライリー)とカウアン夫妻(ケイト・ウィンスレット/クリストフ・ヴァルツ)。冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせ、お互いの本性がむき出しになっていき、やがては夫婦間の問題までもが露わになっていく・・・。
出演:ケイト・ウィンスレット、ジョディ・フォスター、ジョン・C・ライリー、クリストフ・ヴァルツ
★★★★★ 名優の鬩ぎ合い
ほとんど同じセットで撮影されているにもかかわらず、ぐいぐいドラマに入り込んでしまうのは現代を代表する4人の名優たちの演技こそである。現代社会における教育問題であるモンスター・ペアレンツを彷彿させる人間の深層心理を表現しきっている。流石、ポランスキー監督作品である。
★★★★★ 本音と建前が見える「おとなのけんか」
『戦場のピアニスト』でアカデミー賞を受賞したロマン・ポランスキー監督が描くコメディ。子供たちの喧嘩で、一方が怪我を負ったことを発端に、平和的な話し合いをしようと親同士で集まるものの、ちょっとした意見の相違から、おとなのけんかに発展していくというあらすじです。主に画面に登場するのは4人だけで、舞台にできそうと思っていたら、元々戯曲が原作とのこと。それぞれの夫婦の仕事からも推測できるように、価値観が異なる彼らが、最初は平和的な雰囲気を作ろうとしていて、共通の話題を探りつつも、ちょっとした間がある場面など、微妙な空気感が絶妙に表現されています。そして、徐々に話がこじれてきてからが、いよいよ本作の見所。それぞれ価値観が異なるおとな4人の言い争いは、誰が正しいという訳でもなく、ただただ「けんか」。おとならしく事態を収めようとしつつも、ちょっとした言葉をきっかけに応酬が続いていく、本音と建前を両方見せる脚本が冴えています。芸達者な出演陣による演技も見事。1人1人の個性がきちんと表現されていているため、けんかの理由に説得力があります。ジョディ・フォスターや、ケイト・ウィンスレットもいいですが、嫌味さが隠し切れない弁護士を演じるクリストフ・ヴァルツが個人的には一番。絶妙なタイミングでかかってくる彼の携帯電話と共に、コメディとしてのポイントも抑えてくれています。映画としては短めの作品ですが、
★★★★☆ 大人は勝手にアレコレ想像する。
近所同士の子どものトラブルから、それぞれの両親が話し合いをする場を持つ映画。それぞれの両親が自分たちの主張を激しく伝えたり、やんわり伝えてみたり、「こう思うやああ思う」を議論をしていく。それぞれの価値観を貶したりしながら・・・。ただ、最後のシーンを観てわかるように、子供同士なんてあんなものだし、大人が想像する程大したものではない。子どもの立場に立って考えれば分かりそうなのだが、大人は勝手にアレコレ想像してケンカするんだなぁと。
★★★☆☆ エスカレートもほどほどに。
ジョディ・フォスターとジョン・C・ライリー、ケイト・ウィンスレットとクリストフ・ヴァルツの夫婦役で、それぞれが個性豊かな演技をしています。子ども同士のけんかで、大人のやり方で金銭的に解決しようとしていたはずが、それぞれ夫婦対抗のうわべだけの冷戦バトルになり、だんだんとエスカレーション。ついには、男同士、女同士と形を変えたり、夫婦でなじりあい、四つ巴になってバトル、壮絶なののしりあいに発展するのです。いずれも子どものけんかが起因していますが、枝葉が伸びてしまい、とんでもない片端でエスカレートしていき、そこには上品さや気品は何もなく、髪を振り乱しての泥仕合になっていくのです。日本と文化が違うんだと思いますが、人前で、まずこのような並外れた展開はないので、納得感がなく、共感しにくいことと、ブラックユーモアだとしても、コメディジャンルとして諸手をあげて笑えるような部類ではないと思います。もうちょっとド派手なモーションでドタバタがあってもよかったのかもしれません。
作品の詳細
作品名:おとなのけんか |
原作名:Carnage |
監督:ロマン・ポランスキー |
脚本:ロマン・ポランスキー、ヤスミナ・レザ |
公開:スペイン 2011年11月18日、日本 2012年2月18日 |
上映時間:80分 |
制作国:フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド |
製作費:2500万ドル |
興行収入:3000万ドル |
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