失踪した息子の行方を捜す父親を通して、過酷な真実が明らかになる
ストーリー:2004年11月1日、ハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)の元に、息子のマイク・ディアフィールド(ジョナサン・タッカー)が軍から姿を消したという不穏なニュースが告げられる。軍人一家で育った息子に限って、無許可離隊などあり得ないと思ったハンクは妻のジョアン(スーザン・サランドン)を残し、息子を探すために帰還したはずのフォート・ラッドへ向かう。地元警察の女刑事エミリー・サンダース(シャーリーズ・セロン)が彼の捜索を手伝い、一歩一歩真実を解き明かしていくのだが、そこには父親の知らない息子の”心の闇”が隠されていた。そしてこの事件に裏に潜む真実は、ハンクがこれまで信じてきていた全世界を揺がすほどの衝撃的な事実となる。疑うことなく抱き続けた自らの信念を根底から覆される時、人はどう真実と向き合い、どう答えを出すことができるのか・・・。
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドン、ジョナサン・タッカー、ジェームズ・フランコ、ジョシュ・ブローリン、フランシス・フィッシャー、ジェイソン・パトリック、ジェイク・マクラフリン、メカッド・ブルックス、ゾーイ・カザン
★★★★★ やっぱりポール・ハギスは上手いなぁ
プレイボーイ誌に掲載された実際の事件の記事を基に、アカデミー賞作品賞受賞作『クラッシュ』のポール・ハギス監督が描くサスペンス・ドラマ。本作でも、ハギス監督の上手さが随所に見られる。息子の失踪を父親が捜索するという流れ事態はその通りなのであるが、記事自体は父親メインの記事ではないそうだ。本作はあえて渦中の息子ではなく、父親を主人公に据えている。父親の苦悩や葛藤といった部分は記事では触れられていないことなので、ハギス監督が膨らませた部分である。これが非常に効果的に働いている。父親は退役軍人で細かい部分にもきっちりした性格の持ち主。父親は息子の失踪に疑念を抱き、親として、そして軍人としてその真相を探ろうと試みる。真相に迫るほどに、息子の知られざる素顔が暴かれ、イラクで兵士が置かれている過酷な状態が垣間見えてくる。父親は我が子が何者かに殺害されたのだから、その怒りは消えることはないだろう。しかし息子が虐待やドラッグ、暴力に走っていたという事実を知り、父親が抱いていた息子像が崩壊していく。更にはPTSDに苛まれ、誰もが殺人者になり得たという若き兵士が置かれた極限の精神状態も、元軍人であれば理解出来る。しかし自らの現役時代の常識との違いに全てを認めることは出来ない。こうして辿り着いた真相は、誰に怒りの矛先を向けていいのかわからない混迷した感覚である。キャストの演技も抜群に素晴らしい。トミー・リー・ジョーンズはお馴染みの追跡者のような役柄で映画ファンをニヤリとさせながらも、ハンクの余りに複雑な心境、そしてハンクというその人となりを、少ない台詞の中、表情や所作で絶妙に表現。シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドンも要所要所でしっかりと、観客の心をグッと掴まえる演技を披露。アカデミー賞受賞者3人の共演は見応えたっぷりである。
★★★★☆ 戦争の狂気が伝わってくる映画だった
帰還兵の青年たちは、あの戦場で何を見てきたのか、何をしてきたのか、何が、彼らをそうさせたのかと。イラクから戻った青年たちの心の闇が、とても重い。出てくる人も、みんな良くてね。とても心に残るの。特にスーザン・サランドンから母の愛を感じました。最後に、トミー・リー・ジョーンズ演ずるお父さんがアメリカの国旗を逆さまに上げる場面があるんですよ。戦争をしたけれど、みんなが悲鳴をあげている・・・。なんで、こんなになっちまったんだと、そんな感じ。戦争の狂気が伝わってくる重たいドラマだった。
作品の詳細
作品名:告発のとき |
原作名:In the Valley of Elah |
監督:ポール・ハギス |
脚本:ポール・ハギス |
公開:アメリカ 2007年9月14日、日本 2008年6月28日 |
上映時間:121分 |
制作国:アメリカ |
製作費:2300万ドル |
興行収入:2900万ドル |
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