街のどこかで出会う悲劇と喜劇
マンハッタンのアパートで暮らす、ちょっとわけありの美女・メリンダの恋の行方を、ハッピーエンドとビターエンドの2通りの結末で描く
ストーリー:物語の舞台は、もちろんニューヨーク。ヒロインのメリンダ(ラダ・ミッチェル)は、医者の夫と別れ、この街へやって来た。彼女がアパートのドアを開け、パーティの輪に入ったところから、ふたつのストーリーが展開していく・・・。ひとりのメリンダは、パーティーの主催者ローレル(クロエ・セヴィニー)の学生時代の親友。不倫をしたあげく、自殺未遂を図ったというメリンダは、ローレルの家にしばらく同居することに。あるパーティで、メリンダはエリス(キウェテル・イジョフォー)というピアニストに出会う。すっかり彼に惹かれてしまったメリンダだったが・・・。もうひとりのメリンダは睡眠薬を飲みすぎてしまい、同じアパートのホビー夫妻の部屋へ転がりこむ。ホビーはそんなメリンダと競馬場に出かけたりして友人関係を持つうちに、いつしか彼女が気になる存在となってしまっていた。一方でホビーの妻は、メリンダに独身の歯科医を紹介しようと動き出すのだが・・・。
出演:ラダ・ミッチェル、クロエ・セヴィニー、ジョニー・リー・ミラー、ウィル・フェレル、キウェテル・イジョフォー、アマンダ・ピート、ウォーレス・ショーン、ジョシュ・ブローリン、スティーヴ・カレル
★★★★★ 180度違う恋の結末を描いたウディ・アレンの名作
ウディ・アレンの喜劇と悲劇、両方を一度に味わえる良作です!主人公のメリンダがあるパーティーに参加したところから人生が二つに分かれ、並行して物語が進んでいきます。片方のメリンダは修羅場だらけの茨の道、もう片方のメリンダは平凡だけど幸せな道を歩むことになります。グウィネス・パルトロウの『スライディング・ドア』も似たような手法で撮った映画ですよね。どちらの映画も人生どう考えるか、どう選択するかで人生が変わるんだなあと考えさせられる作品です。自分だったらどうするか、想像しながら見ると楽しいです。ニューヨークの街並みもおしゃれで、今や観光スポットになったロケーションもいっぱい登場するので観ていて退屈しませんよ!
★★★★☆ 買いですが。
ひとりの女性を、「悲劇」「喜劇」ふたつの視点で同時進行で描いているので、そういった予備知識がなければ、最初すこし戸惑うかもしれません。この作品は、劇場公開時に見逃していて、DVDを購入して初めて見たのですが、おかげで何ヶ所か見直しができて、結果としては幸いでした。個人的には、本作でも随所で見られるスラップスティック的な演出がもっと増えてほしいと思っているので、好きな女性が別の男性と付き合って自分のパートナー探しをしてくれるという、悲しくもどこか滑稽な場面なんかが初期の「ボギー、俺も男だ」を彷彿させて、自己模倣といえばそれまでですが、見ててとても面白かったです。ただ、ストーリーを平行させてない交ぜにする意匠はどうだと言われれば、正直すこし「?」という気持ちにもなりました。
★★★★☆ 現代の男女の心のすれ違いをウィッティに描いたウッディ・アレンらしい作品
メリンダがたどる二つの別の道、人生は選択次第でどう変わるかわからない、ということを描いています。あのときにこうしておけばよかったなあ、ということは人生におて誰でもが必ず経験します。と、同時で、例えば、今はこの男性(女性)と結婚(付き合って)しているが、もし、別の人と結婚なり交際なりをしていたら、人生はどう変わっていたかなあということも、やはり誰でも想像してみるものではないでしょうか。ウッディ・アレンは『メリンダとメリンダ』で何組ものカップルを登場させて、その恋の行方を描いています。誰と誰がくっつき、どのカップルが破局するか、その過程を実にうまく描いています。誰が誰のことを好きになり、誰が誰の心から離れていくのか。人の心は読めません。人生は選択ですけれど、こと男女にかけては選択というより、神のみぞ知るといったことではないでしょうか。そんな現代の男女の心のすれ違いをこれほどさらりと、ウィッティに描けるのはウッディ・アレンをおいて他にはいません。期待して観た『マッチポイント』で落胆させらたけど、この『メリンダとメリンダ』と『恋するバルセロナ』ではカップルの恋の行方がコメディタッチでさらりと描かれていて、近年のウッディ・アレン作品ではダントツに好きです。それしにしても、監督は歳をとっても、意欲作をあまり間をおかずに発表するのだから、たいした精力です。
★★★★☆ 性格の対比がおもしろい
メリンダがパーティーの輪に入ったところから、二つの物語が展開していくという話、とあったので、以前観たグウィネス・パルトロウ の『スライディング・ドア』を連想してしまった。スライディングドアは、地下鉄に乗れた主人公とと乗れなかった主人公で、物語が進行していった。「もし・・・だったら」というものだ。メリンダの方は、二つの物語に登場するメリンダとメリンダの性格の違いから生じるものの見方の違いで、人生の方向が大きく変わってしまうという話だと思った。実際、起きてしまったことに対して、悲観的にとらえるか、楽観的にとらえるかということは、その後の人生の方向に大きく影響するということが、わかりやすくとらえられていると思った。同じ出来事があっても、落ち込んでしまうだけか、前向きにいこうと思うか・・・ちょっと考えさせられる映画でした。
★★★☆☆ 主人公は、メリンダ?
二人の脚本家がお酒の席で、メリンダという不意の客をヒロインにし、喜劇をつくるか悲劇をつくるか余興をする物語。自身脚本を手がけるウッディ・アレンが、2パターン作れるけれど、それを一本の作品にしたらどうだろうと試みた映画のようです。二つのストーリーが同時展開し、途中何度もストーリーが切り替わるので、観る側が感情移入することはあまりありません。この登場人物はこう動いて、ここで新たにこの人物を投入してといったふうに展開していき、そこに見えるのは脚本家の視線です。それでも映画は二人のメリンダの物語。そのヒロインに注目すると、悲劇側のメリンダは「欲望という名の電車」のブランチを思い出させます。観る側は彼女の心理の動揺に注目させられるのですが、喜劇側はメリンダよりホビーのほうが主人公のように思えます。(心理的葛藤をしたり、表情で気持ちを伝えるのは彼なので)展開も「実は奥さんには」「紹介してもらった女性は・・」といったことばかり。あげくヒロインも心変わりしますので一貫性がない。わきをかためる出演者たちも、悲劇側はよく描けています。喜劇側は印象に残りにくい。この脚本家の勝負は、悲劇作家の勝ちのように思いますが?
作品の詳細
作品名:メリンダとメリンダ |
原作名:Melinda and Melinda |
監督:ウディ・アレン |
脚本:ウディ・アレン |
公開:アメリカ 2005年3月18日、日本 2005年6月25日 |
上映時間:100分 |
制作国:アメリカ |
興行収入:2000万ドル |
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