Nothing But Movies

時間と場所が交差するミステリアスでスタイリッシュな映像世界

弱冠26歳で手掛けたデビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』で、いきなりカンヌ映画際グランプリを受賞した若き天才スティーブン・ソダーバーグ。その彼が更なる演出技法と編集、そして映像美に一段と磨きをかけ、ソダーバーグ ならではのビジュアル・ワールドを創り上げたのが『蒼い記憶』だ。主人公マイケルの発する乾いた虚無感とそれを包み込む無機質なイメージ、あるいは「現実と虚構」また「正気と狂気」の境界線のないボーダレスな世界で構築されている、奇妙な感覚に満ちた作品である。際立ったストーリーはないと監督自らがコメントするように、『蒼い記憶』は、物語を追うことを意識し、”頭”で見る映画でもなければ、美しい映像を堪能するがごとく“目”で観る映画でもない。心の奥底で感じ捕えなければ、大部分を見失うという新たな試みによるソダーバーグからの挑戦状なのである。

ストーリー：放浪の旅を続けてきたマイケル(ピーター・ギャラガー)が故郷の町に戻ってきた。昔の彼女（アリソン・エリオット）と再開した彼は、自分と彼女の間にはまだお互いへの感情が燻っていることを知る。そしてそ のことが彼の運命を大きく狂わせる。

出演：ピーター・ギャラガー、エリザベス・シュー、アリソン・エリオット、ウィリアム・フィクナー、ジョー・ドン・ベイカー、アンジャネット・カマー

作品の詳細