異様な世界の異常な事件 潜入ルポで暴かれるのは、その真相か、破綻してゆく己の姿か
ストーリー:殺人事件の謎を解明するために、新聞記者ジョニー・バレット(ピーター・ブレック)は狂気を装い精神病院に潜入する。だが、事件の目撃者である患者たちと接触するうちに、彼はしだいに精神のバランスを崩し、自らも狂気に陥ってしまう・・・。
出演:ピーター・ブレック、コンスタンス・タワーズ、ジーン・エヴァンス、ハリー・ローデス、ジェームズ・ベスト
★★★★☆ 強烈な音のドラマ
これは低予算で作られた作品で、決して万人受けする映画ではありませんが、斬新な演出に打ちのめされる凄い映画です。映画は“神は滅亡を望む時、まず人を狂人にする”というエウリピデス記の引用より始まり、1時間半ほどの上映時間中ほぼ精神病院の中ばかりで屋外シーンはありません。主人公のジャーナリストはピュリッツァー賞を手に入れたいという虚栄心の強い人物で、その目的を達成するために精神病患者になりすまし、とある精神病院で起きた殺人事件を暴こうとするのですが、狂人の演技のはずが、次第に正気と狂気の境が危うくなる…こう書いていくとサスペンスドラマのようですが、サミュエル・フラー監督の意図は決してそれだけではないのです。まず、病院の精神病患者たちがオペラ狂の者に色情狂の女性たちなど強烈なキャラクター揃いで、特に主人公が色情狂女性の集団に襲われるシーンはトラウマになるほど怖いです。これらのキャラクターの描写で主人公が狂気になろうとするのにとてつもない説得力があります。他には人種差別の恐怖から逃れるために自分を白人だと思い込み、黒人を憎悪する黒人や、核兵器を作ってしまったというショックから逃れるために子供に戻ってしまう核物理学者などが登場し、つまり映画の中の精神病院はアメリカ、あるいは現代の病巣の具現であり、アイロニーの空間になっているのです。そして、この作品の特筆すべき点は音による演出です。音源もモノラルでホームシアターで楽しむ場合、サラウンド効果はありませんが、随所に音による演出がなされています。中でも患者たちが寝静まった夜に主人公がオペラ狂の精神病患者に襲われるシーンでの音楽の効果はすごいです。音のないシーンでさえ音の演出になっています。主人公が患者たちが歩く精神病院の廊下を見て、“さまよえる幽霊たち”と名付けるシーンで意図的に廊下を歩く音を省き、“さまよえる幽霊たち”そのままの精神病院の廊下が描かれています。計算された音の効果という点においては映画史に残ってもいいのではないでしょうか。なお本作は低予算で作られたため、室内セットの数も少なく、病院の廊下のセットも小さかったので、セット内に小人を歩かせて奥行きがあるように見せたりしています。B級ながらも小気味良い作品です。
作品の詳細
| 作品名:ショック集団 |
| 原作名:Sergeant Rutledge |
| 監督:サミュエル・フラー |
| 脚本:サミュエル・フラー |
| 公開:1963年9月11日 |
| 上映時間:101分 |
| 制作国:アメリカ |
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