渚に静かに忍び寄る「人類最後の日」。スタンリー・クレイマーの描く地球の終末とは・・・
ストーリー:第3次世界大戦が勃発し、核兵器使用のために北半球はすでに全滅、戦闘をのがれた南半球の一部の地域にも死の灰は近づきつつある。そんななか、生き残った米国原子力潜水艦の艦長(グレゴリー・ペック)は、オーストラリアのメルボルンに寄港後、アメリカ本国から届いた謎の無線を調査すべく出発したが、祖国にはもはや人影すらなかった。そして、死の灰はいまやメルボルンにも及ぼうとしていた・・・。
出演:グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンス、ドナ・アンダーソン、ジョン・テイト、ガイ・ドールマン、リチャード・メイクル、ジョン・メイロン、ローラ・ブルックス
★★★★★ 静かな名作
一瞬の核戦争の後、まもなく濃密な放射能が南半球に下ってくるという状況のオーストラリアでの物語。思春期に見た時、アメリカ潜水艦のタワーズ艦長(グレゴリー・ペック)とモイラ(エヴァ・ガードナー)の関係が非常にロマンティックに思えた。かなり後に見直したら二人の関係が今ひとつはっきりしない。原作小説では肉体関係があったのかどうかもわからないが、映画ではもう少しはっきりしようとしている。こんなことを書きたくなるのも二人のラストの別れが美しいからだと思う。核戦争反対のスローガンよりもこの映画の味は題名のとおり、静かに潮が満ちてくるような独特のせつなさだろう。ペック、ガードナー共に故人だが、この映画でははまり役だった。
★★★★☆ 終末は静かに訪れる
世紀末ものが好きで、思わずそそられて買ってしまったこの作品。そこには熱いドラマもなければ、あっと驚くどんでん返しもない。ただ静かに物語は終末にむけてすすんでいく。基本的には、『ディープ・インパクト』なども同じ状況を描いているが、本作はサスペンスも希望も、教訓も、アドベンチャーもなく、淡々と世の終わりを描いている。こうして考えれば、世紀末ものは数あれども個人的レベルに還元して考えればわざわざ地球を滅ぼさなくとも、一個人の死を描くのと一体どれだけの差異があるのだろうかとおもう。多くの人間にとって、自分の死はすなわちこの世の終わりでもあるはずだ。自分の存在しない世界・・・そんな世界は空虚である。そんなことを静かに語りかけてくれる作品である。
作品の詳細
作品名:渚にて |
原作名:On the Beach |
監督:スタンリー・クレイマー |
脚本:ジョン・パクストン |
公開:アメリカ 1959年12月17日、日本 1960年2月10日 |
上映時間:134分 |
制作国:アメリカ |
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