後の『エクソシスト』『オーメン』など多くの作品に影響を与えたオカルト・ホラーの先駆的名作
ストーリー:新婚夫婦のローズマリー(ミア・ファロー)とガイ(ジョン・カサヴェテス)。喜びに満ちたローズマリーだったが、その幸せが終わりも近いとは知るよしもなかった。まさか、売れない俳優である夫の野望が、彼女を恐怖のどん底に突き落とそうとは・・・。名声と引き換えに悪魔と取引をしたガイは、自らの魂だけでなく妻までも悪魔に引き渡してしまったのだ。やがて彼女は待望の妊娠。だがそれに反し奇妙な態度を取り始める夫。終始、彼女につきまとうようになるおせっかいな隣人夫婦。周囲で起こる不審な出来事に悩まされ、情緒不安定に陥るローズマリー。悪魔の手が間近に迫っていることに気づいた彼女は、お腹の我が子を守ろうとするのだが・・・。
出演:ミア・ファロー、ジョン・カサヴェテス、ルース・ゴードン、シドニー・ブラックマー、モーリス・エヴァンス、アンジェラ・ドリアン、ラルフ・ベラミー
★★★★★ ミア・ファローの子守歌
昔のロマン・ポランスキーの映画はいい意味で精神的に疲れる映画を良く撮っていましたが、これが一番キツかったです。エンディングも心中複雑。クライマックスぎりぎりまでオカルトなのかサイコ・スリラーなのかわからないところが一番怖かったです。ミア・ファローの子守歌が忘れられません。
★★★★☆ ホラーを通して描きたかったのはなんなのか
現代においては地味な印象は拭えないが、ホラー的要素を巧く配合しているなと感心させられる。親切すぎる隣人。住人の突然の自殺。舞い込む幸運と、幸運の代償として他人に降りかかる不運。読みようによってはいくらでも怪しくも読み取れる日常会話。周囲の人間がすべて敵に思えてくるような疑心暗鬼。しかしそれを他人に漏らせば「思い過ごし」と一笑に附される孤独感。陰謀か? 単純な妊娠に伴う神経衰弱なのか?現代ホラーにおいても頻出する要素を、本作はすでにいくつも獲得している。主演を好演するミア・ファローは二十一世紀においても通用する細身の美人。古典ホラーでありながら、舞台やファッションも古さを感じさせないスタイリッシュさを保っていて舌を巻く。隣人の正体をだんだん解き明かすサスペンスフルな演出も巧い。なにより、この映画に貫かれるのは、サスペンスのなかに放り込まれた無力な妊婦が、不安に怯えながらそれでも「なにがあってもわが子を守る」と母性に目覚めていく過程が丁寧に描かれている点だ。サスペンスもオカルト的要素も、母になろうとする不安の象徴として使われているがゆえに奥の深い鑑賞が可能な良作。
作品の詳細
作品名:ローズマリーの赤ちゃん |
原作名:Rosemary’s Baby |
監督:ロマン・ポランスキー |
脚本:ロマン・ポランスキー |
公開:アメリカ 1968年6月12日、日本 1969年1月11日 |
上映時間:137分 |
制作国:アメリカ |
製作費:320万ドル |
興行収入:3300万ドル |
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