影なき殺人

影なき殺人

『紳士協定』『エデンの東』などで知られる巨匠E・カザンが、実際に起こった事件をセミ・ドキュメンタリー・タッチで撮り上げた社会派ドラマ

ストーリー：コネチカット州フェアポート。この静かな平和な町である日、殺人事件が発生。殺されたのは、町の人々の信頼と尊敬を集めるランバート神父。地元警察署や町民が騒然となるなか、二人の容疑者が浮かび上がり逮捕されるのだが・・・。

出演：ダナ・アンドリュース、リー・J・コッブ、ジェーン・ワイアット、アーサー・ケネディ、サム・レヴェン、ロバート・キース、テイラー・ホームズ、エド・ベグリー、カール・マルデン、カーラ・ウィリアムズ、バリー・ケリー、フィリップ・クーリッジ

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★☆　ドキュメンタリー・タッチの法廷物

後に一流監督に昇りつめた、エリア・カザン監督の’47年の監督三作目。この映画は後に舞台劇の演出が多くなるエリア・カザンらしくない、事実を基にしたドキュメンタリーな映画で、フィルム・ノワールにくくられているようだが、実質は法廷物といったほうがいいように思う。ある殺人事件が基になり、犯人探しが行われる過程と犯人らしき男をめぐっての法廷でのやりとりがその内容。その中心にいて、警察の捜査を基に地方検事のダナ・アンドリュースが様様な問題に直面して苦悩しながら、真実を追究していく。主演のダナ・アンドリュースはフィルム・ノワールの常連といってもいい俳優でこの映画でもハードボイルドな魅力を感じさせる儲け役だが、やや平板な描き方なのが惜しい。クライマックスの法廷シーンは最高の見せ場。警察の捜査がなんだったのかと思わせる鮮やかな幕切れ。最後の持って行き方がやや性急な印象があるが水準以上の佳作。なお画質は非常に良い。