詩をつづるバスの運転手の日常を映し出す
ストーリー:ニュージャージー州パターソンでバスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライバー)は、朝、妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをすることから始まる、変化のない毎日を過ごしている。そんな日々の中でパターソンは、周囲の会話やマッチ箱といった何げない物事に着想を得た詩をノートに書き留めていた・・・。
出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、ネリー:マーヴィン、バリー・シャバカ・ヘンリー、ジョニー・メイ、トレヴァー・パラム、トロイ・T・パラム、リズワン・マンジ、スターリング・ジェリンズ、カーラ・ヘイワード、永瀬正敏
★★★★★ 生活とポエットそして労働
米国の産業革命を支えたパターソン市は労働者の街であり、移民の街だった。そこでの文化はそういった背景のなかから生まれ労働や生活を軽んじることなくしっかりとした高さを求めるものだったのだろうか。永瀬正敏演ずる日本人の詩人が市と同名の失意のパターソンに投げかける”Ahan”は、バス運転士であると名乗った彼に対し同時に詩人であることの無矛盾をこの市の文化史はあたりまえのように示しているという含意を込めたものに感じた。そのパターソンの固有性は、全編を通して描かれる日常の共感の表現のなかで普遍的であるとわれわれに伝えてくるようだ。
★★★★☆ 事物を離れて観念はない
街を巡回するバスの運転手の日常を、1週間淡々と描いただけの平板なストーリーですが、車窓から見える変わり映えしない風景や通りすがりの人々が、主人公が紡ぎ出す愛の詩がフィルターになってドラマチックに変貌し、事物(目に見えているもの)と観念(目に見えないもの)の双子が合致してハーモニーを奏でる事で、掛け替えのない小さくても確実な幸せが、静かに優しく映像から伝わてくるヒーリング映画です。映画に刺激を求めたい人には退屈な映画だと思いますが、コロナ禍だからこそ主人公の人生に対する思いは共感できるはずで、疲弊した心を癒してくれる、今見るべき映画です。
作品の詳細
作品名:パターソン |
原作名:Paterson |
監督:ジム・ジャームッシュ |
脚本:ジム・ジャームッシュ |
公開:ドイツ 2016年11月17日、日本 2017年8月26日 |
上映時間:118分 |
制作国:アメリカ、ドイツ、フランス |
製作費:500万ドル |
興行収入:1000万ドル |
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