カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝き、アカデミー賞で監督・主演男優・脚色賞と3部門受賞。実話に基づき、ホロコーストに巻き込まれていくピアニストを描いた感動作
ストーリー:1939年、ナチスドイツがポーランドに侵攻してくる。ユダヤ人ピアニストのシュピルマン(エイドリアン・ブロディ)が家族と暮らすワルシャワはナチスに占拠され、ユダヤ人への迫害は次第に激化。シュピルマン一家は他の大勢のユダヤ人とゲットーに移り住む。1942年、一家はユダヤ人収容所へ送られるが、奇跡的にシュピルマンだけは収容所行きを免れる。その後、隠れ家にひそんでサバイバル生活を送るが、ある晩、ひとりのドイツ人将校に見つかり・・・。
出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、エミリア・フォックス、ミハウ・ジェブロフスキー、エド・ストッパード、フランク・フィンレー、モーリン・リップマン、ワーニャ・ミュエス、リチャード・リディングス、ルース・プラット
★★★★★ 泣くしか無い。情けないけれども
色々な分析、論評がありますが、結局僕はこの映画を観て思い出してはただ感情のままにボロボロ泣くしか出来ないのです。ああやっぱり戦争はダメだと思いました。でも国会前とかでお祭り騒ぎで喚いてた「センソー反対」「平和」は全然響かないんですよね。平和しか知らない人々が騒いで太鼓叩いたり、ラップに載せたり、ヒッピー風や天然素材の服着て、幼い我が子を深夜の雑踏に連れ回して巻き込んで…自分の主張は一点張りだが、他の人の立場で物事を見られない、そんな「平和」この映画ではそういった種類の声高に愛と平和を叫ぶ人は出てきません。ただその重い音、あるいは静けさに、なんとも言えない切なさを感じます。劇場で観た時はとにかく、銃声の重々しさが印象的でした。今までにも戦争映画は数々観ましたが、何故かこの映画の「音」は違いました。そして冷徹とも言えるその画。大人しく逃げもせず銃殺を待つユダヤ人たち、車両に轢かれる人の悲鳴、路地に座り込んだまま放置されるドイツ看護婦の死体、冷たく冷えた路面、命を請う人、命を救い命を失う人、一個のキャラメル、一切れのパン、一人のドイツ軍将校…戦争というのは、本当に悲しい姿をしているものなんですね。そしてそれを本当に語れるのは、経験した人々だけでしょうね。ホロコーストを生きたシュピルマン、ポランスキーは、どんな気持ちでこの記憶を毎日抑えてきたのでしょう?この映画の撮影現場では、人々は毎日どんな気持ちで会話をしたのだろう?そしてブロディのこの演技。いやもう演技というのは失礼だ、まるでもう故人の魂が取り憑いたような…いやいやこれもありきたりだ。…人間、そうカメラの前で彼は役者、ユダヤ人という枠も愛も平和もかなぐり捨てて、廃人手前のギリギリのただの人間になって見せた。そんな廃人が、廃墟の中で奏でた、あのショパンの音色…この映画は罪な映画です。一生あのショパンの音色を聴く度に、僕はまた思い出して涙を流すでしょう。そして、やはり戦争で悲劇を経験した日本も、こんな映画を作れるような成熟した国になれればいいなと思う次第です。
作品の詳細
作品名:戦場のピアニスト |
原作名:The Pianist |
監督:ロマン・ポランスキー |
脚本:ロナルド・ハーウッド |
公開:ポーランド 2002年9月6日 |
上映時間:150分 |
制作国:ポーランド、ドイツ、イギリス、フランス |
製作費:3500万ドル |
興行収入:1億2000万ドル |
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