伝説の衝撃作「ドニー・ダーコ」の続編が遂に登場!
ドニーの妹サマンサの運命を描いた、究極のリバース・ムービー!! 再び世界が終るまで、あと4日17時間26分31秒
ストーリー:ドニー・ダーコが死んでから7年後の世界。ドニーの妹サマンサ(デイヴィ・チェイス)と親友のコーリー(ブリアナ・エヴィガン)はカリフォルニアへ向かう途中で車が故障、近くの町に滞在することに。その日の夜、帰還兵が風車塔に登るのを見たサマンサは、何かに導かれるように彼に近づき「4日17時間26分31秒後に世界は終わる」と告げる。それから、不可解なことが次々と起こりはじめ、彼女の前に銀色のウサギが現れた・・・。
出演:デイヴィ・チェイス、ブリアナ・エヴィガン、ジャクソン・ラスボーン、エド・ウェストウィック、エリザベス・バークレイ、ジェームズ・ラファティ、ジョン・ホークス、マシュー・デイヴィス、ウォルター・プラッツ、ブレット・ロバーツ
★★☆☆☆ コンセプトが先か、映画が先か
ドニー・ダーコの死から七年後、妹のサマンサ・ダーコの旅路に前回の手法を踏襲し描く。予告編で「4日、17時間、26分、30秒、その時世界が終る」と、観て、前作のコンセプト”だけ”踏襲しなければよいな、と感じたが、その通りの映画だった。前作の魅力はコンセプト”のみ”にあったのではなかった。ハイスクールを舞台に、普段社会に隠れた負を抱えた人間が、既成の価値観と衝突する重層的な描写に魅力があった。その負は、夢遊病と破壊衝動癖を持つドニーに、父親が母親を殺したグレッツェンに、いじめられた容姿の悪い中国系のシェリータに、グレアム・グリーンを教材に使うカレンに現れており、美辞麗句を並べた自己啓発セラピストジム・カニンガムや教師キティなどの戯画化された社会通念との対比が鮮やかであった。孤独や疎外、そこからくる破壊衝動が、80年代の陰鬱なニューウェイブ・ミュージックの歌詞と音楽に重ね合わされ、それもよかった。しかし、今回の『サマンサ・ダーコ』は、ドニーの死から八年後であり、ハイスクールムービーでなく、LAを舞台にしたロードムービーになっている。それが、人物の層を薄くしている。教師生徒、親子兄妹、医者患者、恋人、とドニーを中心に複層的に関係が築かれていた前回と比べると歴然と薄い。また、二回リバースする時間の都合上、シーンも少ない。音楽もニューウェイブを採っておらず特筆すべき点はない。結果的にコンセプト”だけ”美点が継承されている。また、サマンサは前作で、きらびやかな社会の順応者としてダンススクールに通い、キティの側に属し、シェリータと対比されていたキャラクターで、今回唐突に兄の死、家族離反という”心の傷”を負って、さらに夢遊病を発病している、その唐突感が、コンセプトありきではないかと感じさせる所以でもある。イラク・ジャックがスパロウ嫗の孫である点、『タイムマシンの哲学』、過去の台詞やフラッシュバックなど、前作を見ていないと分からず、見ていてもにやりとも出来ない部分も多い。日本で公開されなかったのもうなずける。前作との対比で語られなければ、理解できない場面が多すぎ、前作と対比して語れば、前作に見劣りする。いずれにせよ、不満度が残る映画になるのである。
作品の詳細
作品名:ドニー・ダーコ2 |
原作名:S. Darko |
監督:クリス・フィッシャー |
脚本:ネイサン・アトキンス |
公開:アメリカ 2009年5月12日 |
上映時間:103分 |
制作国:アメリカ |
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