虚像渦巻くマスコミの世界を舞台に、メディアが作り出した偶像に人々が翻弄される様をユーモアと風刺を交えて描いたコメディ
ストーリー:バーニー(ダスティン・ホフマン)はせこいコソ泥。ある夜、彼の目の前で飛行機が墜落する。嫌々ながらも、煙の立ちこめる機内から負傷者を救出した彼は、乗客の財布を失敬して姿を消す。事故機に敏腕レポーターのゲイル(ジーナ・デイヴィス)がのりあわせていたことから、マスコミ挙げての“謎のヒーロー”探しが始まる。しかし、名乗り出たのはバーニーではなくハンサムなホームレス、ババー(アンディ・ガルシア)だった・・・。
出演:ダスティン・ホフマン、ジーナ・デイヴィス、アンディ・ガルシア、ジョーン・キューザック、ケヴィン・J・オコナー、モーリー・チェイキン、スティーヴン・トボロウスキー、クリスチャン・クレメンソン、トム・アーノルド、ジェームズ・マディオ
★★★★☆ ホフマンか役か
VHS 時代に『レインマン』を見て以来、人間味あふれるホフマンにハマった。その中でも、人間臭さと夢と教唆のある話だった。小悪党バーニーの欲深さと見栄が、能力はないのにプライドが高い人を表現していて、社会不適合者が苦悩する様が描かれている。バーニーが盗品を売ってるという部分を補足するかのように、冒頭で最低なタイミングでの窃盗行為を見せたり、子供の前で、立派な大人、という表現はできないけど男らしく振舞ってみたり、ありがちな大人になり切れていないダメ男だけど、子供のためには我が身を惜しまない本当の大人の一面が物語をスタートさせる。この話には真実がほとんどない。客観的に見てどこを真実であるととらえるかを視聴者に問うスタイルも意識されてるのか。物証と法を照らせば、最後までバーニーは無関係なクレーマーだし、行動と心理を考えればバーニーが居なければ始まりも展開もない法的矛盾を抱えた物語だ。また、序盤から重点を置くメディアというもののあり方についても強く批判が入っている。当時は広告媒体なんてマスコミだろうに、その姿勢を正そうとする映画なんてどうかしてると思った。いくら美談でもマスコミ否定が入ってたら広告費上がるし拒否されたら興行収益も見込めないだろう。IT なんて FAX メインの時代だったんだ。そんな中で公開され、翻訳され、日本に届き、見て感動したのが忘れられない。あなたには本当に、いい人、を見付ける目があるかと問われるような作品だった。余談になるけど奥さん役のキューザックは同じ頃に先に見た『TOYS』 のアルセイシア役で印象に残ってたので、この作品で出てきた時には二人の相乗効果で引き込まれた。また、好きな映画を問われた時に HERO を挙げると、見たこともない日本映画と勘違いされたので、そっと心にしまっている。
作品の詳細
作品名:靴をなくした天使 |
原作名:Hero |
監督:スティーヴン・フリアーズ |
脚本:デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ |
公開:アメリカ 1992年10月2日、日本 1993年4月24日 |
上映時間:117分 |
制作国:アメリカ |
製作費:4200万ドル |
興行収入:1900万ドル |
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