原子力発電所の取材中、偶然“小さな事故”の現場に居合わせたニュースキャスターとカメラマンが事件の真相を暴いていく社会派サスペンス!
ストーリー:人気TVキャスターのキンバリー(ジェーン・フォンダ)は、原子力発電所を取材中に原子炉の事故に遭遇する。同行したカメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)が密かに録画した映像を専門家に見せると、それが大災害につながりかねない非常に危険な事態だったことが判明する。彼女たちはこのスクープを放送しようとするが、上層部からの圧力によって差し止められてしまう。やがて、調査の結果、その後の発電所に異常は認められないとして、運転が再開されるが・・・。
出演:ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス、スコット・ブレイディ、ジム・ハンプトン、ピーター・ドゥナット、ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ハード、ダニエル・ヴァルデス、スタン・ボーマン、ジェームズ・カレン
★★★★★ まるで予言
安全よりもコストを優先した結果、原子力発電所の大きな事故につながりかける。それなのに経営側は事態を隠して、安全は保証されていると言い張った末事実を明るみに出そうとする人々に実力行使まで、というような内容です。40年前に作られた映画のプロットを、そのままなぞっているような現実に薄ら寒いものを覚えます。
★★★★★ 原発の怖さというよりは組織の論理の怖さか?
原発に対する問題提起は、この映画に始まったことでもないし、この映画の時点からほとんど状況は変わっていないという意見も尤もと思う。しかしながら、じゃあこの作品が必要なかったのかというとそんなことではなくて、間違いなく一般レベルにわかりやすい形で原発の怖さを教えてくれた作品だ。原発の怖さというよりは組織の論理の怖さと言ったほうが良いかもしれない。それもただ単に脅かすような映画でもなく、説教じみたプロパガンダ映画でもない。娯楽サスペンス・アクション映画としても立派に成り立っていてたのしめるし、なお且つ今の核問題についてもう一度考え直したくなるような訴求力のある作品だ。で、この後に後続の同系作品があるかと言うと無いんですね。いや、やっぱり同じになっちゃうからっていう意見はわからなくもないのですが、やっぱりこれは風当たりが強すぎるっていうのが本当のところじゃないのかな?役者は悪役も含めて皆素晴らしいけれども、特にジャック・レモンはラストシーンの壮絶なシーンでコメディでみせる演技とは別の引き出しを持っていることを印象付けていてすばらしかった。
★★★★☆ 時代を先取りした映画
福島の原発事故の状況が予断を許さず、多くの人が問題の解決に総力を尽くしている今日の時点で、真っ先に頭に浮かぶのがこの映画。スリーマイル島事故が現実に起こる以前に、原発が抱えるリスクを告発した作品だ。炉心溶融という最悪の事態がどういうアクシデントが重なって起こるのかがこの映画だけからでは分かりにくいのが難点。しかしながら、原発の構造の断面図が連日新聞に掲載され、原発事故が拡大するメカニズムの理解を不幸にも多くの人が共有するに至った今、この作品のつき付ける諸課題が古くなっていないことを痛感する。地震・津波という天災が主原因となった福島の事故と本作で起こり得た事故を比較するのはナンセンスかもしれないが、大組織の隠蔽体質と戦う技術者の良心、マスコミの的確な報道に頼らなければならない状況に違いはない。その技術者、マスコミのニュース・キャスターに扮するJ.レモンとJ.フォンダが彼らのキャリアの中で一番輝いて見える作品だ。
作品の詳細
作品名:チャイナ・シンドローム |
原作名:The China Syndrome |
監督:ジェームズ・ブリッジス |
脚本:マイク・グレイ、T・S・クック |
公開:アメリカ 1979年3月16日、日本 1979年9月15日 |
上映時間:122分 |
制作国:アメリカ |
製作費:590万ドル |
興行収入:5100万ドル |
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