名匠アラン・パーカー監督が戦争批判を隠し味に青春と友情の美しさを描いたヒューマン映画の傑作
ストーリー:ヴェトナム戦争で顔に重傷を負って帰還したアル(ニコラス・ケイジ)は、戦場のショックで精神病院に入れられている友人バーディ(マシュー・モディン)を回復させるべく努力していく。かつてバーディは、ひたすら鳥になりたがっていた青年だった。そして今は、鳥のようにうずくまっていた・・・。
出演:マシュー・モディーン、ニコラス・ケイジ、ジョン・ハーキンス、サンディ・バロン、カレン・ヤング、ブルーノ・カービー、マーシャル・ベル、エリザベス・ウィットクラフト、ビクトリア・ネッコ
★★★★★ どうしてももう一度観たくて
30年近く前に観て、その後たびたび「もう一度観たい」と思っていた映画。レンタルしている所も滅多にないので、いつでもゆっくり観られるように購入した。鳥になって大空を飛ぶことだけを願って鳥かごにこもってしまう青年と、必死に彼を助けようとする友。戦争によって精神を病む悲劇と友情の物語…と言ってしまえば簡単だが、では健全な精神とは何なのか、真の友情とは、人間の尊厳とは、自由とは・・・。深い陰影と美しい映像によって、見事に表現された秀作だと思う。
★★★★★ マシュー・モディーンにニコラス・ケイジ
キューブリックの『フルメタル・ジャケット』が大好きで、マシュー・モディ-ンの別の映画の演技が観たくて、レビューの評価もいいので買って観て見ました。リアルタイムでは全く知らず、どういう映画か見当もつかない状態で観ましたが、すごくいい映画でした。ラストがなんていうか、びっくりして最高。素敵だし、名作だと思います。
★★★★☆ アッと驚くどんでん返し
最後のマシュー・モディンの決め台詞で、ハッと我に返り確信したのが懐かしい。やっぱりアラン・パーカー監督ならではの、ひねりを利かせたブラック・コメディだったのだと。大真面目なニコラス・ケイジと、精神を患ったマシュー・モディーンの友情を軸にした正統的戦争批判かと思いきや、最後の最後で観客が例の台詞ではぐらかされる訳ですからね。本作のテーマは皮相的な「戦争反対」などではなく、「人間の狂気」そのものです。勿論ここでは戦争が契機となって主人公が狂ってしまう訳ですが、尊ぶべき友情の価値すらも容易に笑い飛ばしてしまうほどに回復不可能となってしまった一青年を通して、狂気の恐ろしさを描くことが監督の本意だったのではないでしょうか。そのブラックな感覚は後年の「ケロッグ博士」でより洗練される訳ですから、むべなる哉。演出家の手腕に踊らされたい人には、お薦めの一本でしょう。
★★★☆☆ テーマを拒否した映画
色んなテーマがあるように思えるが、どれも深掘りせず、匂わせる程度なので、何についての映画なのか、最後までわからない。あえて言えば、マシューモディンの美しい裸体を見るため、あるいは詰め込むだけ詰め込んだ感情を、全て笑い飛ばすようなラストシーンの一瞬のカタルシスを得るための映画か。ベトナム戦争も、精神疾患も、ホモセクシュアルっぽい友情も、何も真っ向から描かれてはいない。テーマというものをはなから拒否してるような映画だ。人が期待するテーマの拒否というのは、主人公のバーディの生き方でもあるから、その辺が隠れテーマかもしれないけど、それも匂わせる程度だからなんとも言えない。それでも観ていられるのは、マシューモディンが美しいのと、挿入される青春時代のサブストーリーが面白いのと、音楽がいいからか。小説で言うと、重たい長編に取り組む手前の中編。絵画で言うと、技量を詰め込んだデッサンという感じだ。初めて観た時は、ラストシーンが素晴らしいと感じたが、今回は、まあこうするしか収拾つかないよな、という感想だった。この監督は才能に溢れてるのは間違いない。そしてこの映画は、その才能だけで撮られている気がする。
作品の詳細
作品名:バーディ |
原作名:Birdy |
監督:アラン・パーカー |
脚本:サンディ・クルーフ |
公開:アメリカ 1984年12月21日、日本 1985年8月30日 |
上映時間:120分 |
制作国:アメリカ |
製作費:1200万ドル |
興行収入:140万ドル |
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