ベトナム戦争とその時代にこだわる鬼才O・ストーン監督が『プラトーン』『7月4日に生まれて』に続く“ベトナム3部作”の最終章として手がけた、壮大な女性ドラマ巨編
ストーリー:1949年にインドシナの農村に生まれたレ・リー(ヘップ・ティ・リー)が十代になった頃、ベトナム戦争が勃発。2人の兄がベトコンに加わり、レ・リーもベトコンのスパイとして働くが、南ベトナム軍に捕まって拷問を受ける。その後、裕福な妻帯者との恋や男性の子どもを生んだのを経て、売春婦に転落してしまうレ・リー。やがて知り合った米軍海兵隊のバトラー(トミー・リー・ジョーンズ)と結婚し、米本土に渡って新生活に踏み出すが・・・。
出演:ヘップ・ティ・リー、トミー・リー・ジョーンズ、ジョアン・チェン、ハイン・S・ニョール、ヴィン・ダン、ダスティン・ヌエン、デビー・レイノルズ、コンチャータ・フェレル、デイル・ダイ、ティモシー・カーハート、ロバート・ジョン・バーク
★★★★★ ベトナム戦争関連映画の中では最高
古今東西、戦争の最も被害者は女性です。その当時の一般的なベトナム女性の姿をよく描いた作品だと思います。戦争映画の醍醐味である戦闘シーンこそほとんどありませんが、その戦闘の裏にある人間模様、ベトナムの自然、そして特にアジア仏教米作圏の家族観や祖霊崇拝と民俗、こういった事柄が兵士では無くベトナムの一女性を主人公として描くことによって感動的に描かれ、より深く戦争の抱える大きな問題を見る者に訴えています。自伝を原作としているので、当たり前と言えばそれまでですが、シナリオももの凄くリアルです。反面、これまた主人公の自伝であるから仕方ありませんが、少々主人公の生き方が美化されすぎているような気もしますが・・・。他のアメリカの制作によるベトナム戦争映画一般的に言えることですが、白人の有色人種や異教徒に対する蔑視と偏見と差別がどうしても鼻についてしまいますが、この映画に於いてはその白人の傲慢さを批判的に描いていることも、アジアの黄色人種の一人として好感が持てました。そして、カトリックと仏教を対比させることによって、より一層見る者に分かりやすくベトナム戦争の抱えていた問題を伝えていると思います。オリヴァー・ストーン監督の“ベトナム戦争三部作”の完結編として相応しい傑作でした。
★★★★☆ 女性の強さ
ベトナム戦争下に生まれ育った波乱に満ちた女性の半生の物語。拷問、強姦、娼婦の生活を通して主人公は強さを身に付けていく。強くならなければ生きていけない時代だったのだ。その強さはやがて自らの野望へと変わっていく。ラストの、強くなった彼女とベトナムの家族とのギャップが、シニカルに、かつ、痛烈に戦争の理不尽さを強調する。
作品の詳細
作品名:天と地 |
原作名:Heaven & Earth |
監督:オリバー・ストーン |
脚本:オリバー・ストーン |
公開:アメリカ 1993年12月25日 |
上映時間:141分 |
制作国:アメリカ |
製作費:3300万ドル |
興行収入:590万ドル |
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