Nothing But Movies

ボクシング界のみならず、多くのアメリカ国民から今なお尊敬を集める元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリ。その波乱に富んだ半生を、『ヒート』のマイケル・マン監督が映画化した伝記ドラマ

ストーリー：モハメド・アリ(ウィル・スミス)がまだ本名のカシアス・クレイを名乗っていた1964年、彼はそれまでのチャンピオン、ソニー・リストンを破り世界ヘビー級王座を獲得した。自ら“蝶のように舞い、蜂のように刺す”と評した当時のヘビー級では革命的なボクシングスタイルと、畳み掛けるような話し方に乗せて繰り出される挑発的な発言で一躍スーパースターへと上り詰めたアリ。しかしイスラム教へ入信、ベトナム戦争での徴兵拒否によるタイトル剥奪で一転過酷な試練に直面。政府との法廷闘争に勝利したアリは失った名誉を真に取り戻すべく、王座獲得に再び乗り出すのだったが・・・。

出演：ウィル・スミス、ジェイミー・フォックス、ジョン・ヴォイト、マリオ・ヴァン・ピーブルズ、ロン・シルヴァー、ジェフリー・ライト、ミケルティ・ウィリアムソン、ジェイダ・ピンケット＝スミス、ノーナ・ゲイ、マイケル・ミシェル、ジャンカルロ・エスポジート

視聴者の声【Amazonレビューより】

★★★★★　人物列伝で学ぶアメリカ現代史

一人のアフリカ系アメリカ人男性の半生により描いたアメリカ現代史。質量ともにヴォリュームがあります。アメリカ現代史ものといえば『フォレスト・ガンプ』の例もありますが、『アリ』は実在の人物の生涯を描いている点で、カタログ的なものにとどまらず、深みが感じられます。アメリカの文化や歴史に興味のある方は是非ご覧いただきたいと思います。

★★★★★　エンターテイメントと思索の見事な融合。

ALI。たった一人でアメリカと闘った男。劇中、アリが徴兵検査で”カシアス・クレイ”と呼ばれて断固拒否するシーンがあります。それは奴隷の時の名前だと。またジョージフォアマン戦のため現地入りして、自分（アリ）が単なるボクサーでは無く、貧困・戦争・疫病などと闘う象徴として捉えられていることをアリ自身が知り、自らの内省へと導かれるシーンが描かれています。この映画は人間存在、哲学への洞察がこめられています。エンターテイメントと哲学のバランス。
そして、観る者をして自らは何物なのかと問いかける映画。この水準に達している邦画が今、どれだけ有るでしょうか。
未見の方に是非お勧めします。

★★★★☆　アリとアメリカ

『ヒート』『インサイダー』など、男の世界を描かせたらピカイチのマイケル・マン監督。主演のウィル・スミスは、モハメド・アリになりきるために、体重を増やして鍛え上げた体は、本物のヘビー級ボクサーと見間違うほど。アリを追いかけるスポーツキャスター役に、ジョン・ヴォイト。彼は、顔に特殊メイクを施して別人になりきり、なんだか楽しそう。この演技で２人は、アカデミー賞の主演、助演賞にノミネートされました。物語には色々なエピソードが盛り込まれていて、焦点が定まらなかった感じ。当時のアメリカの社会情勢に疎い私は、少し戸惑いながら観賞しました。人種差別問題、アリとマルコムＸやブラックモスリムとの関係、そしてヴェトナム戦争。どれも重要な出来事なので省略できなかったのでしょう。それだけ、60～70年代のアメリカは、多くの社会的な問題を抱えていたということかもしれない。映画には、社会派的な内容が多分に含まれているものの、映画としての興も存分に味わえます。アリの捲し立てる演説は楽しいし、リストンやフォアマンとのボクシングのシーンは迫力ある映像で臨場感たっぷりです。

作品の詳細